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❸塾講師のアルバイトで働くメリット【視野を広げる】

現在栃木県でキャリアコンサルタントとして勤めています。様々な業種の中身を紹介して、そこで働くメリットを紹介していますが、全4回シリーズで学習塾業界についての記事を書いています。

学習塾や家庭教師はあなた自身が受験勉強のために使っていたイメージが強いかもしれません。こんなに塾に足を踏み入れる子どもが多いのに「将来は塾で働きたい」なんてほとんど聞いたことないのは、とても残念ですね。

あなたが大学生、専門学校生で塾講師のアルバイトを検討しているのであれば、ぜひ参考にしてもらえるとうれしいです。

栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。

学習塾のアルバイトは

・時給が高いから

・子ども相手なので結構カンタンかな

・教員採用試験を考えているので

のような本音で応募してくる大学生も多いのですが、これだけでは残念です。

 

たとえアルバイトであっても仕事を通じて成長してほしいですね。私自身はそう思って学生講師とコミュニケーションしてきたつもりです。同じ時間を過ごすなら充実していてほしいです。そして将来本格的に働くための助走にしてほしいです。「キミは新入社員とはいえ、よくわかってるね!」なんて評価をいきなりされたら、仕事行きたくないようなカッコ悪い大人にはならないでしょう。

 

全4回に分けて学習塾の仕事で身につくスキルを紹介しています。

今回は目の前の仕事に満足するだけでなく、講師としての視野を広げる内容です。

 

①【自分を磨く】自分自身の時間、姿勢、持ち物、言葉遣いを見直す

②【指導する】生徒の時間、姿勢、持ち物、言葉遣いなど基本的な行動を改善する

③【背景を知る】通塾理由を把握する (保護者希望・生徒本人希望・教科選択)

④【方針を考える】進路希望を把握する (志望校・将来の仕事・将来の夢)

⑤【週間管理】宿題の出し方、確認の仕方を改善する

⑥【心に火を灯す】生徒のモチベーションスイッチを発見する

⑦【観・分・判】点数、偏差値、順位だけでなく解答用紙と得点分析を確認する

⑧【段取り八分】授業準備の精度を上げて、生徒の課題発見に時間を使う

⑨【自立支援】生徒本人が自分で考えて授業を進められるように指導する

⑩【本質を探る】枝葉的(解答テクニック)と根本的(思考力)を分けて考える

⑫【全体を掴む】部分的(栃木県傾向)と全体的(全国傾向)の両方を分析する

⑬【深く探る】一面的(担当教科)と多面的(他教科、特に国語)に分析する

⑭【チームを考える】教室全体の課題(数字、ハード、ソフト)を改善する

と項目を並べていますが、今回は⑨~⑬についてまとめます。

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⑨【自立支援】生徒本人が自分で考えて授業を進められるように指導する

特に個別指導塾の場合は、担当する生徒を数カ月は任されます。すると、ある程度の責任感を自覚するようになります。最初の頃は一所懸命にわからないことを説明したり、楽しく塾に通ってもらえるように頑張ることでしょう。この頑張りが違う方向に走ってしまうと

「この生徒は自分じゃなきゃダメなんじゃないか…」

となってしまいます。

実際に担当が変わり、自分が教えていた生徒を他の講師にバトンタッチすることがあります。生徒は調子が狂ったり慣れなかったりしますが、やがて気にしなくなることが普通です。頑張る方向がずれていると生徒のテンションは下がりっぱなしになります。

「えー、前の◇◇先生の方が良かったなー、わかりやすかったし…」なんて平気で言ったりしますが、これは前に担当していた講師が悪いです。自立を促していないとこうなります。

 

自分がいなくても前に進める生徒にしなければなりません。

目標に向かって何が足りないのか、何をするべきなのか自分で考えて動けるようにすることが重要ですね。ここは講師の意識の問題です。これができるようになると、社会に出てからも仕事の仕方が変わります。

