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【定着率と離職率は何が違う?】初めての転職で注意するポイント

会社の内部を知る方法として「定着率」や「離職率」という言葉があります。転職の機会などで耳にすることが多いかもしれません。

あなたが20代で、

「初めての転職は不安…」

「誰に相談したらいいのかわからない…」

と考えて、初めての転職をするのであれば、なおさら定着率は気になる数字でしょう。

 

今回の記事では、定着率と離職率の言葉の意味と計算方法、目安の数字、そして「失敗しない初めての転職」についてキャリアコンサルタント目線で解説します。

定着率とは?

ざっくりな表現ですが、一般的には

「入社した社員が、ある期間の経過後に在籍している割合」

で求められます。

「ある期間」というのは、新卒採用、中途採用どちらであっても、1年や3年で計算するケースが多いです。定着率が低い業界は1年定着率、通常は3年定着率を使う傾向が多いと感じます。

・ある会社に勤めたら、最低3年は続けなさい

・3年勤めたら、ある程度「やってきた」と言える

みたいな世界観があるので

・3年経たずに辞めちゃう社員は、どこに行っても辞める不安がある

・3年も続けられない会社は、そもそも労働環境に不安がある

のような判断基準で、3年定着率を気にする背景があるのでしょう。

 

例えば、ある会社で「新卒採用した営業職5名のうち、3年後に残っていたのは4名でした」のケースでは、3年定着率は80%です。

もしあなたが、3年定着率80%の会社に転職するとしたら

「よほど変なことをやらない限り、続けられそうな会社だな」

と思うのではないでしょうか?

優秀な社員を採用したい会社にとって、3年定着率はある程度の水準を維持したいところです。

 

3年定着率の目安は?

1,000名以上の転職希望者とキャリアカウンセリングを行い、転職支援を行ってきた肌感覚ですが、3年定着率に対する判断は以下のようなイメージです。

もちろん、すべての会社に当てはまるわけではありませんし「定着率の高い会社だから、あなたにとって良い会社」とは限りません。さらに

・会社全体の定着率

・部署単位の定着率

があります。両面で考えるようにしましょう。

 

3年定着率が10%未満

→会社のスタンスは「どうせ辞めても、また採用すればいい」です。

このような会社の特徴は

・人材育成に対する考えがない

・すぐに責任者になってしまう

・就業条件明示書には書かれていない問題や虚偽がある

・ノウハウが蓄積されず、マニュアルだけでどうにかしている

・顧客意識が低く、仕事が機械的になっている

あなたが退職した(退職したい)会社はどうでしょうか?

どれかが、またはいくつも当てはまると思います。

 

3年定着率が20~40%前後

特にBtoC、一般消費者に接客営業を行う会社に多いイメージです。

・社員育成の必要性が薄い教育業界

・労働環境が不規則になる飲食業界

・正社員比率が低く、アルバイト主体で運営するチェーン店舗

その他にも

・ノルマが厳しい営業職

・看護職や介護職など、転職してもすぐに活躍できる職種

・高い専門知識やスキルが必要で、習得が大変すぎる業界

などもありますね。

総じて言えることは、辞めることが当たり前の環境だと、なかなか定着率は上がらない、ということです。社員の入れ替えが多いということは、残る社員の負担感は大きいので、どうしても退職不安が連鎖する職場になってしまいます。

単純に「この会社はブラック企業です」とも言えないので、しっかり見極めたいところですね。

 

3年定着率が50%前後

正社員主体の職場であれば、50%以上は維持していないと不安です。

3年未満で退職するということは、ほとんど深い経験を積まないまま退職している、ということなので「早く辞めた方がいいかも…」と思わせる何かがあると想定できます。

 

ただし、採用人数が少ない中小企業は、ちょっと何人か退職しただけで50%を割ってしまう…なんてことはよくあることなので、パーセントは気にする必要はありません。

あなたは、ある中小会社の面接を受けているとします。

「定着率は40%です」と聞かされると、この会社ヤバいのかな…と思うかもしません。または具体的な数字を聞かなくても、面接でのキャッチボールで「あれ…定着率悪くない?」と察することもあるでしょう。

なかなか深堀りしにくい場面ですが

「早期退職する方もいらっしゃると思いますが、どういった理由で退職するのか、聞かせていただいてよろしいでしょうか?」

と聞いてみるのもいいでしょう。

個人的には、退職理由そのものよりも、面接をしている担当者が、退職した社員の顔を思い浮かべながら、エピソードを交えて話してくれる方が安心します。

「なんで辞めちゃうんだろうね…」と、本当にわからないように話す面接担当者もいますが、あまり良い印象ではないですよね。

 

