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【第二新卒とは?】定義・新卒や既卒との違いを解説

第二新卒って何?

もし聞かれても、わかるようなわからないような…「新卒よりちょっと働いた人でしょ?」くらいの感覚で理解している方も多いと思います。

今回の記事では、第二新卒の定義と、似たような言葉である新卒や既卒との違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

転職エージェントとして、1,000名以上の転職支援を行ってきた経験であったり、国家資格キャリアコンサルタントとしての目線も加えて紹介します。

あなたが第二新卒として、転職を検討しているようでしたら参考になると思います。

 

第二新卒とは?

早速ですが、第二新卒というのは明確な定義が決まっているわけではありません。感覚的には「新米ママ」くらいのふわっとした言葉です。

人事担当者や人材業界での、一般的な考え方としては

「新卒で就職して、3年以内に転職活動をする方」

で認知されていると感じます。

大卒を前提にすると25歳まで、高卒を前提にすると21~22歳まで、のイメージですね。

 

第二新卒のメリット・デメリット

メリットは「若い+社会人経験+やりたいことが明確」という総合力です。

就職活動で様々な選択肢から選んだ会社に入り、経験を積んでいますから、ひと通りの社会人としてのマナーであったり、仕事に対する考え方を持っていることは大きなアピールポイントです。

それを踏まえて、数年で転職を志しているわけですから「社会に出てから、何かしら目指すものが見えたのだろう」という変化は察してもらえます。

新卒のように「やってみなきゃわからない」のような、チャレンジ100%でもないので、ある程度「自分のことをわかったうえで転職活動をしている」これ自体が強みになります。

・どういう仕事がしたいのか

・どういう社会人になりたいのか

・なぜそう考えるようになったのか

これらをしっかり整理できれば、第二新卒として転職するメリットが大きいです。

あえてデメリットを考えると、すでに働いた経験があるだけに「なぜ辞めちゃったのかな?」という強烈な疑問を持たれることです。

「そんなことで辞めちゃうの?」

のように、明らかにバカにするような会社からの内定はもらわなくて構いませんが、なぜ転職活動をしているのか、しっかり説明して、その背景や想いについて多少は共感してもらいたいところです。

新卒で入社して、3年以内に転職するにしても、しっかりと考えが固まってから動き出すことをおすすめします。

「逃げたいだけなんだな」

「それは君にも問題があるよ」

くらいは、人事担当者もプロなので見抜いてきます。もし見抜かれなくても、入社後に苦労するのは明らかです。

このあたりの不安があるようなら、第二新卒専門の転職支援を検討してみてください。

 

少し脱線しますが、それぞれの会社で第二新卒に対する認識がずれていることもあるので、年齢のラインが微妙だったら

「第二新卒として、また再出発したいと考えています」

のような意気込みは避けた方が無難ですね。

採用する会社側の本音としては

・まだ若いし、ウチで育てれば充分に期待できる

・その一方で、3年経たずに辞めるのは、何か不安要素があるのかな

といったところでしょう。

このあたりをわかりやすく整理するために、似たような言葉である新卒や既卒との違いを解説します。

 

新卒とは?

新卒については、高校3年生や大学3~4年生の動きで経験している方も多いと思いますので、実感として理解できるのではないでしょうか?

基本的には、学校を卒業した春から働きはじめる方を指します。すでに働きはじめているベテランも「新卒入社で10年勤めています」のような言い方をします。

数年後に卒業する大学生も、現在が2023年として「25卒」のような表現で、多くの場面で通用します。

 

新卒のメリット・デメリット

新卒として入社するメリットは

・同期がいる

・スタートラインが定まっているので、教育計画が固まっている

・社会人マナーのような基本から教わることができる

わかりやすいところで、上記のようなポイントです。新卒生え抜きを重宝する社風(上司)もあるので、新卒で入社すること自体がアドバンテージになることもあります。

新卒として入社するデメリットは、基本的にはないのですが「新卒採用に慣れているかどうか?」は大切ですね。不慣れだと、あなたよりも教育担当があたふたする場面が増えるでしょう。

 

既卒とは?

既卒とは、卒業後に働かないまま数年経過している方を指します。一般的には、卒業してから3年以内を指しており、それ以上に長いと「働く意思がない、働けない状況である」と判断される可能性があるので、何かしら可能な範囲で経験を積んでおくことをおすすめします。

 

既卒のメリット・デメリット

既卒のメリットについては、アピールポイントにもなりますが「すぐに就業可能である」そして「良い意味で社会人未経験」ということがあります。

・何かしら資格試験の勉強をしていた

・家(家業)の手伝いをしていた

・趣味を仕事にしようとしたが、軌道に乗らなかった

・介護や育児など、働きに出られない環境だった

様々な理由があるでしょうが、その経験からの学びを武器として捉えることができれば、あなただけの強みになります。

デメリットは、次の一点だけです。人事担当者は

「この方は、働く意欲があるのだろうか?」

が本音です。社会人経験がないことで

・チームに溶け込める

・報告連絡相談ができる

・コミュニケーションを大切にする

こういった業務以外のアピールも難しいのですが、学生時代の経験や現状取り組んでいること(勉強、サークル、ボランティアなど)を通じて、人物像が伝わるように工夫しましょう。

意外と「まったく他社に染まっていない、素直な既卒なら全然OK」という会社も多数存在します。このあたりの実態は、求人票からは読み取れないので、面接などを利用して確認することが必要です。

 

失敗しない第二新卒の転職活動とは?

あなたが第二新卒として転職活動をするのであれば、社会人経験があるからこそ

・安心できる労働環境で働きたい

・やりがいを持って、しっかり成長したい

・また早期で退職するような後悔はしたくない

このような想いがあるのではないでしょうか。

やりたいことが明確になって、やる気もあるけれど「またすぐに辞めちゃうような会社は避けたいな…」が本音でしょう。

気になる会社が募集していても

・内情や社風はどうなんだろう…

・自分に合うだろうか…

・給料など待遇の適正値がわからない

こういった心配があると、思い切って応募!とは進めにくいと思います。

 

第二新卒の転職支援に関するプロであれば

・ブラック企業の基準を明確にして、応募先から排除する

・気になる会社の内情をある程度は共有してくれる

・第二新卒ならではのポイントを教えてもらえる

・書類選考突破の対策を行うことで可能性を上げる

・面接突破の対策を行うことで可能性を上げる

といった安心材料があります。

応援してくれる味方がいると全然違いますよ。一歩踏み出してみましょう。

 

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【定着率と離職率は何が違う?】初めての転職で注意するポイント

会社の内部を知る方法として「定着率」や「離職率」という言葉があります。転職の機会などで耳にすることが多いかもしれません。

あなたが20代で、

「初めての転職は不安…」

「誰に相談したらいいのかわからない…」

と考えて、初めての転職をするのであれば、なおさら定着率は気になる数字でしょう。

 

今回の記事では、定着率と離職率の言葉の意味と計算方法、目安の数字、そして「失敗しない初めての転職」についてキャリアコンサルタント目線で解説します。

定着率とは?

ざっくりな表現ですが、一般的には

「入社した社員が、ある期間の経過後に在籍している割合」

で求められます。

「ある期間」というのは、新卒採用、中途採用どちらであっても、1年や3年で計算するケースが多いです。定着率が低い業界は1年定着率、通常は3年定着率を使う傾向が多いと感じます。

・ある会社に勤めたら、最低3年は続けなさい

・3年勤めたら、ある程度「やってきた」と言える

みたいな世界観があるので

・3年経たずに辞めちゃう社員は、どこに行っても辞める不安がある

・3年も続けられない会社は、そもそも労働環境に不安がある

のような判断基準で、3年定着率を気にする背景があるのでしょう。

 

例えば、ある会社で「新卒採用した営業職5名のうち、3年後に残っていたのは4名でした」のケースでは、3年定着率は80%です。

もしあなたが、3年定着率80%の会社に転職するとしたら

「よほど変なことをやらない限り、続けられそうな会社だな」

と思うのではないでしょうか?

優秀な社員を採用したい会社にとって、3年定着率はある程度の水準を維持したいところです。

 

3年定着率の目安は?

1,000名以上の転職希望者とキャリアカウンセリングを行い、転職支援を行ってきた肌感覚ですが、3年定着率に対する判断は以下のようなイメージです。

もちろん、すべての会社に当てはまるわけではありませんし「定着率の高い会社だから、あなたにとって良い会社」とは限りません。さらに

・会社全体の定着率

・部署単位の定着率

があります。両面で考えるようにしましょう。

 

3年定着率が10%未満

→会社のスタンスは「どうせ辞めても、また採用すればいい」です。

このような会社の特徴は

・人材育成に対する考えがない

・すぐに責任者になってしまう

・就業条件明示書には書かれていない問題や虚偽がある

・ノウハウが蓄積されず、マニュアルだけでどうにかしている

・顧客意識が低く、仕事が機械的になっている

あなたが退職した(退職したい)会社はどうでしょうか?

どれかが、またはいくつも当てはまると思います。

 

3年定着率が20~40%前後

特にBtoC、一般消費者に接客営業を行う会社に多いイメージです。

・社員育成の必要性が薄い教育業界

・労働環境が不規則になる飲食業界

・正社員比率が低く、アルバイト主体で運営するチェーン店舗

その他にも

・ノルマが厳しい営業職

・看護職や介護職など、転職してもすぐに活躍できる職種

・高い専門知識やスキルが必要で、習得が大変すぎる業界

などもありますね。

総じて言えることは、辞めることが当たり前の環境だと、なかなか定着率は上がらない、ということです。社員の入れ替えが多いということは、残る社員の負担感は大きいので、どうしても退職不安が連鎖する職場になってしまいます。

単純に「この会社はブラック企業です」とも言えないので、しっかり見極めたいところですね。

 

3年定着率が50%前後

正社員主体の職場であれば、50%以上は維持していないと不安です。

3年未満で退職するということは、ほとんど深い経験を積まないまま退職している、ということなので「早く辞めた方がいいかも…」と思わせる何かがあると想定できます。

 

ただし、採用人数が少ない中小企業は、ちょっと何人か退職しただけで50%を割ってしまう…なんてことはよくあることなので、パーセントは気にする必要はありません。

あなたは、ある中小会社の面接を受けているとします。

「定着率は40%です」と聞かされると、この会社ヤバいのかな…と思うかもしません。または具体的な数字を聞かなくても、面接でのキャッチボールで「あれ…定着率悪くない?」と察することもあるでしょう。

なかなか深堀りしにくい場面ですが

「早期退職する方もいらっしゃると思いますが、どういった理由で退職するのか、聞かせていただいてよろしいでしょうか?」

と聞いてみるのもいいでしょう。

個人的には、退職理由そのものよりも、面接をしている担当者が、退職した社員の顔を思い浮かべながら、エピソードを交えて話してくれる方が安心します。

「なんで辞めちゃうんだろうね…」と、本当にわからないように話す面接担当者もいますが、あまり良い印象ではないですよね。

 

3年定着率が60~70%前後

経験の幅を広げたり、少しでも良い労働環境を目指して転職することが、とても普通の時代になりました。その労働市場にあって、3年定着率が70%前後あったら

・1つでも光る待遇がある(給料、年間休日、家族手当など)

・会社自体(社長)や業務内容に魅力がある

・忙しいことが楽しい雰囲気である

・チームマネジメントが機能している

上記のような要素が、イイ感じに混ざっているのかな、と予感させます。

辞めないことが前提のような職場の雰囲気だと思いますので、あなたのことをしっかり長期的な視野で育てる可能性が高いです。

あまり会社規模に関わらず、66%あれば(つまり3人のうち2人は残る)そのタイミングでは大丈夫な労働環境と判断できます。

当然ながら、転職希望者の競争率も高くなります。あなたが「いいかも…」と考える会社は、きっと誰にとっても「いいかも…」です。しっかり対策して応募に進めたいですね。20代専門の転職サポートもあるので、活用するのも一手です。

 

3年定着率が90%以上

このような会社も実際に存在します。ざっくり分けると

・労働環境が非常に恵まれていて、採用基準が厳しい

・採用自体の件数が少なく、辞める社員がいない

辞める社員が少ないのは、一見すると良いことではありますが、場合によってはベテランばかりの職場になるので

・途中から人間関係に入りにくい(特に同族会社)

・採用自体が久々なので、教育システムがない

といった懸念はあります。

それでも入社後に、専任の教育担当を配置してくれたり、ゆっくりと長い目で見てくれる社風であれば安心して飛び込めると思います。

 

離職率とは?

