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ファシリテーターとは②【具体的な進行の仕方】

前回の記事に続いて、最近注目されている「ファシリテーターとは?」についてまとめます。会議の質を高めて、その後の行動を変えるには、非常に有効な手段ですので参考にしてみてください。

①ファシリテーターの目的

あなたがファシリテーターとして会議を進行することになった場合、何を目指すべきでしょうか。会議自体の目的はもちろんありますが、社長や上司が期待している答えを探すのではなく、1人1人が自分事として会議に参加して、全員が納得できる結論に合意形成できるようにコントロールします。

このプロセスにおいて、社員同士の相互理解を深めて、全員がモチベーション高く(動機付けがされている状態で)会議に参加している状態を実現することがファシリテーターには求められます。ファシリテーターの目的とは、全員を巻き込む、協力して問題解決を図る、参加者の行動変化を起こす、と表現できます。

②ファシリテーターの具体的な働き

会議においてファシリテーターは、参加者の現在地をお互いに共有してもらい、会議のゴールに意識と議論を向かわせなければなりません。

まずは、現在地をお互いに共有です。

何かのテーマで会議を行おうとした際に、ある部署にとってはメリットが大きいが、違う部署では業務の負担が増えるので前向きに考えてくれない…そんな状況はよくあることだと思います。

この状況で議論を開始しても、感情的に主張がぶつかったり、問題解決ではなくて議論が温和に終わる方向性を探したりすることになり、会議の目的から遠ざかってしまいます。ファシリテーターは会議の冒頭で手を打って、建設的な議論が行われる土台をつくります。

・部署によって不足している基本情報や共通言語を埋める

・各部署の取り組みや抱えている課題を共有する

これらを実現できるように、自己紹介の場を設けたり、あえて会議における懸念事項などを発表してもらい、コミュニケーションがスムーズに行える工夫をします。

 

会議のゴールに意識と議論を向かわせるためには、ファシリテーター特有のスキルが必要です。会議が進むうちに、議論があちこちに向かってしまったり、点な議論を延々と続けてしまうことがありませんか?

例えば「離職率を改善するために手を打つ」という会議の目的があったとします。すべての部署にとって共通のメリットがあり、議論がフォーカスしそうなテーマですが

「最近の新卒はどう扱っていいかわからない…」

「そもそも採用基準が低すぎるんじゃないか…」

「やっぱりこの業界に魅力がないよ…」

といった枝葉の議論に時間を費やす現象が起きます。

議論が盛り上がるのは良いことですが、ファシリテーターの働きかけによって根本的な議論に戻したり、改めて会議の目的に意識を向かわせる必要があります。発言しやすい雰囲気をつくりながらも、会議のテーマに沿っているのか、議論の軌道修正が必要なのか、タイムキーピングされているのか、考えて動きます。

「いったん〇〇さんの問題提起に戻りましょう」

「〇〇さんの発表と△△さんの発表の大事な部分をまとめましょう」

「この行動案をどのように説明すれば、今日出席していない社員も納得してくれると思いますか」

このような投げかけをすることによって、意見集約を進めていきます。参加者が参加していない社員への説明までシミュレーションすると、もし自分が100%納得していなくても「どう言えば必要性が伝わるかな?」と考えるようになります。

③ファシリテーターによる会議の変化

ファシリテーターが会議を進行するようになると、結論やその後の行動も変わりますが、会議そのものが大きく変化することがポイントです。会議において声の大きい人が議論をリードしたり、ポジションパワーが働いて進行を様子見をすることが起きなくなります。参加者全員が柔軟な発想で発言をするようになり、それでいて会議の目的を強く意識した進行となりますので、タイムキーピングされた生産性の高い会議が実現されます。

この数年でリモート会議を行うことも非常に増えましたが、同じようにファシリテーターが1人1人の様子に目を配って、発言を促す重要性が増しています。議論の流れや参加者同士のリアクションを把握しにくいので、ファシリテーターの役割がもっとも発揮されるとも言えます。中立的な立場で参加者の反応やチャットを拾うことで、リモート会議はより活発な議論になります。

 

④ファシリテーターに必要な基本スキル
ファシリテーターは、安心して発言できる会議を実現するために非常に重要な存在です。スムーズな運営を行い会議の目的を達成するために、ぜひ習得してもらいたいスキルを紹介します。

・質問や発言に対して絶対承認のスタンス

・発言者に体と顔を向け敬意を持って接する

・リラックスした雰囲気を出す

・質問や発言が表面的にならないよう中身を深掘りする

・質問をわかりやすく言い換える力

・発言を繋げて要約する力

・議論の構造を見抜いて単純化する力

後半については、瞬発的な国語力と表すことができると思います。こればっかりは、その場の発言に対してファシリテーターが対応しなければならないので、ある程度パターン化したり、場をこなす必要はあります。また安心して発言できる雰囲気づくりは、ファシリテーターの進行だけではなく参加者に対してグランドルールを設定して守らせることも重要です。お互いの発言を否定しない、最後まで話を聞く、このような基本的なルールほど徹底されている状態を維持する必要があります。

私なりにファシリテーターの要点をまとめてみました。フォーマルな会議でなくても、小さなチームで議論をする場面は多いと思います。むしろ小さい単位の議論ほど意見がどんどん集まって集約され、きちんと結論が出て行動するというプロセスが重要だったりしますので、ぜひ参考にしてもらえると幸いです。