3年定着率が60~70%前後

経験の幅を広げたり、少しでも良い労働環境を目指して転職することが、とても普通の時代になりました。その労働市場にあって、3年定着率が70%前後あったら

・1つでも光る待遇がある(給料、年間休日、家族手当など)

・会社自体(社長)や業務内容に魅力がある

・忙しいことが楽しい雰囲気である

・チームマネジメントが機能している

上記のような要素が、イイ感じに混ざっているのかな、と予感させます。

辞めないことが前提のような職場の雰囲気だと思いますので、あなたのことをしっかり長期的な視野で育てる可能性が高いです。

あまり会社規模に関わらず、66%あれば(つまり3人のうち2人は残る)そのタイミングでは大丈夫な労働環境と判断できます。

当然ながら、転職希望者の競争率も高くなります。あなたが「いいかも…」と考える会社は、きっと誰にとっても「いいかも…」です。しっかり対策して応募に進めたいですね。20代専門の転職サポートもあるので、活用するのも一手です。

 

3年定着率が90%以上

このような会社も実際に存在します。ざっくり分けると

・労働環境が非常に恵まれていて、採用基準が厳しい

・採用自体の件数が少なく、辞める社員がいない

辞める社員が少ないのは、一見すると良いことではありますが、場合によってはベテランばかりの職場になるので

・途中から人間関係に入りにくい(特に同族会社)

・採用自体が久々なので、教育システムがない

といった懸念はあります。

それでも入社後に、専任の教育担当を配置してくれたり、ゆっくりと長い目で見てくれる社風であれば安心して飛び込めると思います。

 

離職率とは?

離職率とは、定着率の反対です。つまり

「3年定着率が60%なら、3年離職率は40%」

のように考えます。

転職エージェントとして、例えば採用担当者にヒアリングをする際は

◇定着率が高そうな会社だったら「3年離職率はどのくらいですか?」

◆定着率に課題がありそうな会社だったら「1年定着率はどのくらいですか?」

のような聞き方をしていました。

求人票の内容を好印象に見せるための、ちょっとした工夫ではありますが

◇定着率が高い会社については、3年離職率の低さをアピールする

→「3年経ってもこんなに残っているんですか?」

◆定着率が低い会社については、1年定着率の高さ(さすがに50%は切らない…)をアピールする

→「意外と続いているんですね」

といった見せ方です。

 

結局のところ、定着率と離職率は同じ現象を表している言葉なので、どちらを使っても構わないです。

・求人票や会社案内を作る際に、どちらの方が不安なく伝わるか?

・質問する際に、どちらの方が使いやすい言葉なのか?

これくらいの差なので、状況に応じて使い分けていただければ良いと思います。

 

定着率を改善するためには?

定着率を向上させたい!と考えている経営者や人事担当者は多いことでしょう。

たまたま退職が続いた

→離職率が上がってしまった

→ブラック企業だと見られてしまう

→本当に欲しい人材を採用できない

このスパイラルに陥ると、採用基準を下げてしまったり、戦力不足のまま職場が回るので、結果的に成果も出にくいチームになってしまいます。

 

会社の規模(部署の数、社員の数)によって、対策の打ち方は変わるでしょうが、汎用性のある対策を3つ紹介します。社員目線でも改善のヒントになるでしょうし、失敗しない転職をするために知ってもらいたいポイントでもあります。

 

①定着率の良い部署に注目して「本当の理由」を抽出する

残念ながら、自社内に定着率の高い部署がなかったとしても、他社の事例を学んで「なぜ定着率が良いのか?」を肌で感じることは、とても大きな学びがあるはずです。

おそらく定着率の良い部署でヒアリングをしても

「なぜ定着率が良いのか、聞かれてもわからない…」

という、嫌味にも聞こえてしまう回答をされてしまうかもしれません。まずは、自分の目で定着率の高い「本当の理由」を感じることが重要です。

・残業がほとんどない部署だから

・有休をしっかり消化できるから

のような、求人票で気になるような理由ではないはずです。

・困った時には、自然と相談して助け合う空気がある

・上司に限らず、頑張りを見てくれている社員がいる

このように、要求しても自然には実現できない「本当の理由」があるはずです。ここを踏まえて、定着に貢献している「本当の原因」を考えます。

 

②退職する「本当の原因」を突き止める

退職理由を上司に説明する時に「本当の原因」をしっかり伝えている方は、どれくらいいるのでしょうか。

「こう伝えれば、上司や会社も納得してくれるだろう」

「前向きな退職理由にしておけば、応援してくれるだろう」

退職について上司に相談する場面をイメージしてみると、もっとも考えなければならないのは「いかにイヤな顔をされずに、スムーズに退職するか…」ではないでしょうか。

 