離職率とは、定着率の反対です。つまり

「3年定着率が60%なら、3年離職率は40%」

のように考えます。

転職エージェントとして、例えば採用担当者にヒアリングをする際は

◇定着率が高そうな会社だったら「3年離職率はどのくらいですか?」

◆定着率に課題がありそうな会社だったら「1年定着率はどのくらいですか?」

のような聞き方をしていました。

求人票の内容を好印象に見せるための、ちょっとした工夫ではありますが

◇定着率が高い会社については、3年離職率の低さをアピールする

→「3年経ってもこんなに残っているんですか?」

◆定着率が低い会社については、1年定着率の高さ(さすがに50%は切らない…)をアピールする

→「意外と続いているんですね」

といった見せ方です。

 

結局のところ、定着率と離職率は同じ現象を表している言葉なので、どちらを使っても構わないです。

・求人票や会社案内を作る際に、どちらの方が不安なく伝わるか?

・質問する際に、どちらの方が使いやすい言葉なのか?

これくらいの差なので、状況に応じて使い分けていただければ良いと思います。

 

定着率を改善するためには?

定着率を向上させたい!と考えている経営者や人事担当者は多いことでしょう。

たまたま退職が続いた

→離職率が上がってしまった

→ブラック企業だと見られてしまう

→本当に欲しい人材を採用できない

このスパイラルに陥ると、採用基準を下げてしまったり、戦力不足のまま職場が回るので、結果的に成果も出にくいチームになってしまいます。

 

会社の規模(部署の数、社員の数)によって、対策の打ち方は変わるでしょうが、汎用性のある対策を3つ紹介します。社員目線でも改善のヒントになるでしょうし、失敗しない転職をするために知ってもらいたいポイントでもあります。

 

①定着率の良い部署に注目して「本当の理由」を抽出する

残念ながら、自社内に定着率の高い部署がなかったとしても、他社の事例を学んで「なぜ定着率が良いのか?」を肌で感じることは、とても大きな学びがあるはずです。

おそらく定着率の良い部署でヒアリングをしても

「なぜ定着率が良いのか、聞かれてもわからない…」

という、嫌味にも聞こえてしまう回答をされてしまうかもしれません。まずは、自分の目で定着率の高い「本当の理由」を感じることが重要です。

・残業がほとんどない部署だから

・有休をしっかり消化できるから

のような、求人票で気になるような理由ではないはずです。

・困った時には、自然と相談して助け合う空気がある

・上司に限らず、頑張りを見てくれている社員がいる

このように、要求しても自然には実現できない「本当の理由」があるはずです。ここを踏まえて、定着に貢献している「本当の原因」を考えます。

 

②退職する「本当の原因」を突き止める

退職理由を上司に説明する時に「本当の原因」をしっかり伝えている方は、どれくらいいるのでしょうか。

「こう伝えれば、上司や会社も納得してくれるだろう」

「前向きな退職理由にしておけば、応援してくれるだろう」

退職について上司に相談する場面をイメージしてみると、もっとも考えなければならないのは「いかにイヤな顔をされずに、スムーズに退職するか…」ではないでしょうか。

 

定着率に課題があって、その現状を変えるのであれば、とにかく正直ベースで話を聞いて現状を正しく知ることからスタートするべきです。これができないと、どんな対策を進めても何も解決しないことになります。

退職が確定してしまえば、どこかのタイミングで「本当の理由」を知ることはできるかもしれません。それでは定着率の改善はなかなか進まないので、できれば退職を検討している段階からヒアリングしたいところです。その方法を次に紹介します。

 

③チームを横断するコミュニケーションを図る

会社に限らず、多くの組織では定期的な面談を行って、意見交換をしたり、目標へのベクトルを合わせたり、困っていることを共有して対策を考えたり、日々取り組んでいます。

しかしながら、面談を行ったところで問題が解決しないケースも多々あります。それは問題自体の中身よりも「面談ではなかなか本音が言えない」ことが根本的に何も解決していないからです。

 

具体的な例を紹介します。

「あなたは技術職として頑張ってきたけれど、現在の仕事の進め方に対して大きな不満を持っている。

この不満について、面談で上司にぶつけたいが、上司は変化を好むようなタイプではない。毎年行っている面談も、あっさりとした内容で終わっている。

仕事仲間に相談しても、自分の考えに賛同してくれるものの、どうせ変わらないよ…と冷めている。全社的な利益を考えたら、自分の考えは間違っていないと思うが、モヤモヤだけが残っている」

このような状況で、さらに

・上司だって頑張っているんだから、何も言わずに自分も頑張ろう

・本当は意見したいが、自分の仕事すらこなせていない状態なので言いにくい

こんな感情もプラスされたら、何も変わりません。上司はまさか、あなたが退職を考えるほど悩んでいるとは夢にも思わないでしょう。

 

このような、誰のためにもならないようなコミュニケーション不能を起こさないためには、チームの垣根を超えた面談が効果的です。それであれば

・普段の仕事の様子をお互いに知らないから、遠慮せずに言いたいことを言える

・自分の成果が出ていなくても、チームが違う上司であれば気にする必要がない

といったメリットがあります。

これは面談の例ですが、普段から「ナナメ上の関係性」を意識して仲間を増やしていると、何か困ったことがあった時に、遠慮なくぶつけられるのでおすすめです。

つまり

「お互いの仕事が見える状態だと、本音が言いにくい」

という現象が起きますので、本音をぶつけられる意味のある面談を行うことが必要です。担当者さえ決めてしまえば、かなり実行しやすい改善策です。

 

働きアリの法則

言い方は様々ありますが「働きアリの法則」を知っていますか?

アリの行列のうち

実際に主体的に働いているのが20%

流れに乗って従っているのが60%

働いているフリ、フラフラしているのが20%

このような割合に分かれているけれど、面白いのは

「主体的に働いているアリを除いて、残り80%のアリの集団にしても、20%、60%、20%の割合に分かれる」

という現象です。

 

あなたのこれまでの人生を振り返ってみても、学生時代のクラス、部活のメンバー、イベント運営のメンバー、そして職場の社員、それぞれ同じような感じではなかったでしょうか。

・グイグイの20%

・まずまずの60%

・フラフラの20%

エース級のメンバーが抜けたとしても、次に控えているエース候補が頭角を現したり、反対に、エース級を集めて最強チームを作ったと思ったけど、全員が活躍するわけではない…

様々な組織を見てきて感じることは、活躍できる社員がいて、力を発揮できない社員がいます。そのバランスの受け入れ方がポイントだということです。

・会社の業績には貢献しないけど、後輩の面倒は「グイグイの20%」

・エース級の活躍をしている社員が、会社行事になると「フラフラの20%」

のように、それぞれの社員の個性を認めて、会社において「何かしらの重要感」を1人1人が持っていることが重要と考えます。

あなたが次に働く会社も、単純に仕事の成果だけで評価するのではなく、様々な角度から社員を評価する雰囲気があると理想的ですね。お互いの弱みを自然とサポートできるチームは、何かトラブルがあっても信頼関係が崩れにくいです。

 

失敗しない初めての転職

転職先を検討する際に、定着率が気になる気持ちはとてもわかります。大切なポイントに絞って、定着率の意味や数字の目安を解説してきました。

しかしながら、定着率や離職率は表面的な数字でしかありません。その裏側にある会社の雰囲気や文化まで意識するように考えてもらえると、失敗するリスクは激減します。その考えるヒントを紹介させていただきました。

 

初めての転職であれば、様々な不安があると思います。

人材紹介会社を使ってみたいけど、それもちょっと不安…という方も多いと思います。転職エージェントを上手に活用するのは、それはそれでテクニックが必要です。

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【職能主義と職務主義の違い】メリット・デメリットを解説

転職の場面で話題になることが多い、職能主義と職務主義について解説します。

企業によるキャリア形成、自分自身によるキャリア形成、という考え方が徐々に広がってきて「どのようにキャリアを積もうかな…」1人1人が考える時代になりました。

その際に大切になる考え方が、職能主義と職務主義です。聞いたことのある方も多いと思いますが、イマイチ「何が違うの?」とか「どっちがどっちかわからない…」という方の参考になると思います。

 

転職エージェント(国家資格キャリアコンサルタント)として、1,000名以上の転職支援を行ってきた経験から、ポイントをまとめて紹介します。

職能主義とは?

職務主義をシンプルに表現すると、会社(人事や上司)が

「あなたが仕事でどのような結果を出すのか、よりも、あなたが持っている能力自体を評価します」

ということです。

日本型雇用と相性が良いです。

「あなたの能力に対して評価する」という表現が最初はピンとこないかもしれませんので、少し具体的な例で解説します。

 

あなたが、ある会社の営業職として働いていたとします。月収は40万円です。

人事異動により、ある日から購買部門で働くことになったとします。あなたには購買の経験が皆無だったとしても、多くの会社では給料はそのまま維持されることになるでしょう。

多少変化があったとしても、営業手当がマイナスされるくらいで済むケースが多いと思います。これは会社の評価の仕方が、職務主義に基づいているためです。

つまり

・あなたの営業職としての活躍は評価している

・あなたが購買に携わったとしても、同じくらい活躍すると見込んでいる

・あなたが持っている、仕事をこなす能力自体を評価しているから、給料は変わらない

という考え方です。

 

人事異動のたびに、未経験の評価をされて給料が下がってしまったら、誰も人事異動をポジティブには受け入れられないですよね。

「あなたの能力に対して評価する」という職能主義は、長く勤めて転勤したり、人事異動を経て昇進していく日本型雇用にピッタリの仕組みです。

もちろん、良いことばかりではないので、メリットとデメリットをそれぞれ整理して解説します。

 

職能主義(企業のメリットとデメリット)

【メリット】

・社員が定年退職まで勤めることを前提としており、長期にわたって社員育成を行いやすい

・長く勤めるほど、会社内での業務スキルや社内外のネットワークが蓄積されていくので、結果的に会社への貢献度が高まる

・転職すると、転職先では職能(評価)が低い状態からのスタートになるので、社員が辞めにくい

・会社の方針に沿って、戦略的な人事異動を行いやすい

【デメリット】

・スキルの高い若手社員よりも、社内外のネットワークが強い中堅社員が評価されることになるので、会社への貢献に対する公平性が低い

・年功序列で給料が決まるので、スキルと給料のバランスが悪い(給料が高すぎる)中堅社員や役員が発生する

・一度高い評価をしてしまうと、評価(給料)を下げにくいため、利益圧迫の原因になることがある

・マネジメントポジションの中途採用では、周りのベテラン社員とのバランスを考えなければならず、高待遇での採用が難しい

 

以上をまとめると、会社にとっての職能主義は

・社員を長期的に育成しやすい

・スキルと給料のバランスが崩れやすく、損益にも悪影響を与える

といった特徴があります。

 

職能主義(社員のメリットとデメリット)

【メリット】

・終身雇用、年功序列を前提としており、何十年も働くうえで安心感がある

・会社の方針や(場合によって)本人の希望により、社内で様々な職種を経験できる

・長く働くこと自体が評価に直結しやすいので、スキル習得や成果よりも「まずは長く働く」に集中できる

【デメリット】

・スキルに対して直接評価が下されるわけではないので、給料や待遇は社内規定の範囲でゆっくりとしか上がらない

・こなしている業務量と給料が比例せず、単純にベテランの方が給料が高い

・オールマイティ社員を育成するためのカリキュラムに沿って、ゆっくりとスキルを習得することになる

・何かに特化したキャリアを積むのが難しく、転職においても基本的には給料が下がった状態からの再出発になる

 

以上をまとめると、社員にとっての職能主義は

・長く働ける安心感がある

・長く働いているだけで、ベテランの方が給料が高い

といった特徴があります。一長一短がありますが、次に解説する職務主義と合わせて、どちらの視点からでも、自分のキャリアを振り返ることが重要だと考えます。

 

個人的には「職能主義が無意識レベルで浸透している」ことが、組織のアップデートやキャリアの振り返りを邪魔していると感じますね。

昭和の高度成長期は、新卒採用が毎年増えていって、自然と組織が大きくなり、マネジメントポジションも増えていきました。入社した会社で長く勤めるメリットが大きかったわけですが

・大企業=安全、とは限らない

・老舗企業=安全、とは限らない

・若手社員の絶対数が減り、争奪戦になっている

そんな時代に職能主義はマッチしない、この現実も見えてきました。

 

職務主義とは?