ひょっとしたら新人をトレーニングするかもしれません。

このときに答えばっかり教えたり、勇気を出して失敗させるくらいの覚悟がないとトレーナーとしては失格です。一見仕事は回っていますが、いつまでも新人は独り立ちしていない状態です。

生徒と接するときには、ある一線から「魚の釣ってあげるのではなく、魚の釣り方を教える」このスタンスへの切り替えが必要です。これをアルバイトで体験できたら貴重な経験です。

⑩【本質を探る】枝葉的(解答テクニック)と根本的(思考力)を分けて考える

どこの学習塾でアルバイトすることになっても、ある程度の年間カリキュラムが決まっていると思います。カリキュラムに沿って授業を進めて宿題を出します。ルーティンワークのようにこなせばいいのですが、これだけでは成績はなかなか上がらないですね。

 

解法テクニックを教えることは重要ですが、それだけに終始するのはある程度の学力がある高校生だけです。そういう高校生はテクニックを教えれば教えるほど成績は上がるでしょう。

小中学生の場合、こうはいきません。

意識していないと、塾講師は解法テクニックを知っているかどうかだけを気にしてしまいます。特に新人講師は「この問題はこういう風に解く」という、枝葉的なテクニックを教えることだけに目が向いてしまいます。

少し視野が広い講師は根本的な問題を考えます。

・TO不定詞が理解できない生徒が、そもそも形容詞と副詞の意味を知らない

・英作文が苦手な生徒が、そもそも日本語の言い換えができない

こんなことはよくありますが、カリキュラムに沿いながらプラスの根本的な対策を打てることが重要です。講師としての経験も必要ですし、何が問題なのか把握するにはコツが必要ですがぜひアタマに入れておいてほしいですね。

 

仕事も一緒ですね。そもそも何が問題なのか発見しないと改善はできないです。

⑫【全体を掴む】部分的(栃木県傾向)と全体的(全国傾向)の両方を分析する

アルバイト講師でも全国の入試過去問には目を通してほしいですね。

・入試問題の大きな傾向を把握しておく

・問題の引き出しを増やしておく

・良問を見分けられる

これができるだけで、生徒の成績が上がるだけでなく仕事の質が上がります。

私が勤めている栃木県ならば、栃木県立高校の過去問を中心に演習するのは当たり前です。これだけなら生徒本人でもできますし、近所のおじさんにもできますね。

一歩上の提案ができるようにしましょう。

資料読み取りが中心の社会、会話形式で長文の理科、なかなか良問ばかりの県もあります。視野が広くないとできないことですね。それぞれの生徒に必要な良問をチャレンジさせることができます。

これまた仕事も一緒です。

⑬【深く探る】一面的(担当教科)と多面的(他教科、特に国語)に分析する

担当する生徒の成績は気になるところです。自分が教えている教科は特に気になるでしょう。成績が右肩上がりだとなかなか考えないかもしれませんが、国語力は気にしてほしいと思います。

・そもそも問題を正確に読み取る

・自分なりに問題を要約する

・自分が知っている知識と繋げる

・聞かれていることに正確に答える

これらは、どの教科の問題を解くにも必要な能力です。

教室長としては「担当教科以外も気にしてよ」と期待したいところです。国語力は経験や日々の積み重ねの結果なので、教え方も千差万別です。ここを意識して講師自身の国語力アップを狙ってほしいです。

 

社会で働くようになると本当に実感します。

何を話しても何を書いても国語力は一発でわかります。少なくとも間違いのない日本語を使いたいところですね。ちょっとした個人的成果ですが、第40回宇都宮市民芸術祭の創作部門で入賞することができました。せっかく受験対策で国語の勉強をやり直したので挑戦したのですが、一定以上の日本語を書けるだけでできることが増えます。

このブログを続けているのもその一環です。

 

今回は塾講師として働きながら、視野を広げるためのポイントを紹介しました。ぜひ生徒の成績を上げるだけでなくあなた自身の成長も実感してほしいと思います。