定着率に課題があって、その現状を変えるのであれば、とにかく正直ベースで話を聞いて現状を正しく知ることからスタートするべきです。これができないと、どんな対策を進めても何も解決しないことになります。

退職が確定してしまえば、どこかのタイミングで「本当の理由」を知ることはできるかもしれません。それでは定着率の改善はなかなか進まないので、できれば退職を検討している段階からヒアリングしたいところです。その方法を次に紹介します。

 

③チームを横断するコミュニケーションを図る

会社に限らず、多くの組織では定期的な面談を行って、意見交換をしたり、目標へのベクトルを合わせたり、困っていることを共有して対策を考えたり、日々取り組んでいます。

しかしながら、面談を行ったところで問題が解決しないケースも多々あります。それは問題自体の中身よりも「面談ではなかなか本音が言えない」ことが根本的に何も解決していないからです。

 

具体的な例を紹介します。

「あなたは技術職として頑張ってきたけれど、現在の仕事の進め方に対して大きな不満を持っている。

この不満について、面談で上司にぶつけたいが、上司は変化を好むようなタイプではない。毎年行っている面談も、あっさりとした内容で終わっている。

仕事仲間に相談しても、自分の考えに賛同してくれるものの、どうせ変わらないよ…と冷めている。全社的な利益を考えたら、自分の考えは間違っていないと思うが、モヤモヤだけが残っている」

このような状況で、さらに

・上司だって頑張っているんだから、何も言わずに自分も頑張ろう

・本当は意見したいが、自分の仕事すらこなせていない状態なので言いにくい

こんな感情もプラスされたら、何も変わりません。上司はまさか、あなたが退職を考えるほど悩んでいるとは夢にも思わないでしょう。

 

このような、誰のためにもならないようなコミュニケーション不能を起こさないためには、チームの垣根を超えた面談が効果的です。それであれば

・普段の仕事の様子をお互いに知らないから、遠慮せずに言いたいことを言える

・自分の成果が出ていなくても、チームが違う上司であれば気にする必要がない

といったメリットがあります。

これは面談の例ですが、普段から「ナナメ上の関係性」を意識して仲間を増やしていると、何か困ったことがあった時に、遠慮なくぶつけられるのでおすすめです。

つまり

「お互いの仕事が見える状態だと、本音が言いにくい」

という現象が起きますので、本音をぶつけられる意味のある面談を行うことが必要です。担当者さえ決めてしまえば、かなり実行しやすい改善策です。

 

働きアリの法則

言い方は様々ありますが「働きアリの法則」を知っていますか?

アリの行列のうち

実際に主体的に働いているのが20%

流れに乗って従っているのが60%

働いているフリ、フラフラしているのが20%

このような割合に分かれているけれど、面白いのは

「主体的に働いているアリを除いて、残り80%のアリの集団にしても、20%、60%、20%の割合に分かれる」

という現象です。

 

あなたのこれまでの人生を振り返ってみても、学生時代のクラス、部活のメンバー、イベント運営のメンバー、そして職場の社員、それぞれ同じような感じではなかったでしょうか。

・グイグイの20%

・まずまずの60%

・フラフラの20%

エース級のメンバーが抜けたとしても、次に控えているエース候補が頭角を現したり、反対に、エース級を集めて最強チームを作ったと思ったけど、全員が活躍するわけではない…

様々な組織を見てきて感じることは、活躍できる社員がいて、力を発揮できない社員がいます。そのバランスの受け入れ方がポイントだということです。

・会社の業績には貢献しないけど、後輩の面倒は「グイグイの20%」

・エース級の活躍をしている社員が、会社行事になると「フラフラの20%」

のように、それぞれの社員の個性を認めて、会社において「何かしらの重要感」を1人1人が持っていることが重要と考えます。

あなたが次に働く会社も、単純に仕事の成果だけで評価するのではなく、様々な角度から社員を評価する雰囲気があると理想的ですね。お互いの弱みを自然とサポートできるチームは、何かトラブルがあっても信頼関係が崩れにくいです。

 

失敗しない初めての転職

転職先を検討する際に、定着率が気になる気持ちはとてもわかります。大切なポイントに絞って、定着率の意味や数字の目安を解説してきました。

しかしながら、定着率や離職率は表面的な数字でしかありません。その裏側にある会社の雰囲気や文化まで意識するように考えてもらえると、失敗するリスクは激減します。その考えるヒントを紹介させていただきました。

 

初めての転職であれば、様々な不安があると思います。

人材紹介会社を使ってみたいけど、それもちょっと不安…という方も多いと思います。転職エージェントを上手に活用するのは、それはそれでテクニックが必要です。

20代の就職希望者 or 転職希望者を専門にしたサポートもありますので、ぜひ活用してみましょう。あなたの不安に寄り添ったサポートをしてくれます。

 

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