石川県の加賀温泉「ゆのくに天祥」と「ゆのくにの森」に、家族で訪れた感想をまとめました。初めて行った温泉でしたが、いつ誰と行っても楽しめる観光コースだと思います。北陸地方への旅行を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
鬼怒川温泉と加賀温泉の比較
前回の記事では、鬼怒川温泉と加賀温泉を、アクセス、歴史、県庁所在地との関係、観光データから比較してみました。簡単におさらいすると...
アクセスについては、首都圏から2時間で到着する鬼怒川温泉が、大きなアドバンテージを持っています。加賀温泉は倍くらいの移動時間がかかるので、できれば2泊3日で行きたいところです。
歴史の長さを比較すると、単純に長ければ良いってわけでもないのですが、鬼怒川温泉は300年、加賀温泉は1300年前、奈良時代から歴史が続いていますので、源泉発見についてはファンタジーが多かったり、明智光秀のような戦国武将が使った逸話があったりと、とにかく派手です。
県庁所在地との関係性は、旅行をしてみるともっとも違いを実感できるのではないでしょうか。
加賀温泉と金沢の関係は、若干距離が離れていますが、どちらも歴史と文化を大切にしている印象です。加賀温泉で宿泊して、その前後で金沢を散策する、のような遊び方が多いと想像できます。
前置きが長くなりましたが、実際に加賀温泉を利用してみた様子を紹介しますので、どんな雰囲気なのか、また今後の旅行を検討しているようでしたら、ぜひ参考にしてみてください。
ゆのくに天祥
1963年に創業した「ゆのくに天祥」は
・2024年「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(株式会社旅行新聞新社)入選
・2023年「人気温泉旅館ホテル250選・5つ星の宿」(主催・株式会社観光経済新聞社)認定
その他にも数々の受賞歴があり、料理、サービス、施設と総合的に高い評価を得ている温泉ホテルです。700名収容の大きな規模感と、アットホームな接客のバランスが良いと感じました。
チェックインの時には、ホームページでも紹介している手作り温泉卵がおすすめです。45分くらいで完成しますので、夕食とかにぶつかって取り出すのが遅れると、トロトロよりは固い仕上がりになります。
ロビーには、珈琲、緑茶、オレンジのフリードリンクがありますので、ちょっと珍しいおやつタイムです。
今回は家族5人で、洋室と和室がある部屋を予約しましたので、かなりゆっくり過ごすことができました。この部屋だけ中庭のような場所に出られる造りでしたので、実際に使える広さは充分でした。
夕食は2階のフロアです。いくつかの食事処があり、夜と朝に同じ場所で食べることになります。おそらくですが、周りはファミリーばっかりでしたので、同じような構成の宿泊客で場所を分けているのだと思います。そのおかげで?緊張感なく、自宅のような雰囲気で楽しめました。
メインだった地元の魚やしゃぶしゃぶ、地酒の写真をちゃんと残したかったのですが、あまりに気が緩んで撮り忘れてしまいました。
温泉は必要充分ですね。
部屋風呂は一般的なタイプですが、大浴場が3つあり、朝夜で男女交代制なので全部を堪能することができます。撮影禁止なのでHPの画像を拝借します。
九谷の湯処(下写真)は、九谷焼が壁に掛かった豪快な壁面が印象的です。内風呂、露天風呂どちらも広々としていて気持ちよく入れます。
滝見の湯屋(下写真)は、滝というより大きな岩の存在感がすごい内風呂が特徴です。露天の五右衛門風呂は源泉そのままで浸かることができます。
悠幻の湯殿は、様々な種類の露天風呂が楽しめます。ここは翌朝に入ったのですが、もうちょっと早起きして、ゆっくりしたかったですね。
そういうわけで、さっぱりして朝食に臨むわけですが、おかずがたっぷりで全員白米をおかわりしながらいただきました。朝は朝で、蒸しジャガイモやデザートのサービスがあり、チェックアウトしてしまうのがもったいない気分でした。