職務主義は、ざっくり表現すると(欧米的に)スキルや成果のみを評価する仕組みです。

「年齢や性別、経験にも関わらず、あなたのスキルや成果に対して評価します」

という仕組みです。

ジョブ型雇用とも呼ばれ、欧米型雇用との相性が良いです。

職能主義(日本型雇用)とは異なり、その会社で長く勤めているかどうかはほとんど関係ありません。「どのようなスキルを発揮できるのか?」ここにフォーカスしていますので

・会社は必要なスキルに対して給料を支払う

・だから、社員はスキルアップに専念しなければならない

という、ある意味シンプルな会社と社員の関係性になります。

上記の例では、営業職のあなたが購買部門に異動するケースでしたが、イメージとしては

・あなたは、とにかく営業職としてのスキルを磨いて、成果を出す必要がある

・営業職に適性がないと評価されたら、雇用契約が終了するか、別な部門に異動する

・あなたが営業職として大きな成果を出しているなら、もっと高い給料の会社に転職する(ヘッドハンティングされる)

このような感じです。

「会社は営業に関するプロフェッショナルとして、あなたに期待している」

「だから、ベテランよりも成果を出したなら、(当然)ベテランよりも給料をください」

これが職務主義です。「務」は「ミッション」のように解釈すると、すんなり理解できると思います。

 

職務主義(企業のメリットとデメリット)

【メリット】

・有期雇用契約が基本であり、成果を出せる社員のみを雇うことができる

・「ベテラン=管理職=高待遇」とならないので、スキルに見合っていない給料のベテランがいなくなる

・会社にとって必要な専門職に対して、充分なスキルを発揮してもらうので、会社全体の生産性が高くなる

【デメリット】

・より高い給料、より良い待遇を求めて、スキルのある社員ほど退職しやすい

・若手社員にも高い給料を支払うケースが多くなるので、人件費(≠人件費率)が上がる傾向になる

 

職務主義(社員のメリットとデメリット)

【メリット】

・自分のスキル向上によって、給料などの待遇向上に直結する

・スキルや成果に応じて給料が決まるので、社員間での給料格差に納得感が高い

・転職によるキャリアアップが実現しやすく、転職による給料ダウンを避けられる

【デメリット】

・有期雇用契約が前提なので、雇用(生活)の安定感が低い

・在社期間と給料が比例するわけではないので、若手社員との逆転現象が起こる

・キャリアアップを自ら行う必要があるので、自己投資を常に行わなければならない

 

以上をまとめると、社員にとっての職務主義は

・スキルアップを重ねて、専門職としてのキャリアを築く

・自分の雇用(給料)は、自分で守る(上げる)意識が必要

といった特徴があります。

極めたい分野があって、その強みをどんどん伸ばしたいのであれば、職務主義は完全にハマります。専門職としてキャリアを積みながら、スペシャリストを目指すのか、マネジメントポジションを目指すのか、長期的に考える必要はありますね。

 

まとめ

職能主義と職務主義の違いを、それぞれのメリット・デメリットをまとめながら解説しました。その時代によって呼び方が変わったり、会社によっても「ジョブ型雇用を推進します」の中身は大きく変わることがあると思います。

 

あなたが職能主義、職務主義のどちらを希望するのか、また入社した会社の人事システムがどのようになっているのか、しっかり振り返って考えてみましょう。人事システムについては、制度上の説明と実際の社風が全然違う…そんなことも普通にありますので、事前情報を鵜呑みにしないことが大切です。

 

個人的な見解ですが、2020年代前半は

・本業では職能主義を意識して、組織のなかで幅広いキャリアを積む

・副業(趣味)では職務主義を意識して、何かに特化してキャリアを積む

このような働き方が、リスクが少なくて理想かな?と考えています。

あなたにとって、理想的なキャリア形成のヒントになれば幸いです。

 

 

昭和・平成・令和の働き方はどう変わったのか?【文星芸術大学キャリアガイダンス2022年】

宇都宮市にあります文星芸術大学で行ったキャリアガイダンス、今回の講座が今年度最後です。講座のタイトルは【労働市場と雇用形態】です。

これまでの日本型雇用をダイジェストで振り返りながら、これからどのようなスキルや考え方が必要になるだろうか、アンケートを行いながら解説しました。

早く社会に出て働きたいですか?

早速ですが、生徒にアンケートです。

「あなたは早く社会に出て、仕事してみたいなぁと思いますか?5段階で考えてみてください。またその理由も教えてください」

①早く卒業して働きたい

②2年後に就職でちょうどいい

③どちらかというと働きたい

④どちらかというと働きたくない

⑤考えたくもない…

 

結果は以下の通りでした。

①11%

「経済的に自立したい」「お金を返したい」

②39%

「やりたいことが決まっている」「奨学金を返すため」「目標を決めて準備したい」「まだ技術が足りていない」

③22%

「働かないと生活できない」「働いた方が良いと思う」

④22%

「趣味、創作、好きなことに使える時間が減る」「あまり希望が持てない」「ちゃんと働ける自信がない」

⑤6%

「どの仕事が自分に合うかわからない」

 

正直に答えてもらったと思いますが、①②③で合わせて72%です。2年生であることを考えると、意外と多い印象でした。いつかは社会に出て働くことになると思いますが、今回の講座では業界や職種を問わずに、就職後のキャリアについてイメージしてもらいたいと考えています。特に「転職」という人生の節目にフォーカスします。

転職する人の割合

男性では30代後半になると「転職したことがない」は半数以下です。女性に至っては、ライフイベントの影響が大きいこともあるでしょうが「転職したことがない」は30代前半で半数以下となります。

(全国就業実態パネル調査2021年より)

転職することが当たり前になり、特別なことではなくなりました。この傾向はこれからも続くと思います。昭和の時代はどうだったのでしょうか。20年単位で区切ったイメージ(下図)を書いてみました。

昭和時代は終身雇用がハマった

グラフの横軸は年齢なのでわかりやすいと思いますが、縦軸は年収+働く時間+意欲+体力で表しています。強引に表現すれば、キャリア(人生)の充実度です。

赤い線が昭和時代の働き方ですが、20才~40才にかけては、体力に任せてガンガン働くイメージです。人口は増え続け、経済成長も続き、働けば働くほど収入に直結した時代です。40才を超えて課長や部長などの役職で、ある程度の収入を得ながら定年60才を迎えます。そこから先は働く人は少数派になり、多くの人は転職することなく、1社でずっと働き続けていました。赤い線は1本の山なりカーブです。

終身雇用の前提で「自分の成長=会社の成長=日本経済の成長」という図式がハマった時代です。

平成時代は価値観がバラバラになった

大企業が倒産したり、吸収合併が起きたり、工場の海外移転、労働市場のグローバル化など働き方の変化が起きました。「ブラック企業」という言葉も生まれて「収入よりも自分の時間」や「収入よりもやりがい」という風潮が強まった時代です。

また、多くの自然災害が起きて、人生を考え直す機会が増えたこともあるでしょうが、終身雇用に疑問を持ち、キャリアアップを目指して転職をする人が増えてきました。

派遣社員の問題(後述)や雇用形態による格差も課題になりました。その平成時代の働き方は下図のようなイメージです。

青い線が途中でガクンを落ちていますが、そこで転職して年収が落ちていると考えてください。およそ30才前後で家庭を持ったり、価値観が変わってきて転職をします。「転職して環境を変えよう」というモチベーションで転職していた時代です。

転職することが恥ずかしいことではなく、徐々に社会的に認められてきたのが平成時代です。特に前半までは、転職支援サービスも充実しておらず、現職を辞めてから「自分ができる仕事を探す」という転職の仕方でした。自分のスキルや経験を活かすというよりは、その時に募集している求人から消去法のように選ぶので、転職によって年収が下がることは当たり前でした。よって青い線は、ギザギザのノコギリ型になっています。

令和時代は自分で生涯設計をする時代

令和になると、転職したことがない人が少数派になります。転職支援サービス(人材紹介会社、転職エージェント、ヘッドハンティング)が充実してきて、年収やエリアに関わらず「チャンスがあれば転職」という時代になったと感じます。その令和時代の働き方は下図のようなイメージです。

緑の線が20代、30代と伸びていきますが、転職することが当たり前の時代になると「次の20年をどのようなキャリアにしていきたいか」を念頭に働くようになります。趣味や副業としてスタートできる仕事も増えていき、働きながら転職やキャリアチェンジを考えるようになった時代です。収入の急落もなく、転職によるリスクは減ります。

緑の線はいくつも重なりますが、仕事をしながら、学校に通ったり、オンラインサロンで学んだり、新しいコミュニティに飛び込んだり、創作してアウトプットしたり、これらを平行して進めているイメージです。カンタンに表現すると、自分の成長を会社任せにするのではなくて、自分からキャリアを描いていくことが、現代のキャリア形成の理想形です。70才前後でも、グラフが右肩上がりになっていることも特徴です。

よって緑の線は、いくつものキャリアが重なった連山型になります。

 

まとめると

・1社で勤めて人生を過ごす昭和時代

・リスクを冒して、できる仕事を探す平成時代

・できる仕事を増やす令和時代

と表現できそうです。この時代に飛び込むのはラッキーだと思います。このあたりは個人的な感覚ですが、最後まで1社で勤めるのが当たり前、という空気で人生を送る方が様々なことを我慢するのではないでしょうか。

あなたは1社目で何年働くと思いますか?

次のアンケートは「あなたは、最初に勤める会社で何年くらい(いつまで)働くと思いますか?」です。

結果は以下の通りでした。

◇できるだけ長く 31%

「問題なければ続けたい」「面接が苦手だから」

◇3年 25%

「いろいろやってみたい」「とりあえず様子見」「学校と同じ感覚で」

◇4年 6%

「自分を試したい」

◇5年 13%

「いい感じなら続けたい」「スキルアップしたい」

◇3~5年 6%

「一人前になり人脈ができるまで」

◇4~5年 6%

「奨学金を返済するまで」

◇他にやりたいことが見つかるまで 6%

◇すぐに辞めてしまうかも 6%

 

単純に1社で長く勤めることが、イコール良い、ではありませんが、長く勤めるにはその努力も必要ですね。勤める職種にも大きく影響されると思います。できるだけ長く勤めたいと回答した31%は、全国の実態調査とほぼ同じなので、そこも興味深いです。

 

長く勤めることを考えると、正社員として働くことが前提になります。終身雇用が前提で、解雇になる可能性も非常に低いので「長く勤める=正社員になる」と考えてもらって大丈夫です。その他の雇用形態も含めて要点(下図)を解説します。

正社員の働き方とは?

先にも説明しましたが、正社員は「自分の成長=会社の成長」という関係です。ですから会社は、正社員として終身雇用して長い期間をかけて育てていきます。

様々な部署を経験することも多く、ひょっとしたらあなたが希望する仕事に配属されない可能性はありますが、安定感がある働き方です。所定労働時間があって、結局のところ「時間で給料をもらう」というスタイルです。

派遣社員の働き方とは?

