「今の業界の先行きに不安を感じています」
「会社の将来性に不安を感じています」
「会社のシェアが大幅に低下していて業績が厳しい」
転職エージェントとして求職者の方と面談をすると、このように退職理由を説明していただくことがあります。先々に不安があるのは共通していますが、ざっくりと3つのパターンに分けて考えてみます。
①勤めている業界に対して不安を感じているのか
②現職の会社に対して不安を感じているのか
③あなた自身に対して不安を感じているのか
今一度考えてみましょう。
今回の記事では、①〜③の退職理由を面接の際にどのように伝えれば良いのか、それぞれのポイントをまとめてみます。あなたの転職理由の本音の部分に「不安」があるようでしたら参考にしてもらえると嬉しいです。
転職エージェントとして1000名以上の求職者をサポートしてきた経験から、退職理由に対する考え方と伝え方を解説します。それぞれのパターンで考えてみましょう。
勤めている業界に不安を感じる
これだけ業界の動きが早い時代なので「この業界って10年後どうなるんだろう?」と漠然とした不安を感じている方は多いかもしれません。実際に10年前、20年前を思い返すと当時最先端だった業界が今はそうでもない、という流れを実感できると思います。
駅前の大型デパートがファッションの最先端で、情報はテレビか新聞、固定電話の連絡網がネットワークを支えて、夜遅くまで営業マンが自宅に押しかけ、子どもは野球かサッカーが花形、そんな時代でした。
時代の流れはどんどん変わって、しかもスピードアップしているのは誰だって実感しています。面接で「今勤めている業界に不安を感じます」や「将来性に不安を感じます」とストレートに気持ちを伝えるのは考えものです。
面接担当者は「業界の見通しが悪くなったら、また辞めてしまうのかな」と考えることでしょう。
ぜひ「不安を感じる」よりは「どうしてもチャレンジしたい業界がある」のような表現をオススメします。その方が「だからウチに応募したいんだな」と納得してもらいやすいですし、何よりも「不安を感じる」はネガティブな気持ちなので、初めて会ったあなたに対してそのようなキャラクターだと伝わってしまいます。これは非常にもったいないです。
「◇◇業界にどうしても挑戦したいと考えております。御社は◇◇業界において△△のような強みを持っており、非常に魅力を感じております」のような切り出しが良いでしょう。これであれば、面接担当者は「確かに転職しないとそれは叶わないよね」と同調しやすくなります。あなたの前向きな考え方や姿勢を伝えることができればOKです。
現職の会社に対して不安を感じる
これは深刻な問題です。
「とりあえず今の会社で頑張るしかないか」
「会社の言う通りにやっていればいいや」
ならまだマシですが、現職の会社に不安を感じていたら気持ちを込めた仕事は難しいと察します。業績が悪い、社員の定着が悪い、給料が下がった、職場の雰囲気が悪い、不安を感じるきっかけはいろいろあるでしょう。
面接で「退職理由を聞かせてください」と聞かれて、シンプルに「環境が悪いからです」と回答してしまうと、面接担当者は「環境のせいにしているのかな?」と捉えてしまいます。
面接担当者の本音の部分では「それであなたは何か行動したの?」です。これでは「いつも環境のせいにするのかな?」とか「否定的に受け取ってしまう傾向があるのかな?」といったネガティブな印象を与えてしまいます。
環境が悪かったことを伝えたいのに、あなた自身の評価を下げてしまっては自滅してしまいます。
「現職では▽▽といった問題点がありました。この環境を改善するために、私なりに◇◇のような努力や工夫をしてきましたが、なかなか改善されないことが続いたので転職を決意しました」
このように、コンパクトにストーリーにして伝えると効果的です。
ダラダラ説明するのはNGですが、言葉が足りないと面接担当者は「その状況を傍観していただけなのかな?」さらには「被害者意識になっているんじゃないかな?」と捉えられてしまいます。あなた自身の行動も付け加えないと「評論家みたいに、他人事だったのかな?」とこれまたマイナス評価です。
当事者意識で問題意識を持って、行動することは非常に素晴らしい働き方です。聞かれているのは退職理由でも、あなたが現職でどのように関わっていたのか伝えるとプラス評価に変わります。ぜひ行動力があるところをアピールしましょう。
あなた自身に対して不安を感じる
数字的な成果を出せない、周囲とうまくやっていけない、営業に向いているかと思ったら違かった、このようにあなたが自分自身に対して不安があるときは、退職理由の説明が難しいかもしれません。
どうしてもマイナス面を説明することになるので、どのように面接担当者に納得してもらえるか考えなければなりません。大きく分けると2通りの伝え方があります。
・現職を選んだ判断が甘かったと素直に認める
・やりたいことを見つけた
この切り口がオススメです。
どちらであっても明るく前向きに伝えることが大切です。ざっくりとした一般論ではありますが、人の強みは武器になりますが、弱みは愛されポイントになります。選択が間違いだったと素直に認めることも、あなたの人間性を伝えるチャンスです。そして無理に言葉であなたを飾るよりもずっとスムーズに納得してもらえます。
「コミュニケーションに自信があったので営業にチャレンジしましたが、数字を追うことのストレスが大きくて、自分には向かないと考えるようになりました」
のような素直な表現でも構わないでしょう。あまりに短い在籍期間だと「判断が早すぎるんじゃない?」と思われてしまうので注意です。ある程度「成果が出るまで勉強したり、先輩のマネをして頑張りました」と言えるくらいエピソードをまとめておきましょう。
①〜③に共通するのは、退職することをあなた自身がネガティブに捉えずに、チャンスだと考えていると伝えることです。
面接担当者はもちろん自社で同じことの繰り返しにならないように退職理由を確認しますが、それ以上にあなたの人間性、キャラクターを見ています。
・マイナス表現がちょいちょい出てしまう
・ネガティブな表現が多い
・現職批判が強すぎる
そんな求職者を採用したいとは思わないはずです。ぜひ採用者目線で退職理由を言葉にできるように準備しましょう。
参考にしてみてください。