帰りの駅などでバタバタしたくないのであれば、ホテル内でおみやげを買うことになると思いますが、工芸品、テッパンのお菓子類、充分に揃っています。
手作りの交通安全の折鶴をいただいて、次の目的地に出発です。
ゆのくにの森
今回の旅行では「ゆのくに天祥」を出発して、クルマで15分くらいの「ゆのくにの森」に向かいました。
「ゆのくにの森」は「ゆのくに天祥」のグループ会社が運営する、加賀の伝統工芸を体験できる観光スポットです。こちらはバブル経済で景気絶好調の時期に、1988年にオープンしました。
この時期は、山ほど団体旅行が全国の温泉地に殺到していたので、多くの温泉ホテルは巨大化したり、別館を建設していましたが、ここで加賀温泉を周遊できる体験型施設を建てたことは大きな違いです。
長期的な戦略だったとしたら、まさに先見の明といったところでしょう。
入村料があるのですが、「ゆのくに天祥」のプランに含まれる場合もありますので、事前にチェックしておきましょう。11ある館で50種類以上の手作り体験ができますので、旅行の前に選んで予約をしておきます。定員いっぱいということもありますので、早めがおすすめです。
5人家族で2グループに分かれて体験しました。基本的には、子どもが決めて親が付き添う感じになるんじゃないかな。
前半は女子2人はオルゴール作り、男子はどら焼き、と真逆すぎるカテゴリーで分かれて、後半は上の2人がそば打ち体験、下の幼稚園生は九谷焼の絵付け体験でした。
そば打ちを体験できる場所は多いですが、この雰囲気で作るのがなかなか楽しいと思います。2人1組になって、水回し、こねて、のして、そして、そば切り包丁で切る、この流れを教わりながら進めていきます。
その場で茹でて食べるか、持ち帰りを選べます。時間があれば、茹でたてを食べてみるのがおすすめです。
九谷焼の絵付けの様子は見ていないのでわからないのですが、完成して届くのが再来月なので、今からとっても楽しみです。こういった時間差で届く思い出も、計画しておくと良いかもしれません。もうちょっと子どもが大きくなったら、金箔や吹きガラスなど、また違ったものにチャレンジしてみたいですね。
今回は家族で行きましたが、カップル、シニアの夫婦、外国人観光客、団体客などいろんな方が訪れており、実際のところ、誰と行ってもスベらない観光スポットだと思います。
当日はたまたま雨降りでしたが、雰囲気のある傘を貸してもらって歩くのも悪くないですし、基本的には屋内で過ごすので安心です。
旅行を通じて感じたこと
以上ですが、家族的には何度も「金沢旅行良かったね」とか「次は兼六園をゆっくり見たい」という声が出た旅行でした。
実際のところ、今回紹介した「金沢~ゆのくに天祥~ゆのくにの森」というパターンでなくても、1泊2日では堪能できないくらい見どころが多いと思います。
ヨーロッパの街並みって聞くと、似たような雰囲気の風景を思い浮かべるのではないでしょうか。その街並みは、駅や空港を降りてから目的地まで、コロコロ変わるのではなく、歴史を知らなくても一体感や伝統を感じると思います。
この一体感を、地震大国で地形の変化が激しい日本でマネをすることは、確かに難しいと思います。単純に「ヨーロッパの観光スタイルを見習うべき!」ということではないのですが、参考にするべきところは多々あると思います。
そして金沢は、そのヨーロッパの観光スタイルに近く、そして日本にしか表現できないビジョンを感じました。
私は日光が大好きで、その魅力を伝えようと様々なテーマで紹介していますが、日光世界遺産と鬼怒川温泉という、せっかく知名度が高い2つの観光地がありながら、マーケティング的に連携していなかったり、北関東最大都市の宇都宮との連携もありません。非常にもったいないと感じています。
ここは改善すると未来が明るいのになぁ…と感じますし、日本各地の観光戦略のヒントにもなるのではないでしょうか。そんなことを考えましたので、紹介させていただきました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。