派遣社員は「派遣社員に登録して、自分が希望する条件で働く」という働き方です。当然、希望する仕事(職種、エリア、時間、曜日)で働ける可能性が高いです。その代わり、働く現場となる会社との雇用関係はないので、あまり積極的に教育はされないことは想像できると思います。雇用期間も決まっているので、仕事が途切れてしまう懸念はいつもある感じです。

会社目線で考えれば、あくまで「今だけ忙しいから、必要な仕事を淡々とこなしてくれればいい」という働き方です。多くの場合は、時間(時給)で給料をもらうことになります。

 

ひと昔前の派遣社員は、専門的な職種に限られている特別な存在でした。デザイナーも早い段階から派遣としての働き方が認められていました。その頃の派遣社員は「ようこそ来てくれました。これができる人が社内にいないので助けてください」というありがたい存在でした。

会社側の都合として、徐々に人件費をコントロールしやすい派遣社員はもっと自由に使いたい、ということで営業や事務、やがて製造現場でも派遣の仕組みが取り入れられました。

「ようこそ」から「派遣って便利だな」に変わり、そのうち「この仕事は派遣でいいよ」このように、派遣を取り巻く環境は変わりました。リーマンショック(2008~2009年)で派遣切りが騒がれた時にも、切った切られたよりも、派遣社員はスキルがないので再就職できない現象が社会問題になりました。製造現場で同じことを毎年繰り返しているのですから、当然の結果ではありましたが、当時は派遣という働き方を望む人も多かったことも問題を大きくしました。

業務委託(フリーランス)の働き方とは?

デザインのスキルを磨いて社会に出ようとする人は、ひょっとしたらフリーランスとして活躍する夢を描いているかもしれません。自分の腕一本でやりたいことを叶える、このフリーランスという働き方も魅力的です。新卒でいきなりフリーランス、ということはないでしょうが、いったんはここを目指して経験を積むのは良いことだと思います。

業務委託という働き方は、期間ではなくプロジェクト単位で考えることが多いので、与えられた役割を時間内に、予算内で、望まれたクオリティで仕上げなければなりません。働いた時間で報酬が決まるわけではありませんので「成果=報酬」という関係性です。

 

現在の日本では、正社員としてキャリアを踏み出すのが間違いない選択になりますが、必ずしもそれが正解ではないですし、労働市場全体でも正社員の在り方を見直しましょう、という動きが出ています。

正社員としてのキャリア(日本型雇用)について、良いところ、悪いところを下図にまとめてみました。

日本型雇用の良いところ・悪いところ

日本型雇用の問題点は、大きく分けると2つあると考えています。ひとつは、自分の成長を会社任せにしてしまうことです。言い換えれば、ビックリするほど多くの人は働きながらの勉強をしなくなります。もうひとつは、雇用の流動性が起きないことです。

この2つは一緒になって起きる現象です。

・希望の会社に入る

 ↓

・安心する

 ↓

・会社に命じられた仕事をやる

 ↓

・この会社が順調ならいいなと願う

 ↓

・何年か勤めると成長が止まる

 ↓

・新しい技術や新人についていけなくなる

 ↓

・働かないおじさん問題

 ↓

・日本全体の成長や新しい産業の誕生が起きない

 ↓

・昭和時代から続く会社が、有名だし安心感がある

 ↓

・安心感のある会社に入社したい

この悪循環が「平成の失われた30年」を生みました。違う切り口でも平成時代を評価できるので、起きている問題はこれだけが原因ではありません。しかし、自ら成長する考え方が弱い日本のサラリーマン(ウーマン)が、激動の社会変化についていけない悲劇は避けなければいけません。

まとめの章です。これから社会に出るにあたって、何をどのように頑張れば良いのか、ポイントを下図にまとめました。

雇用の安定とは?

「安定している会社に入りたい」「成長している会社に入りたい」「ブラック企業は避けたい」様々な気持ちが入り混じって就職活動をすることになると思いますが、10年先まで絶対の会社なんてありません。

吸収合併されるかもしれませんし、大きな会社ほど外資に買われてまったく違う社風になるかもしれません。たった1つの不正で会社が傾くこともたくさんニュースで見てきました。

安心して働くためのコツを1つだけに絞るとしたら「どこに行っても安心な自分になる」これしかありません。日頃からスキルの幅を広げて、専門性を高めて、新しいことにもチャレンジして、何が起きても対応できるようにしましょう。これは教えられることではなく、1人1人が考えて習慣にしなければならないことです。

キャリアはかけ算して価値を上げる

あなたがもし、デザインを勉強してきたけれど、まったくそれを使うことのない仕事に就いたとしましょう。だとしても、デザインを勉強してきた経験は、必ずどこかで発揮されると思います。

例えばですが、小さな町工場みたいな会社で事務の仕事をすることになったとしても、デザインは何かしら続けながら、事務としてのスキルを磨くことを強くおすすめします。1つ1つは繋がりがないように見えても、ふと立ち止まった時に…

「デザインのことがわかる」×「機械部品に詳しい」×「資料作成が得意」

こういうスキルの増やし方をしている人は、かなりのレアカードになります。つまり、デザインだけの一騎打ちなら負ける、機械部品についても良く知っている程度、資料作成ももっと上手な人は山ほどいる、でも3つを叶えられるのはあなたしかいない、という状態です。

何か1つのスキルで飛び抜けて、その武器だけで戦うのはリスクが大きくなります。もっと強い敵が現れたら、負けるだけでなく、自信まで失ってしまいます。3つ以上のスキルをかけ算すると、そもそも勝負する人がいなくなります。

唯一の注意点としては、全部が中途半端だと、かけ算しても意味がないので、やってみるからには少しでも成果が出るまでやってみましょう。この考え方があると、全然違う業界に転職することも怖くなくなります。

「敗因の99%は自滅である」

個人的に大切にしている桜井章一氏の言葉です。負け知らずの麻雀をしたことで有名ですが、多くの現象に当てはまるこの言葉は強烈です。

誰もあなたの創作を邪魔する人はいません。あなたの就職活動を邪魔する人もいません。働くようになっても、ほとんど邪魔する人はいないでしょう。友達関係、お金、健康、何においても基本的には邪魔する人はいないと思います。

しかしなぜか、勝手に誰かと比べて自信を失くしたり、勝手に焦ったり、調子を崩したり、自滅するパターンがほとんどです。

スポーツだと短期で結果が出るのでわかりやすいですが、相手が強いから負けた…よりも、負け試合のほとんどは、自分達の力を出せずに負けるパターンではないでしょうか。

キャリア(人生)は長い自分との戦いですから、じっくり焦らず「自分は何がしたいのか、どういう人になりたいのか」を考えて、後悔のない日々を送ってもらいたいと思います。

人生を分けているのは、タイムラグ(時間差)に対する理解

やった方が良いとわかっていても、なぜ継続できないのか???

これは誰もが思っている悩みではないでしょうか。上に書いた自滅の話そのままですが、継続さえできれば人生違っていたんじゃないかな?と考えることは自然なことです。

結局のところ「成果が出るには時間がかかる」これが差を生むポイントになります。

わかりやすく、筋トレで考えてみます。シンプルにまとめてみると

・今日筋トレをやる

 ↓

・翌日ムキムキになっているわけではない

 ↓

・だから今日はやらなくていいや

 ↓

・翌日も筋トレをサボる

 ↓

・1日サボっても筋肉は目立って落ちない

 ↓

・安心する

 ↓

・だから筋トレをサボる

つまり、やっても成果がなかなか出ないからサボる。やらなくても、すぐにダメージが出るわけではないからサボる。タイムラグ(時間差)を理解していないと、やってもやらなくても無意識レベルでサボりやすいということです。

遠くに目標を設定するのは大切です。そして、ちょっとずつでもいいから継続することは大切です。あなたが3年生~4年生になり、ますます課題が厳しくなり、卒業制作にも追われることでしょう。就職活動にも苦戦するかもしれません。それでも「結果は先になってから」を信じて、今を頑張るしかありません。

わざわざ芸術大学を受験して入学してきた、そのマインドがあるあなたですから、今まさに勉強しているデザインをどうか継続して、いつの日かどういった形でも輝くことを応援しています。

 

 

 

【年下上司】と【年上部下】良い関係性を築くには

在社年数に関わらず、スキルや経験によってポジションが変わるケースが増えています。正確なデータがあるわけではありませんが、あなたも勤めていて

①年下社員が上司になった

②年上社員が部下になった

という経験はありませんか?

どちらであっても、キャリアコンサルタントの視点から、円滑に業務を進めて、コミュニケーションがスムーズになるよう、アドバイスをまとめます。

日本型雇用が徐々に変化して、職能主義(その人自身のスキルを評価するので、在社年数が長いほど評価が上がりやすい)から職務主義(スキルや経験が直接評価されて、役割や役職も決まる)に移行しています。

転職するということが特別なことではなくなり、マネジメント能力自体が重要なスキルであるという価値観の変化も起きています。

 

このような背景で、年齢に関係なくポジションが決まるわけですが、組織においてこれがうまく機能するケース、ダメになるケースが起きます。

ダメになるケースがわかりやすいので、こちらから解説します。

 

【在社年数、経験年数、社歴がモノをいう】

これが一番多いのではないでしょうか?「先輩の方がエライ!」は、例えば学校生活のように、同じ立場で同じことをするのであれば(まだ)理解できますが、会社内においては「どういう組織であればもっとも成果が出るのか?」ここを考えなきゃダメですね。

①年下上司が潰されるパターン

これは年下上司が、経験不足が当然だったりするし、周りの社員や外部の方が信頼関係が出来上がっていると起きやすいです。

業務については、何かしらスキルがあったり、成果を出せると見込まれたから上司になっているはずですが、その良さを発揮できないという悲劇です。意味不明にかき回す部下も困りものです。

②年上部下が腐るパターン

これは年上部下が、何かしら業務上で歯がゆい思いがあったり、仕事を進めるうえでスルー(意見を言えない)みたいなことが続くとこうなるのではないでしょうか?

割と業務に関して、自分より若い社員がバリバリやるのは抵抗がないはずです。しかしながら、社歴が長い分「こうやったらいいのになぁ…」と見えてしまうことも多くなります。

 

【報告連絡相談フローが機能しない】

あなただって何か相談したい時って、できれば相談しやすい人に相談すると思います。業務上の内容は、しょうがなく「先に上司に相談しなきゃな…」って感じではないでしょうか。

報告連絡相談(報連相)のフローをしっかり固めることは重要です。

組織の形を維持して、機能させるためには必要なことですし、それによって人が育つ、という目的もあります。

①年下上司が潰されるパターン

何かの決定フローについて、年下上司が関われない、知らないうちに何かが決まっている…これは上司の孤独感がとんでもないです。

「自分は何なの?」

「自分は大事な存在なの?」

ここまで話が戻ると、モチベーションが上がらないですね。そして周りの部下も察してしまいます。

②年上部下が腐るパターン

年上部下は「最初っからオレに聞いてもらえれば…」とか思いますが、年下上司は「あの人に聞くと面倒なことになる」とか「昔話ばかりで使えない」みたいな状態です。お互いにぶつかるわけでもなく、年上部下はモヤモヤが募ります。

多くの場合、年上部下は決まらなくてもいいから、とにかく議論を交わして空中戦がしたいのです。

 

ざっくり、どうすれば良いのか?

①年下上司のケース

あなたが年下上司だとしたら、とにかく年上(先輩)の意見にも耳を傾ける、これが一番です。聞かれた方が「とりあえず聞いてくれて、なんかうれしい」これで充分です。

もちろん部下から気軽に声をかけられることも、必須のスキルです。「◇◇さん、ちょっとよろしいでしょうか?」と相談されなかったら、あなた自身に強烈な課題があると思っていいと思います。「なんでオレに先に言わないんだ!」とか言っちゃうと、逆ギレにしか見えません。

周りに年下上司がいたら、これまた声をかけられることを考えましょう。別に無理に答えを出そうとしなくていいし、過去の事例がなくてわからなくても構いません。「◆◆さんに聞いてみたらいいんじゃないかな?」とか「こうやって調べたらいいんじゃないかな?」これだけで充分です。

在社年数、経験年数が豊富なことは、情報や社内ネットワークのハブになれる、これが大きな武器ですね。

②年上部下のケース

これは①の内容とまったく一緒です。いろいろ思うことはあるはずですが

•自分の役割に集中する

•相談されやすい雰囲気を出す

•ムードメーカーを意識する

おそらく「ムードメーカー」という言葉がわかるような、わからないようなって感じかもしれません。決して、率先して盛り上げる!ということではなく、落ち込んでいる若手に声をかける、面倒なことを引き受けてみる、そんなことで充分です。

あなたが年上部下だとしたら、少し難しいのは演じる役が多いことかもしれません。基本的に上司は上司を演じればいいけど、部下であるあなたは

•従順な部下

•問題提起する同僚

•課題の解像度を上げる経験者

•先輩パパママ

いくらでも演じる役があります。ですので、人生経験が豊富なことは、演じる役が増えるということなので、その引き出しを場面に応じて発揮するのが理想ですね。

 

参考にしてもらえると幸いです。

 

 

 

発想〜構成〜作業で考える仕事の選び方【文星芸大キャリアガイダンス2022年】

これまで「芸大で学ぶデザインってどう活かせるの?」をテーマに講座を行ってきました。今回はITエンジニア(特にWEBデザイナー、CGデザイナー)と公務員の仕事にフォーカスします。

内容的に一区切りになるので、仕事の選び方まで含めて解説したいと思います。

発想・構成・作業 どれが得意ですか?

