素晴らしい自然に囲まれている福島県、日本酒も全国的に有名で、商品レベルが高いことを知っていますでしょうか。この理由を考察してみたいと思います。
全国新酒鑑評会という年に1回、日本全国の酒蔵を対象に行うイベントがあります。美味しいかどうかだけでなく、技術的な評価、品質的な評価も加えて金賞を選出しています。
1911年から続く歴史あるイベントですが、福島県は2022年までの9年間にわたり、全国トップを続けていました。残念ながら2023年は第5位でしたが、それでも入賞銘柄数28、金賞銘柄数14と数多くの日本酒が高い評価を受けています。
なぜ福島県は美味しいのか?
地理的な強み
米の味は、その年の気候や環境に大きな影響を受けます。
もちろんこの変化は、日本酒にも表れますので、米の硬さや状態によって温度管理、発酵の調整をしなければなりません。
福島は盆地である会津地方を中心に、ミネラル豊富な地下水があり、冬の寒さが余計な雑菌を防いでいると言われています。
歴史的な強み
会津地方、南会津地方、郡山のエリアでは、古くから味噌業者や醤油業者が余った米を日本酒造りに活用していました。
その他にも鶴ヶ城、白河小峰城、二本松城が建っていた城下町では、領主がバックアップした商人が日本酒造りに取り組んでおり、県内あちこちで酒造りが盛んだったと考えられています。
江戸時代には様々な技術が導入されて、どんどん美味しい日本酒が誕生しました。
明治時代に入ると、増税や免許制の改悪があったことで、環境的には厳しい時代もありましたが、大正時代に回復してきます。
酒造りに関して、すでに評価の高かった新潟や岩手から杜氏を迎え入れて、新しい技術を取り込んだことが功を奏しました。全国的な品評会で、会津の日本酒が入賞するなど徐々に知名度が上がっていきます。
その後も酒造協同組合と県による研究機関が、より品質を高めるための取り組みを推進したことで、平成17年(2005)に初めて金賞銘柄数が日本一となりました。清酒アカデミーによって、次世代育成やさらなる研究を進めていることも、大きなポイントだと思います。
個人的に応援している銘柄
このように金賞を受賞している銘柄は、スポットライトを浴びるので認知度が上がりやすいのですが、美味しいけど知られていない銘柄もたくさんあります。
今回紹介するのは、私自身がふるさと納税で注文した豊田農園の純米吟醸酒「soma」です。福島の数ある美味しい日本酒から選ぶのは大変ですが、復興支援も兼ねて浜通りの農園が手掛ける銘柄にしました。
今から290年もさかのぼり、享保19年(1734)から現在の地で米作りを営み、2011年には東日本大震災による休耕を乗り越えて、2018年に栽培を再開しています。
そんな豊田農園の純米吟醸酒は、フルーティーで「日本酒はちょっと…」という方でもかなり飲みやすい口当たりです。キレイに色付いた表面、まるで炊きたての白米のような香り、濃厚だけどまったくクセがない飲み味で、多くの人におすすめできる一品です。
日本橋ふくしま館(MIDETTE)
福島のお酒に興味があるけど、他にどんなものがあるの?
実際に味わってみて、それから買いたい!
という方は、2014年に開業した日本橋ふくしま館がおすすめです。
福島に特化した物産店ですので、日本酒だけでなく、米、果物、おつまみ、調味料、工芸品など様々な商品が並んでいます。
イメージとしては、道の駅をかなりコンパクトにしたような雰囲気ですが、ちょっとした試飲、飲み比べもできますので、ゆっくり休憩しながら楽しめます。
JR神田駅から徒歩5分の抜群のアクセスですので、ぜひ日本酒だけでなく、たくさん福島の魅力を発見してもらえるとうれしいです。
今回の記事では、復興支援の気持ちも込めながら、福島の日本酒について紹介させていただきました。
ぜひ参考にしてみてください。