一時期、社内異動で学習塾部門に在籍していました。3年程度でしたが、個別指導塾の教室長としてアルバイト講師の採用と育成を行いました。ほとんど大学生の講師ですね。同じような意欲を持った大学生を同じように育成しても、きちんとプラスのスキルを習得する大学生もいれば、そうでない場合もあります。あなたが学習塾でのアルバイトを検討しているようであれば、参考にしていただけるとうれしいです。
- ⑤【週間管理】宿題の出し方、確認の仕方を改善する
- ⑥【心に火を灯す】生徒のモチベーションスイッチを発見する
- ⑦【観・分・判】点数、偏差値、順位だけでなく解答用紙と得点分析を確認する
- ⑧【段取り八分】授業準備の精度を上げて、生徒の課題発見に時間を使う
栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。
キャリアに関わる仕事をしていることもありますが、どうせ働くならキャリア繋げてほしいと思っています。ただお金を稼げればOK、できればラクな仕事ならOK、そんなアルバイトの過ごし方では社会に出てから相当苦労します。苦労の感覚も持たないかもしれませんが、少なくともアルバイトしている時間がもったいないです。
私が思う、学習塾で仕事をすることで身につくスキルを紹介したいと思います。いくつもありますが、以下の14の項目にまとめました。
①【自分を磨く】自分自身の時間、姿勢、持ち物、言葉遣いを見直す
②【指導する】生徒の時間、姿勢、持ち物、言葉遣いなど基本的な行動を改善する
③【背景を知る】通塾理由を把握する (保護者希望・生徒本人希望・教科選択)
④【方針を考える】進路希望を把握する (志望校・将来の仕事・将来の夢)
⑤【週間管理】宿題の出し方、確認の仕方を改善する
⑥【心に火を灯す】生徒のモチベーションスイッチを発見する
⑦【観・分・判】点数、偏差値、順位だけでなく解答用紙と得点分析を確認する
⑧【段取り八分】授業準備の精度を上げて、生徒の課題発見に時間を使う
⑨【自立支援】生徒本人が自分で考えて授業を進められるように指導する
⑩【本質を探る】枝葉的(解答テクニック)と根本的(思考力)を分けて考える
⑫【全体を掴む】部分的(栃木県傾向)と全体的(全国傾向)の両方を分析する
⑬【深く探る】一面的(担当教科)と多面的(他教科、特に国語)に分析する
⑭【チームを考える】教室全体の課題(数字、ハード、ソフト)を改善する
今回は⑤〜⑧について解説します。
⑤【週間管理】宿題の出し方、確認の仕方を改善する
週間管理の重要性は勉強も仕事も同じです。
・自分の日々の習慣を変えることができるか
・誰かの習慣を変えることができるか
リーダーシップやマネジメントに関しての様々な手法がありますが、結局「習慣を変えられるかどうか」が決め手です。わかっているのにやめられない習慣、やればいいってわかっているのにやらない習慣、そんなのばっかりだと思いませんか?
私自身もそうですし、あなたもそうではないでしょうか?
小さい習慣を少し変えるだけで結果が大きく変わる、このことを生徒も講師も実感できるとお互いに大きく成長できるはずです。
⑥【心に火を灯す】生徒のモチベーションスイッチを発見する
通塾する理由や将来の希望を把握しましょう、という話と繋がります。生徒のモチベーションはビックリするほどアップダウンします。アップのときは構わないのですが、ダウンは厄介ですね。講師としても授業するのがツライ展開になります。
仕事をしていてもこういうことはありますが、モチベーションに関しては仕事の方がラクかもしれません。大人同士なら多くの場合は放置しておけばいいからです。自分のモチベーションまで下がらないように注意するだけです。子どもはそうもいきません。突き放すフリはできますが。
子どものモチベーションを上げられる講師は、確実に人に強くなります。日々のコミュニケーションからモチベーションスイッチを発見できると、モチベーションのダウンを最小限にできますし信頼関係が太くなりますね。
個人的には、心に火を灯す講師は最強だと思いますね。
⑦【観・分・判】点数、偏差値、順位だけでなく解答用紙と得点分析を確認する
ここは実務的な内容なので、すぐに実践しやすいと思います。
コミュニケーションになかなか自信が持てない講師は、観察力や分析力から鍛えてもいいのではないかと考えます。担当する生徒の点数は気になるところですが、さらに一歩踏み込んでもらいます。
解答用紙を見ると、惜しくもバツになっている問題があります。思っているより、丁寧に解いて書いている生徒もいるでしょう。ひょっとして、できていた問題なのにまったく空欄ということもあるでしょう。
解答用紙から得られる情報は、担当する生徒をより具体的に褒める材料になります。点数をどのように上げていけばいいのかヒントがあります。
結果だけを見るのではなくて、そのプロセスについて講師のあなたがイメージしていた通りなのかどうか考えられるようになりますね。点数だけ見て表面的に「伸びてます」「苦戦しています」と報告する講師と比べて、教室長からの信頼はかなり高くなることでしょう。
社会に出てからも、結果オーライではなくプロセスが重要です。この視点を持てるようになるといいですね。なぜ良いのか?どう良いのか?その説明ができるビジネスマンは安定した結果を出すことができます。
⑧【段取り八分】授業準備の精度を上げて、生徒の課題発見に時間を使う
授業準備の仕方を見れば、そのアルバイト講師が
・中長期的な対策も意識しながら今日の授業をするのか
・カリキュラムで決まった通りにこなすだけなのか
・生徒と相談しながら行き当たりばったり進めるのか
仕事の進め方がわかります。
一番ダメなのが、一見すると生徒本人の自主性を尊重しているような「なんちゃって自立学習支援」です。これでハマる生徒も実際はいますが、ほとんどの生徒は自分がやりやすいように勉強することになります。
解答用紙の確認をする内容から繋がりますが、目の前の生徒に不足しているものが何なのか、これを把握していないと準備もデタラメになりますね。個別指導塾の教室長はこれが一番怖いかもしれません。
自分も答えを持った状態で
「今日は何の勉強をしよっか?」
と聞いて、生徒の考えも尊重しながら、今日やるべき内容を進めることができるのが理想的なコミュニケーションです。この流れができると、自分の授業準備の精度が上がります。
授業準備の精度が上がると、準備した通りに授業が進むので途中でバタバタ追加コピーをしたり、違うテキストを探しにウロウロしたり余計な動きがなくなります。その分を、より生徒を観察する時間に充てることができますね。
解いている様子をさりげなく余裕で見てみると
・教えた手順と違う!
・何か考えがあるのかな?
・いやいや、ふんわりと理解しているだけじゃん!
とか気になることが出てきます。
さらに今日と次の授業の課題が発見できるので、良いサイクルが生まれます。
今回の記事でも、学習塾で働くことで社会に出てからも役に立つスキルを紹介しました。学習塾で自分が働く姿をイメージして、メリットを感じるようであれば幸いです。