これまで紹介した業界や職種について、おさらいも含めて考えてみます。1回目が『サービス業と事務職』で、2回目が『製造業と営業職』でした。今回は『ITエンジニアと公務員』について解説します。

業界や職種が混ざっているので、わかりにくいかもしれませんが、これらの6つの仕事を分類するために、仕事を進める順序を【発想】→【構成】→【作業】と分けて、どれくらい労力をかけるのか?という視点で考えます。

『サービス業と事務職』

これはモロに対人で進める仕事が中心なので、実は発想力が問われたり、クリエイティブな内容も多いです。もちろんマニュアルなどは揃っているでしょうが、その都度「何をどのように伝えようかな?」と考える必要があります。

事務職はルーティンワークばかりだよね…というイメージがあるかもしれませんが、そのような仕事は近々AIに奪われるでしょうし、入力作業に労力がかかるなら、そもそも向いてないです。

『製造業と営業職』

発想や構成は上流過程で必要ですが、基本的には作業(手を動かす、足を運ぶ)をして仕事を進めていきます。雑な表現ですが、作業量と仕事量が比例します。ロボット化がもっと進まないと、少ない労力で大きな成果を出すことは難しいでしょうね。

『ITエンジニアと公務員』

意外に思われるかもしれませんが、発想する仕事はほぼありません。確かにイノベーションを起こすような、斬新なアイデアが生まれることはありますが、ゴールが完全に決まっている状態で仕事をすることばっかりです。

これらをまとめたイメージ図が下の通りです。

【発想】はアイデアマンのようなイメージですね。マンガ制作では、プロットを考えたりする人で、キャラクターや設定、全体の流れを決める役割です。3つの段階では一番上流の仕事ですね。

【構成】は「どう見せるか」を考えます。マンガ制作ではネームやコマ割りに該当します。どんなに魅力的なストーリーを思い浮かべても、どのように見せれば伝わるのか、これを考えなければなりません。マンガを読んだ人の第一印象にもなりますし、読みやすさにも繋がります。

【作業】はわかりやすいですね。実際の作画です。【構成】がゴールイメージを作ってくれているので、実際に仕上げる役割です。多くの場合は、一番時間がかかるので分業して進めることが普通です。

ここでアンケートで聞いてみましょう。

『どの仕事においても、ある程度はこの3段階のどれかに該当すると思いますが、皆さんが「自分に向いているな」と感じる段階(仕事内容)はどれでしょうか?』

【発想】10名

【構成】5名

【作業】18名

という結果でした。【発想】を選んだ人は「そういうことが好きだから」という、考えることを楽しめる人が多い印象です。【構成】については、なかなかピンとこないかもしれません。「楽しそう」という答えもありましたが、実際に社会に出てみると、どういう仕事のことを指すのか実感できるかもしれません。

私自身もゼロからイチを作るのは好きですが、どのように伝えるのか戦略を考える方が、もっと好きになりました。【作業】は「実際に手を動かして作るのが好きだから」のような答えがほとんどです。ワイワイ作る、黙々と作る、いろいろありますが、もっとも多数になったのはさすが芸大ってところでしょう。

芸大を卒業して、ITエンジニアや公務員として働くのも、向いているかもしれませんね。

ITエンジニアの仕事とは?

先にも触れましたが『ITエンジニアと公務員』というまとめ方で考えると、共通するのが

•基本的に分業する

•ゴールイメージが決まっている

です。明確なルールに沿って、流れ作業のように仕事を進めますので、1人で幅広くやるより、分担して効率よく仕事をさばきます。

「とりあえずこんなアプリを作ろう」

「とりあえず公園作ろう」

「とりあえず少子化対策を進めよう」

とはなりませんので、例えば家電の仕様書ってありますが、その仕様書を先にガチガチに固めてしまって、それを作り上げる感じです。

ITエンジニア、特に皆さんの場合は、WEBデザイナー、CGデザイナーが当てはまると思いますが、この道を目指すのであれば2つ意識してもらいたいことがあります。

①強い分野を見つける

例えば芸大に入学すると、様々な引き出しを作って、芸術の流れを知るために(もしかしたら興味のないような)分野まで含めて、広く浅く勉強することになると思います。

社会に出ると「何でもやります!」みたいな意欲は必要ですが「あなたは何が得意ですか?」に対して、しっかりと答えられると強いアピール材料になります。

•CGで手書き風の動物

•AIを使った造形

•メタバース上でのプレゼン

など、具体的な中身はともかく(IT分野でなくても、もちろん構いません)あなたが強い分野を見つけて伸ばしていきましょう。

②情報発信する

これはすでにやってるよっていう人も多いかもしれませんが、得意な(相性がいい)SNSを使って、ぜひ自分の使っている、お気に入りのものを公開してほしいですね。

何かのチャンスになる!というよりは、どのように伝えれば伝わるかな?と考えるきっかけになると思います。作るよりも伝える方が難しいなぁ…って実感することも大切な経験です。

 

もしITエンジニアに限らず、デザインや芸術の方面に進むのであれば、ぜひ大学生のうちに意識して、行動してもらいたいことがあります。私なりに下にまとめてみました。

◇趣味でも作品を作る

◇仕事の進め方を知っておく

の2つは、社会に出ないとわかりにくいのですが、とにかく「自分が思うようなデザインなんて作れない」が前提です。結局クライアントの意向によるし、その意向も変わるし、事前の打ち合わせ、完成後の手直しなど考えたら、デザインどうのこうので悩むより、その前後で頭を悩ますことになります。

仕事の流れを知ってもらいたいこともありますが、ぜひ「制約なしで思うように作ってみる」は継続してもらいたいですね。仕事に忙殺されるうちに「制約なしで作ってごらん」と言われても、手を動かせなくなってしまいます。

◇活躍しているデザイナーを見つける

これについては、実際にアンケートを行ってみましょう。

『デザインや芸術の分野で目標とする人、憧れている人はいますか?できれば理由も一緒に教えてください』

・いない、という回答は2人でしたね。これも貴重な考え方です。いろいろな世界を触れながら、そのうちお気に入りが見つかると思います。「恋愛しなさい!」と言われてできないように、タイミングや出会い次第だと思います。

全体的には漫画家、イラストレーターが多かったですね。

・古館春一、藤本タツキ、荒川弘(画力、話のテンポ、キャラクターが好き)

・姫川明、山村れぇ、高橋留美子、板垣巴留(タイプだから)

・真木蛍五、本田ロアロ

・ちばてつや(漫画が上手い)

・ヒトこもる、marumoru

・NAKAKIPANTZ(レトロポップな絵柄)

・水木しげる、ヒグチユウコ、椛島(ペン画が素晴らしい)

・野田サトル(構図)

・しきみ(作風が好き)

・松本大洋(独自のスタイルと感性)

・堀越耕平

・林田球

・清水侑子

・三輪士郎(カッコいいキャラ)

・城咲ロンドン(世界観が好き)

・姫川明輝(生き生きとしたカッコいい絵)

世界的なデザイナーや画家の名前を挙げた人も多かったです。イラストレーターとの境界線が微妙なので、分類の仕方が間違えているかもしれませんが、以下の回答がありました。

・マイヤイソラ(花が好き)

・キース・ヘリング(デザインの簡略化、世界観)

・ガブリエル・シャネル(流されず自分のデザインを通す)

・ギュスターヴ・クールベ(徹底的な反抗、史上初の個展)

・吉田ユニ(独特のアイデアとデザイン)

・佐藤卓(シンプルで無駄がない)

・成田亨(デザインがすごい)

・オビワン(一目でわかる確立されたデザイン)

その他に少数ですが、面白いチョイスもありました。

ゲームメーカー

・mihoyo(クオリティ、予想を超える)

陶芸家

・今井完眞(リアルな作品)

シンガーソングライター

・大森靖子(常に面白いものを作る)

アートディレクター

・佐藤ねじ(発想が面白い)

なんてものもありました。私が知らないデザイナー、アーティストも多く(というか、ほとんど)「こういうのが好きなんだなぁ…」と思わされたり「これってどこかで見たことあるな」というものもあり、調べて直してみて面白かったですね。分類の仕方が違っていたらすいません…

目標とする人がいると、迷った時に思い出したり、心の支えになったり、作品を見ているだけでモチベーションが上がったり、プラスになることが多いと思います。もちろん「作品が好き!」でも構いませんし、生き方や考え方に魅力を感じる、のような角度でも素敵です。目標を見つけて大切にしてほしいです。

公務員の仕事とは?

公務員になるには、公務員試験を受けるというわかりやすい道があるのですが、実際に公務員になってからの働き方を知ってもらいたいと思います。すべての公務員に当てはまるわけではありませんが、ざっくりと2つにまとめます。

①スキルが蓄積されない

ひとつの部署に2〜3年程度しかいないので、いろいろな経験ができる!という面白さがある一方、スキルが身につかないという気になる問題もあります。

学校の先生など、同じような仕事内容を繰り返す仕事もありますが、なかなか一般企業に通用する経験を積めません。つまり「転職することになったら、かなり厳しい…」これは転職支援をしていても痛感していました。真面目に仕事するのはわかるけど、新卒と変わらないかな…というのが採用側の正直な評価でしょう。

②国、県、市の方針で仕事が決まる

国の政策や方針転換、県知事選挙、市長選挙によって様々な産業が影響を受けますが、公務員は仕事が生まれたり無くなったりという意味では、影響が非常に大きいですね。

ちょっと古い話ですが、2016年にLRT(宇都宮駅と工業地帯を結ぶ次世代路面電車)を進めるか否かで割れた市長選が行われました。

結果は賛成派51、反対派49の大接戦で着工が決まり、2023年夏に開業予定です。予算増額、開業延期とトラブルも起きましたが、もし反対派が当選していたら当然計画見直しとなって、違う2020年代を迎えていたことでしょう。

開業に向けて動くことで、ITエンジニアをはじめ、多くの産業との連携が生まれ、関連する雇用ニーズも高まったはずです。市役所には専門の課もできて一大プロジェクトとして走り出しています。

最後のアンケートです。

『もしLRTの着工前に、賛成反対を問う選挙が行われたら、どちらに投票しますか?』

結果は賛成が多数ですね。

賛成23

反対4

賛成派の意見は

•高齢者が暮らしやすくなる

•観光にプラスになる

•環境に良い

という理由が多かったですね。シンプルに賑やかになるし、話題性はありますよね。

反対派は少数ですが、しっかり理由を書いてくれている人が多かったです。事故の心配や赤字運営になったらどうする?など現実的な懸念材料を挙げました。面白い視点だなと思ったのは「20年も前の都市計画なのに、それで進めていいの?」という内容です。選挙の結果では、反対派も半分程度いたことは市民は忘れてはならないと思います。

県外から引っ越して来た人にとっては、ピンとこない質問だったかもしれませんが、選挙結果ひとつで、デザインの仕事が生まれたり、運営や管理をする仕事が生まれたり、皆さんの環境も変化します。ニュースを見る際には「だからどうなるのかな?」という視点で考えてもらいたいですね。

モチベーショングラフ

全3回で代表的な6つの仕事について紹介してきました。仕事の種類はまだまだ限りなくありますし、これから生まれてくる仕事もあるでしょう。

その時に「どうやって仕事を選べばいいの?」とならないために、考え方のヒントを教えます。このモチベーショングラフの考え方は、社会に出てから「転職しようかな?」みたいな大きな節目で自分を見つめ直す時に、かなり役に立つはずです。

皆さんが入学したのは昨年の4月なので、そこから時系列で文星芸大で過ごすモチベーションがどのように変化したのかグラフにしてみましょう。

下の図はテキトーに書いてみたグラフですが「この頃は何%だったなぁ」ということより「なぜ上がったのか?なぜ下がったのか?」という理由や背景の方が何倍も大切です。

理想論かもしれませんが、なるべくモチベーションを高く維持できる仕事の選び方ができるといいですね。そのためにも「どういう時に上がる」のように、あなた自身のことをよく理解しておきましょう。またどうしても、仕事やプライベートでモチベーションが下がるタイミングはあるでしょう。どうすれば脱出できるのか、スルーできるのか、何は耐えられて、何は絶対に許せないのか、ネガティブなシミュレーションも大切です。

結局「自分をコントロールできる」とか「自分で自分の機嫌を上げられる」という社会人は、精神的にも自立して活躍しやすいです。そういう社会人を目指してほしいと願います。

 

最後は、仕事の選び方のヒントってことでまとめましたが、何にしても芸大で頑張って勉強することは決して無駄にはなりません。様々な業界、職種で発揮できますので、芸術やデザインの道に進まなかったとしても、大きなスキルとして自信を持ってもらいたいと思います。

参考にしていただけると幸いです。

 

 

 

デザインの勉強って、製造業・営業職で役に立つの?【文星芸大キャリアガイダンス2022年】

前回は「芸大の勉強と実際の仕事の関係性」ということで、日々勉強している内容は、サービス業や事務職に活かすことができるのか?どのように活かせるのか?について講義を行いました。

 

 

今回は製造業と営業職について考えてみたいと思います。前回のサービス業と事務職については、相手がお客さんなのか同僚なのか、という違いはありますが「何かを作って伝える」という場面が多い、という話をしました。店のポスターなどがわかりやすいと思いますが、現場スタッフで作ってしまって掲示する仕事があった際には、勉強しているデザインがストレートに発揮できます。

 

製造業や営業職は、デザインが活きる!というよりは、結果的に製造業に就職する生徒は多いだろう、という視点で解説をしていきます。また、ガッツリ営業職でなくても、仕事をするうえで、何かしら営業的な考え方は必要になります。

製造業も営業職も、大学生から見ると遠い存在かもしれませんが、いきなり自分のこととして考える可能性がある業種・職種です。その観点でまとめてみました。

前回アンケートの結果、営業職を希望する生徒はいませんでしたので、今日の講座は製造業をメインに話します。あなたが「製造業」って聞いて思い浮かべる会社はどこでしょうか?会社名、メーカー名ですね。

順不同で重複しているメーカー名もありますが、結果は以下の通りです。

・トヨタ

・日産

・ホンダ

・ソニー

・住友

・東芝

・パナソニック

・川田工業

・小林製菓

・明治

・ヤマザキ

・日清

・日立

・ダイソン

・バンダイ

・三菱

こうして見ると、日産、ホンダ、パナソニックなど栃木県内に工場があるメーカーの複数回答が目立ちますね。本題からは少し外れてしますが、これらのメーカー、昭和から続いているメーカーばっかりです。長く生き残ることは確かに強い会社の証しかもしれませんが、この20〜30年で大学生の印象に残っているメーカーが、新しく入れ替わっていないことも問題です。

日本の製造業に関しては

「もっと薄く」

「もっと軽く」

「もっと省エネに」

「もっとコストを抑えて」

のように、ひたすら真面目に改善しよう、と意識が向きすぎているのかもしれません。生活をガラッと変えるようなイノベーションが起きないのは課題ですね。日本のメーカーが、世界を席巻するようなイメージは難しいのではないでしょうか。

今こうしてLINEでアンケートを行って、日々思ったことをTwitterやFacebookで投稿して、Amazonで買いたいものを注文して、ヒマがあればYouTubeで時間を潰して、全部海外製のスマホで用事が済んでしまっています。生活の何から何まで、ここ最近生まれた海外のサービスで囲まれています。

芸術を勉強している文星芸大の学生でも、必ず製造業に進む生徒がいるはずです。ただ物を作る製造業も否定はしませんが、生活や社会に対してゲームチェンジを挑むようなメーカーにチャレンジするのも面白いと思いますので、参考にしてみてください。

 

さて、一口に製造業と言っても、様々なメーカーがあります。何を作っているのか、どのくらいの規模で作っているのか、ここ数年のヒット作を狙っているのか、定番なのか、価格帯や地域特性など含めたら、いくらでも細かくカテゴリー分けできそうです。

考えやすくするために、製造業のデザインに関するアンケートを2つ行います。回答のルールはありますが、ぜひ自由に考えてみてください。

 

①あなたはスマホの本体を作るような、大きなメーカーに勤めているとします。仮にあなたがデザイナーとして、次に世に出すスマホをデザインするとしたら、どのようなデザインを考えますか?

◆機能的な進化は考えないでください。

◆形、色、素材など五感で伝わるもので考えてください。

回答結果は以下の通りです。

◇柔らかい(持ちやすい)

◇柔軟性がある(曲がる)

◇触り心地が良い素材にする

◇カラーバリエーションを増やす

◇薄くて軽い

◇丈夫で軽い

◇大画面

◇低反射の見やすい画面

◇2画面デザイン

◇メガネデザイン

◇最初から手帳デザイン

◇長方形+赤+つるつる

◇木製

◇リサイクル素材

◇セミオーダー(カスタマイズ可)

◇シンプル

このような結果になりました。かなり具体的に回答してくれた生徒もいますし、自由度が高いカスタマイズができるような回答も多かったですね。表現は異なりましたが、カラーに関する意見が多いのは、さすが芸大ってところでしょうか。

 

②あなたは服飾を手掛ける小さい会社に勤めているとします。この秋冬にかけて、新作の帽子を手作りすることになりました。あなたがデザイナーだとして、どのような帽子を開発(デザイン)してみたいですか?

◆機能的な進化は考えないでください。

◆形、色、素材など五感で伝わるもので考えてください。

◆その帽子をいくらで販売したいのか、その理由も考えてください。

◆できれば【商品名】その理由も考えてください。

回答結果は以下の通りです。

◇【デザイン】ポケット付き

◇【デザイン】クッション

◇【デザイン】温度調節可能+耳当ての取り外し可能→4,000円「手作りだから」【商品名】もこもこ耳当て付きキャップ「名前から機能がわかるから」

◇【デザイン】ナチュラルカラー+耳を守る→1,200円「他の帽子と同じくらい」→【商品名】あったか耳当て帽「機能性や形状がわかるから」

◇【デザイン】形が変わる

◇【デザイン】けもみみ(獣耳)→5,000円「手作りだから」

◇【デザイン】耳当てが付いている→1,650円「買いやすく安すぎない」→【商品名】防耳はっと

◇【デザイン】秋冬イメージ→5,000円「良い素材を使うから」→【商品名】winter color hat

◇【デザイン】イチョウ柄→1,220円

◇【デザイン】日用品の形→2,525円「笑顔になってほしい」

◇【デザイン】ふわふわのベレー帽→2,100円→【商品名】ふわもこベレー帽「ふわふわもこもこしているから」

◇【デザイン】ふわふわで白50オレンジ50→1,399円「妥当かな」→【商品名】ぽかぽかぼうし「暖かそう」

◇【デザイン】もこもこが取り外し可能→1,530円→【商品名】ピンポイント暖かキャップ「暖められる場所を変えられるから」

◇【デザイン】ふわふわして暖かい→1,500~2,000円「他の帽子を同じくらい」→【商品名】ひつじのぼうし「ふわふわして暖かい→羊の毛」

◇【デザイン】軽くて暖かい→3,500円「手作りだから」→【商品名】フェザー「軽いから羽根の意味」

◇【デザイン】柔らかくて保温性がある→5,000円「手作りだから」→【商品名】柔らか折りたたみ帽子「柔らかいところが特徴だから」

◇【デザイン】秋冬を連想させる薄い赤のふわふわ→2,500円「秋冬に適したデザインと機能」→【商品名】ふわあか「チャームポイントを覚えてもらうため」

◇【デザイン】LGBTQキャップ→500円「ワンコイン」

◇【デザイン】顔が見られにくい→1,000円「高すぎない値段」→【商品名】秘密帽子「恥ずかしがり屋にオススメしたい」

◇【デザイン】マスク付き→3,000円「マスク分の布面積が大きい」→【商品名】フェイスニット「顔を覆うニットだから」

◇【デザイン】1~100の番号がデザインされている→1,500円→【商品名】100番帽子

◇【デザイン】手編みのニット帽→3,600円「手作りだから」→【商品名】あたたかニット帽「ニットの暖かさと手編みの温かさ」

◇【デザイン】布が厚いニット帽→499円「ワンコイン」→【商品名】保温帽子「伝わりやすいように」

◇【デザイン】季節の色を生地に使い保温性もある→850円「利益が出やすいように」→【商品名】思いも心もぽっかぽか もこふわ帽子「心も体も温かく」

◇【デザイン】唯一無二のデザイン→1万円前後「デザイン重視の1点もの」→【商品名】木の葉のアンティークハット「秋らしい木の実モチーフの装飾が施されているから」

◇【デザイン】ツギハギ→2,000円「できるだけ安く」→【商品名】ツギハギボウシ「わかりやすく」

◇【デザイン】温かさ重視→3,000~4,000円「安いとそれだけの生地になるから」→【商品名】ホットハット

◇【デザイン】触り心地(カシミア等)が良い→10,000~20,000円「原材料が高いから」→【商品名】ふわふわカシミアニット帽「カシミアを使っていることをアピール」

◇【デザイン】光り輝くゲーミング帽子

◇【デザイン】ワンポイントが全部違うようにする

◇【デザイン】透明→50円→【商品名】透明すぎる帽子「わかりやすいから」

表になっていないので、見にくいかもしれませんが、最後の商品名まで回答してくれた生徒も多いですね。「どんな帽子?いくら?名前は?」を一度に考えていったら大変ですが、斬新な回答もあります。

「あたたたい」「暖かい」「温かい」の漢字の使い分けも見られ、ちゃんとイメージして考えてくれているのがわかります。価格帯も数十円から数万円と幅広いです。

 

スマホと帽子でそれぞれの新商品を考えてもらいましたが、考え方が結構違うことが実感できたのではないでしょうか?

スマホは機能がどんどん進化して、実は見た目の変化が小さいです。10m離れたら機種の見分けなんて不可能なので、手に持った感じやカラーで差別化する回答が多かったと思います。

帽子は何百年、何千年も前からある服飾です。すでに様々なパターンがあり、多くの人にとっては生活必需品ってほどでもないので、何にこだわってみるのか自由に考えられます。スマホより自由度が高いのではないでしょうか。

製造業として働くことになっても、メーカーを選ぶ際は

・何を作っているのか

・何を作ろうとしているのか

・何に特徴があるのか

・価格帯

・ターゲット

・ボリューム

・種類

・何を実現したいのか

・その他(勤務場所や待遇など)

それぞれのメーカーで中身が異なるはずです。あなたが働くとしたら、どのようなメーカーだとワクワクしますか?

 

2つの質問をしてみましたが、帽子の方だけは値段や商品名まで考えてもらいました。

大きな会社で何かを作ると、話題にもなりやすいでしょうし、社会に与える影響も大きくなります。しかしながら、普通は大人数のプロジェクトで動きますから、あなたの意見は反映されにくいのも事実です。

小さい会社だと、デザインだけでなく何から何まで関わることになるでしょう。当然、値段や商品名を考えるだけでなく、販売する現場にも入ることになると思います。関わり方が広い分、あなたの思いを発揮しやすいとも言えます。

あなたはどっちのタイプですか?

ものづくりにチャレンジしたい生徒も一定数いると思いますが、上記のような目線で考えてインターンシップに行ったり、就職先を選ぶことで、あなたが力を発揮できる会社、力を発揮したい会社と出会う可能性は高まります。

後半は営業職について考えてみます。

アンケートの結果、営業職に就きたい学生はいなかったので、深いところまでは解説しませんが「どんな仕事をするにも営業力は必要である」ということは覚えておいてください。

例えば、何か芸術の分野で作り上げたとしても、それを世に広めるためには営業力が必要です。良い物を作れば知ってもらえる、買ってもらえる時代ではありません。

帽子の例で考えてもらったように、この帽子は何に価値があるのか、どう伝えるのか、ここまでセットで考えなければ良い商品も埋もれてしまいます。

それでは最後のアンケートです。

 

③あなたは無事に就職先が決まり、中古車を買うことになりました。

◆どういう営業担当者なら、信頼して話を聞いてみようと思いますか?

◇愛想がいい、快活である

◇説明がうまい、具体的でわかりやすい

◇質問に答えてくれる

◇親身になってくれる

◇きちんと聞いてくれる

◇質問してくれる

◇親切、丁寧

◇気さくに話せる

◇ゆっくり話してくれる

◇欲しいものを提案してくれる

◇正直に話す、デメリットも話す

◇楽しそうに話す

◇連絡できる

 

◆反対に、どういう営業担当者なら、避けたいなって思いますか?

◇愛想が悪い、態度が悪い

◇話を聞かない

◇しつこい

◇目を合わせない

◇あいまいな返答をする

◇抽象的な返答が多い

◇雑談が多い

◇返答がずれている、一方的に話す

◇声が大きい、威圧感がある

◇腰が低い

◇寡黙、暗い

◇催促する

◇メリットや実績だけをアピールする

◇余計な買い物をさせる

◇マニュアル通りに話す

◇大事なことを話さない

◇話が長い

 

おそらく中古車を買ったことがなくても、イメージできるのではないでしょうか。こういう営業担当者ならいいな、こういうのは嫌だな、という意見に対しては大差ないと思います。やっぱり人柄って重要ですね。

営業職で難しいのは

・あなたが望む営業スタイル

・お客さんが望む営業スタイル

・成果が出る営業スタイル

が一致しないことですね。あなたが「こういう営業スタイルはイヤなんだけどな…」と思いながらも、実際に売れてくると自信になって、売り方が定着するってことはよくある話です。

何事もそうですが、経験が浅いうちは「相手が望むようにやってみる」これに徹した方が、結果的に成果も出るし、ストレスを感じないと思います。コンプライアンスに反しない限り、素直に言われたようにやってみるのがオススメです。これは仕事はもちろん、デザインの勉強にも通ずるのではないでしょうか。

 

今回は製造業と営業職について、芸大の勉強との繋がりを考えてみました。なるべく製造業、特にデザインにフォーカスして解説しましたが、いかがでしょうか。何かをデザインするということは、その先にお客さんがいたり、環境によってはデザイン以外まで意識を広げて動く必要があります。

そして、良い物を作れば知ってもらえる、買ってもらえるって時代ではありませんので、学生のうちからどんどん情報発信をしてほしいですね。芸術やデザインの勉強をしながら、そうすれば知ってもらえるか、評価してもらえるか、チャレンジをしてもらいたいと思います。

 

 

 

デザインの勉強って、サービス業・事務職で役に立つの?【文星芸大キャリアガイダンス2022年】

2022年度、文星芸術大学において2年生向けに行ったキャリアガイダンスの概要です。ここ数年、講師として関わってきましたが、私なりに「芸大に入ったら、当然そっちの方面に進まなきゃダメでしょ?」とか「芸大で勉強してるけど、これって本当に役に立つの?」という問いに対して、何かしらの回答になるものを伝えたいと考えています。

初回のテーマは「芸大の学びと実際の仕事の関係性①」ということで、特にサービス業・事務職との繋がりを解説しました。講座の下書きと実際に話した内容をミックスさせていますので、ラフな感じのテキストですが、参考にしてもらえると幸いです。

 

■自己紹介

・吉田稔

・青森県出身

・理学部数学科

・ファミレス13年

・経理事務1年

・キャリアコンサルタント10年

・マーケティング1年〜現在

現在勤めているマーケティングっていう仕事は、なかなか一言では表現できない仕事内容ですが「良い商品を、どのようにお客様に届けるのか考える」みたいな感じです。芸術もそうですが、メチャクチャ良いものを作ったからといって、それが勝手に世に知られて、売れたりするわけではありません。必ず「どのように知ってもらおう」とか「どうすればこの価値が伝わるか」という戦略を考える必要があります。40代半ばにして、こういった仕事をしたくて改めて勉強して、昨年転職をしました。

大学までは数学を勉強してきました。残念ながら、就職先であったファミレスではほとんど役に立ちませんでした。しかし現在は、数字を扱ったりデータを分析する仕事もありますので、やっと数学に慣れていて(別に得意なわけではない)助かった…となっています。

大学では学習塾でアルバイトをしていました。数十人の前で授業を行っていたわけですが、これもまた講師として学生の前で話す場面で役に立っています。20年以上前の数学の勉強と学習塾の経験が今になって活かされています。

何を伝えたいかというと、これは私に限ったことではなく、大学生活で経験している出来事、勉強、趣味、アルバイトでも何でもいいのですが、必ずいつかは役に立ってきます。だから勉強はもちろん、何事にもぜひ一所懸命取り組んでもらいたいです。

 

仕事に関する講座をするわけですが、ここで皆さんにLINEを使ったアンケートを行いたいと思います。当然個人情報は明かさないですし、指名もしないので本音で返信をしてください。順番に4つ送ります。

アンケートと回答は以下の通りです。回答に関しては、順不同ではありますが、なるべく元々のLINEテキストに沿って記載しています。

 

■「あなたにとって仕事ってどういうイメージですか?」

・お金を稼ぐ

・大変そう、時間が長い、給料が高い

・人生の新たな一歩

・大変

・生活を安定させるもの

・事務職か営業職のイメージ

・人生の大半を費やすもの

・お金を稼ぐ、生活の質を上げる、スキルアップ

・お金をもらって働く

・大変

・大変、生きるために必要、働く場所が重要

・お金を稼ぐ方法、社会的義務

・生活のために仕方なく行う

・お金を得るためのシステム

・人生の大部分、生きるための最低条件

・好きなことでも仕事にすると嫌になってしまう

・お金を稼ぐために死ぬ気で行う

・堅いイメージ、決められた枠

・上司に怒られる、給料が上がらない、希望を抱けない

・お金を稼ぐ、生きるため

・お金を稼ぐ、生きがい、人生の目標

・生きるため

・責任、稼ぐ

・生きがい、瑞々しく生きる手段

これから仕事についてたくさん考えるにあたって、自分のなかで整理してもらいたくて質問しました。ポジティブな見方、ネガティブな見方、いろいろありますが、もちろん何が正解というのはありません。

大切なのは、「時間」「お金」「生活」に関する回答が多い傾向ですが、それくらい、仕事とこの3つの要素は密接な関係があるということです。ざっくりですが、仕事がうまくいくことと、人生を楽しむことは、ほぼイコールですね。

 

■「あなたにとって就活成功って何ですか?」

・職場の雰囲気や仕事内容、周りの人達の人柄が自分に合っている

・無事に就職できること

・納得できる会社に就職する

・周りの人が優しい、休みが取りやすい、差別がない

・希望する職場環境

・志望した会社に就職する

・生きるうえで必要なこと

・内定を受ける

・絵を仕事にできる

・苦労する

・長年安定した仕事ができる

・需要と供給

・ブラック企業に入らない、安定した収入、人間関係がいい

・就職できる、職場環境が良い

・良い職場に出会える

・自分の意思で仕事を続けられる、生活が良いものにできる

・やりがいがある、人間関係が良い

・なりたい職業とそこで安定して働ける環境

・無理なく働ける

・働きやすい環境

・一番やりたい仕事に就く

・前提条件のクリア

・自分に合った環境、報告できる会社

・希望する場所で働ける

・希望通りの職に就ける

・働きやすい環境、自分の能力を活かせる

・楽しいこと、稼ぐに繋がる

・理想の会社に就職する、準備したことを出し切る

・安心して働ける

このアンケートで知ってもらいたいことは、就職成功はみんなバラバラ、ということです。仕事に対するイメージがバラバラ、就職成功もバラバラ、ですから誰かに押し付けられても納得できるはずがありません。1人1人が自分で考えて行動しなければならないわけです。こういったキャリアに関する講座を行っていますが、考えるためのヒントを提供しているに過ぎません。大学側で行っている適性診断など、自分をよく知るための講座も同じことです。

まずは「自分を知る」それから「自分で考える」そして「自分で動く」この順序を意識すれば良いと思います。

■「就活で成功するために必要なことって何だと思いますか?」

・会社についてよく調べる

・コミュニケーション能力、プレゼン能力、行動力

・実績

・努力、諦めない

・勉強

・誰にも負けない強み

・準備、下調べ

・好きな仕事に出会えること

・ポートフォリオ

・時間をかけた事前準備

・企業を調べて早めに動く

・長年安定した仕事ができる

・調べる

・知識、経験、才能、運

・情報を集める

・見学に行く、スキルアップ

・事前準備、コミュニケーション能力

・面接の上手さ、準備、好印象を与える経験談

・実力をつける、その実力を引き出せる

・精神力、忍耐力

・人間性

・下調べ、自分に合う会社、意見を集める

・自己分析、下調べ

・やる気、元気、力、視覚、経験

・良い人間関係の構築

・様々な経験を自分の言葉で伝えられる、積極性、話を聞く

・準備、下調べ、行動力

・知識、企業研究、経験

・調べる、面接練習

・色々なことを経験、やりたいことを継続する

・準備

・企業研究

この質問は「就活成功のために何をするの?」という内容ですが、端的に表現すると「そう思っているならやりましょう!」ということです。私から伝えたいことは、何を準備するにしても、時間が重要なポイントです。

「あなたが行きたい会社は、みんなも行きたい会社」

ということは、あなたもみんなも「いいなぁ」と思っている会社からどんどん採用枠が埋まっていき、どんどん選択肢が減っていくということです。最終的に1つに絞ることが必要ですが、そもそも選択肢が少ない状況で選ぶということは、後悔が残る可能性が高いです。

「早く動く」

を2年生のうちから意識しましょう。

 

■「あなたはどういう仕事をしたいと考えていますか?」

・絵関係

・イラストレーター

・人に夢を与える、自分を活かせる

・絵を描く仕事

・趣味を優先できる

・写真やパッケージのデザイン

・フリーランス

・漫画家

・漫画家、編集者

・漫画家、イラストレーター

・学生生活で得たことを活かせる

・映像関係

・児童向けゲーム、冊子の制作、ファッション業界、PCを活かせる

・作品を作る、美術に関係する仕事

・人と関わり合う

・得意を活かせる、できる仕事、性格に合っている仕事

・自分を表現できる、創作活動

・絵画関係

・アニメーター

・WEBデザイナー

・映像関係

・目立たない仕事、裏方

・自分の作品が認知される

・画家、副業ができる

・漫画家

・ゲーム関係

・イラストレーター、デザイナー

・自分のやりたいこと

・人を笑顔にできる仕事

・工場、第一次産業

どういう仕事をしたいですか?ということに関しては、さすが芸大生なので、芸術関係やデザイン関係の回答が多いですね。その意欲で勉強を続けてもらいたいと思います。その一方で、芸術関係やデザイン関係に就職する割合は、2~3割くらいに収まるのも現実です。

その要因は何点かあると思いますが

・求人数が多くない

・デザインに絞って生きていく自信がない

・他にやりたい仕事が見つかった

あたりが多いと察しています。そうなった場合に「芸大で勉強した内容って無駄になるの?」となるかもしれませんが、冒頭に話したように決して無駄にはなりません。

どういった仕事に就いても、デザインをまったく考えない!という職場の方が少ないのではないでしょうか。デザインの勉強がどのように活きるのか、具体的に考えてもらうために、履歴書と職務経歴書について解説したいと思います。

 

■履歴書

今回のテーマは、サービス業・事務職です。履歴書と職務経歴書についてカンタンにまとめたいと思います。就職や転職の場面で必要になりますので、ポイントを押さえておいてください。

履歴書は、氏名、住所、連絡先、学歴、職歴を書いたものです。フォーマットが決まっていて、文章ではなく単語中心で書くので、スマホで入力できるツールがあったりするくらいです。

履歴書は、一言で表現すると「あなたは誰ですか?」という質問に答える書類です。ですので、事実に基づいて正確に書くことが重要です。事実を書いているだけなので、極端な話、誰が作成してもほとんど変わりません。イメージとしては、本の目次を作る感じでしょうか…詳しい中身はよくわからなくても、読む方は何について書かれた本なのか察することはできます。

中途採用の場合には、企業の目線で考えてみると、もっとも知りたい情報は、名前住所よりも、学歴よりも、職歴の中身です。職歴に書く内容は入社年月や退職年月くらいなので「その在籍していた数年は、実際のところどうだったんですか?」が本当に知りたいところです。それをプレゼンするのが職務経歴書です。

 

■職務経歴書

職務経歴書はあなたのプレゼン資料です。これは誰が作っても同じにはなりません。あなたの仕事上の強みをしっかり伝えるための書類なので、創意工夫が必要です。さっきのマーケティングの話に通じますが「私は事務職を頑張ってきました!」という職務経歴書では、他にもいっぱい似たような人がいるし、あなたの強みは埋もれてしまいます。

職務経歴書は「あなたはそこで、どういう仕事をしてきたんですか?」という質問に答える書類です。ですので、一番強みとなるポイントが引き立つように、読む人があなたが活躍しているシーンを想像できるように作成します。書式もフリーなので、伝わるように作成すればOKですが、あまりに斬新だと読む方も合わせるのが大変なので、フォーマットはある程度揃えながら、中身を工夫します。

 

■サービス業

サービス業とは、何かモノを販売したり、食事を出したり、宿泊や介護のような大きな体験を含むものまで様々あります。他の仕事との違い、特徴は「お客さんが近い」これに尽きるでしょう。目の前のお客さんに「ありがとう」と礼を言われたり「楽しかったです」と感謝されたりするのは、サービス業ならではです。

誰かのために頑張ることがモチベーションになる、というタイプであれば完全に向いている仕事と言えるでしょう。

そのサービス業ですが、現場レベルで

・新しいサービスのポスターを作ろう

・目立つようにPOPを作ろう

・説明しやすいように、イラストも使おう

みたいな流れで、何かを作る場面は非常に多いはずです。

「誰に見せたいのか」そして「一番何を伝えたいのか」を考えて、カタチにするために、デザインを勉強していることはかなり役に立つはずです。もちろん仕事の進め方として注意は必要です。専門的な知識を全開にして、店長の言っていることをひっくり返すようなことをすると、あなたの言うことも聞いてくれなくなりますので、みんなの意見を聞きながらまとめ上げるスキルも必要です。

業務としてデザインするっていうよりも、あなた自身も楽しんで工夫してみる、そのような姿勢で取り組むことができれば、より良いものができるでしょう。結果的に、あなたに対する評価も上がり、表現したいことが表現できるように近づくと思います。

 

■事務職

事務職は意外とサービス業と通ずる部分があり、一緒に働く同僚のために事務処理をしたり、何か書類を作るイメージです。相手がお客さんなのか、同僚なのか、という違いと理解していればいいでしょう。

事務職の場合は、何かを作るにも形式が決まっていて、それに従って入力する仕事も多いのですが、社内で新しいことを共有するために

・難しいマニュアルを簡単にかみ砕く

・変更事項を抜粋してまとめる

・目立つように注意書きを作る

といった業務も発生します。ですので、淡々と書類を作っても仕事としては充分ではありますが、ぜひ「どうやって作ったら、もっと伝わるだろうか」という目線で取り組んでもらいたいです。サービス業と一緒であなた自身の成長のため工夫して作る、という視点を持つことで、成長度合いが大きく変わります。

サンプルも含めて、サービス業と事務職について考えてもらいましたが、どちらもパソコンを使って何かを作る業務が多いことは一緒です。

サービス業はお客さんのためが多く、事務職は同僚のためが多い、という違いはありますが、人に喜んでもらえるポジションなので、非常にやりがいはあると思います。

今後の進路を検討する際に、サービス業を選択肢に入れたり、サービス業について一歩考えてみるのであれば、参考にしてもらえると幸いです。

 

 

ファシリテーターとは②【具体的な進行の仕方】

前回の記事に続いて、最近注目されている「ファシリテーターとは?」についてまとめます。会議の質を高めて、その後の行動を変えるには、非常に有効な手段ですので参考にしてみてください。

①ファシリテーターの目的

あなたがファシリテーターとして会議を進行することになった場合、何を目指すべきでしょうか。会議自体の目的はもちろんありますが、社長や上司が期待している答えを探すのではなく、1人1人が自分事として会議に参加して、全員が納得できる結論に合意形成できるようにコントロールします。

このプロセスにおいて、社員同士の相互理解を深めて、全員がモチベーション高く(動機付けがされている状態で)会議に参加している状態を実現することがファシリテーターには求められます。ファシリテーターの目的とは、全員を巻き込む、協力して問題解決を図る、参加者の行動変化を起こす、と表現できます。

②ファシリテーターの具体的な働き

会議においてファシリテーターは、参加者の現在地をお互いに共有してもらい、会議のゴールに意識と議論を向かわせなければなりません。

まずは、現在地をお互いに共有です。

何かのテーマで会議を行おうとした際に、ある部署にとってはメリットが大きいが、違う部署では業務の負担が増えるので前向きに考えてくれない…そんな状況はよくあることだと思います。

この状況で議論を開始しても、感情的に主張がぶつかったり、問題解決ではなくて議論が温和に終わる方向性を探したりすることになり、会議の目的から遠ざかってしまいます。ファシリテーターは会議の冒頭で手を打って、建設的な議論が行われる土台をつくります。

・部署によって不足している基本情報や共通言語を埋める

・各部署の取り組みや抱えている課題を共有する

これらを実現できるように、自己紹介の場を設けたり、あえて会議における懸念事項などを発表してもらい、コミュニケーションがスムーズに行える工夫をします。

 

会議のゴールに意識と議論を向かわせるためには、ファシリテーター特有のスキルが必要です。会議が進むうちに、議論があちこちに向かってしまったり、点な議論を延々と続けてしまうことがありませんか?

例えば「離職率を改善するために手を打つ」という会議の目的があったとします。すべての部署にとって共通のメリットがあり、議論がフォーカスしそうなテーマですが

「最近の新卒はどう扱っていいかわからない…」

「そもそも採用基準が低すぎるんじゃないか…」

「やっぱりこの業界に魅力がないよ…」

といった枝葉の議論に時間を費やす現象が起きます。

議論が盛り上がるのは良いことですが、ファシリテーターの働きかけによって根本的な議論に戻したり、改めて会議の目的に意識を向かわせる必要があります。発言しやすい雰囲気をつくりながらも、会議のテーマに沿っているのか、議論の軌道修正が必要なのか、タイムキーピングされているのか、考えて動きます。

「いったん〇〇さんの問題提起に戻りましょう」

「〇〇さんの発表と△△さんの発表の大事な部分をまとめましょう」

「この行動案をどのように説明すれば、今日出席していない社員も納得してくれると思いますか」

このような投げかけをすることによって、意見集約を進めていきます。参加者が参加していない社員への説明までシミュレーションすると、もし自分が100%納得していなくても「どう言えば必要性が伝わるかな?」と考えるようになります。

③ファシリテーターによる会議の変化

ファシリテーターが会議を進行するようになると、結論やその後の行動も変わりますが、会議そのものが大きく変化することがポイントです。会議において声の大きい人が議論をリードしたり、ポジションパワーが働いて進行を様子見をすることが起きなくなります。参加者全員が柔軟な発想で発言をするようになり、それでいて会議の目的を強く意識した進行となりますので、タイムキーピングされた生産性の高い会議が実現されます。

この数年でリモート会議を行うことも非常に増えましたが、同じようにファシリテーターが1人1人の様子に目を配って、発言を促す重要性が増しています。議論の流れや参加者同士のリアクションを把握しにくいので、ファシリテーターの役割がもっとも発揮されるとも言えます。中立的な立場で参加者の反応やチャットを拾うことで、リモート会議はより活発な議論になります。

 

④ファシリテーターに必要な基本スキル
ファシリテーターは、安心して発言できる会議を実現するために非常に重要な存在です。スムーズな運営を行い会議の目的を達成するために、ぜひ習得してもらいたいスキルを紹介します。

・質問や発言に対して絶対承認のスタンス

・発言者に体と顔を向け敬意を持って接する

・リラックスした雰囲気を出す

・質問や発言が表面的にならないよう中身を深掘りする

・質問をわかりやすく言い換える力

・発言を繋げて要約する力

・議論の構造を見抜いて単純化する力

後半については、瞬発的な国語力と表すことができると思います。こればっかりは、その場の発言に対してファシリテーターが対応しなければならないので、ある程度パターン化したり、場をこなす必要はあります。また安心して発言できる雰囲気づくりは、ファシリテーターの進行だけではなく参加者に対してグランドルールを設定して守らせることも重要です。お互いの発言を否定しない、最後まで話を聞く、このような基本的なルールほど徹底されている状態を維持する必要があります。

私なりにファシリテーターの要点をまとめてみました。フォーマルな会議でなくても、小さなチームで議論をする場面は多いと思います。むしろ小さい単位の議論ほど意見がどんどん集まって集約され、きちんと結論が出て行動するというプロセスが重要だったりしますので、ぜひ参考にしてもらえると幸いです。

 

 

ファシリテーターとは①【司会との違い】

会議や研修を実施しても

「参加者が真剣に参加しているとは感じられない」

「何が決まって何が起きるのかはっきりしない」

「いつも決まった人が発言している」

といったモヤモヤを感じることはありませんか?

この状況を打破するための一手がファシリテーションです。会議においてファシリテーションを担当できる進行役として、ファシリテーターを抜擢や育成することができれば会議のあり方が大きく変わるはずです。

キャリア形成を中心に紹介しているブログですが、今回は具体的な業種や職種ではなく、日々の仕事の仕方が大きく変わる会議についてまとめます。

あなたがどのような職種で働く場合であっても、大小様々な話し合いがあったり、時には会議において役割を与えられたりすることがあると思います。もし会議自体を企画したり、進行役を任せられることになった際には、ぜひファシリテーターという進行役も選択肢に入れて検討してみてください。

 

①ファシリテーターとは?

ファシリテーターとは、会議において参加者全員を巻き込みながら、会議の目的達成を目指す進行役です。例えばテレビのバラエティ番組で、司会がいろんな出演者にコメントを求めながら進行するシーンがありますが、ファシリテーターがいる会議は表面上は同じイメージです。

バラエティ番組でコメントを求められるとわかっていたら、自分なりに情報を整理して、意見をまとめておきますよね。会議においてその状態を維持することで、参加者は誰しも自分事として考えなければなりません。意見がぶつかっても、同意であっても自分で考えて、自分の言葉で発言しなければなりません。

バラエティ番組との決定的な違いは、会議の目的があるかどうかです。何を変えたいのか、何を決めたいのか、会議にはゴールイメージがありますので、全員を巻き込みながら、会議の目的達成を目指す必要があります。

結果的に参加者全員が参加することで、全員の合意形成を得やすくなります。

 

②司会とは違うの?

会議においては、司会が進行役を務めることが一般的だと思います。司会の役割は、すでに決まっているプログラムに沿って会議を進行させることです。その結果、会議の雰囲気や結論がどのようになるのかは、司会や発表者に大きく依存します。その他の参加者はどうしても受け身の姿勢になるので、発言はしにくいですし、急に発言を求められても指名された驚きが大きく、対応が難しいのではないでしょうか。

会議が終わり決まった結論に対しても、どこか他人事だったり、納得感が高いものばかりではないと思います。毎月の報告会議や毎年の入社式など、ある意味ルーチンワークであれば司会の進行で問題ありません。

しかし会議を盛り上げて、参加者のアイデアを拾い上げたり、各部署の相乗効果を起こそうと考えたら限界です。

「もっと積極的に発言しましょう」

「自分事として会議には参加しましょう」

と周知したって、うまくいけば発言回数は増えるかもしれませんが、会議の目的はちっとも達成されないはずです。この問題を解決するのがファシリテーターです。次の記事で詳しく紹介します。