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キャリア・短編小説・NIKKO・Fukushima

学習塾の仕事に向いている人とは【正社員の場合】

キャリアコンサルタントの視点で、様々なキャリアアップのアドバイスを紹介しているブログです。業界って数え切れないほどありますが、教育業界、学習塾業界ってどういうイメージでしょうか。

「子どもに勉強教えるなんてスゴイですね」

「夜遅くて大変ですよね」

「保護者ってどんな感じなんですか?」

「塾の先生って学校の先生をあきらめて入社する感じですか?」

私自身の経験から、こんな感じじゃないでしょうか。

 

人材ビジネス、転職支援の仕事をしていた私に急遽学習塾部門への異動を打診があったことは、まさに「晴天の霹靂」でした。会社都合なので、断りようもないのですが同時に「なんか面白いことが起きるんじゃないか」とも思ったものです。同じ会社にいながら、学習塾部門の社員とは社内イベントでさらっと接触する程度だったので、中身はどうなの?は純粋に気になっていました。

 

今回の記事では、第三者的に学習塾業界を見てきた経験、自分でこの歳(40歳)になって学習塾業界に飛び込んで得た経験を合わせて、私なりに「学習塾の仕事に向いている人とは」「学習塾業界で活躍する人とは」を紹介します。もしあなたが就職、転職で学習塾業界を検討しているようなら、参考にしてもらえると幸いです。

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栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。

学習塾のビジネスモデルはいろいろありますが、ざっくりと

①「生徒数」×「単価」=「売上」

②「売上」ー「講師人件費」=「粗利」

の2つの式に表すことができます。特に学習塾の社員になって、さらに教室長を目指して予算管理をするようになったらシンプルに①を追わなければなりません。ここに繋がる考え方、動き方ができる方は学習塾に向いており、成果も出しやすいでしょう。

詳しく解説します。

 

①「生徒数」×「単価」=「売上」

この式が表すのは、売上を上げるための方法です。どんなに教えるのが上手でも、生徒と仲良くなるのが上手でも、保護者にうまいこと言っても、売上が上がらなければ、ただのボランティア先生と変わりません。

社員になったら、日々の業務をしながらまったく自然な発想で、生徒数を伸ばす動きができるのが理想です。生徒数を伸ばすためには、合格実績をアピールしたり広告費をかけて生徒募集をしたり、手段はたくさんあります。しかし本質は『成績を上げる』これに尽きるでしょう。逆説的ですが、これができれば広告手段も増えるので生徒数を増やしやすくなります。

 

生徒がまったくやる気がなくても、部活で疲れていても「あれ?この塾にしたら成績が上がってるな」と実感できたら、確実に学校の授業もよく聞くようになります。さらに成績が伸びて良い循環ができます。

保護者は、多少授業料が高かったり送り迎えが大変でも「あれ?そういえば学年順位がまた上がっているな」と思ったら、ほとんど転塾したり退塾したりしません。たまに難関校専門みたいな他塾に移られて嬉し悲しい気持ちになることはありましたが・・・

成績が上がると、生徒ひとりの単価も上がります。受講する教科が増えたり季節講習での申し込みカリキュラムが手厚くなります。やればやるほど成績が上がる気がするからです。別な言い方をすると、流れを変えてまた成績が落ちることが怖いとも言えます。

 

どんな業界でも「生徒数」×「単価」=「売上」の式はそのまま通用しますが、今日と明日で客数が2倍も違ったりする飲食店とは違い、毎週通ってくれる予定通りの生徒をしっかり把握して成績を上げるための作戦を考えればいいので、意外と社員としては成果は出しやすいです。

・モチベーションを上げるのか

・テクニックを教えるのか

・やること、やらないことを決めるのか

このどれかしかありません。おそらく学習塾業界で勤めている社員は、この記事を読んでも「そんな当たり前のことじゃん」と思ってくれると思います。これを自分主導で行うのか、他の講師も巻き込んで進めるのか、方法は二の次でいいくらいです。

あなたがここまで読んでみて「なんかこんな業界でやってみたい気がする」と成功イメージを感じてくれたら、入社したとしても活躍できるはずです。

 

②「売上」ー「講師人件費」=「粗利」

社内で評価を上げるには、この式を意識できるかどうかです。また教育業界全体で映像授業、WEB授業など教える手段が広がっていますが、結局授業の品質を落とさずに「いかに講師人件費を下げるのか」これが粗利に直結します。

神講師が神授業を展開すれば、生徒数が増えて単価も上がります。当然、売上も上がるでしょう。講師人件費に多額をかけても経営的にはOKです。

AIが成績判断、カリキュラム提案をして普通の講師が授業をすれば、まずまず生徒が集まって単価もそれなりでしょう。普通の講師の人件費は普通なので、経営的にはこれでもOKです。

個別指導塾のようにパートアルバイト比率が高かったり、授業の質がどうしても属人的になるスタイルの場合は、生徒数も単価も安定しないかもしれません。人件費も安定しないので経営的には安心できないかもしれません。その代わり社内No1になるのはカンタンです。

あなたが学習塾業界を目指すのであれば、応募したい企業がどのようなスタイルで授業を行っているのか、よく調べるようにしましょう。そのスタイルが経営スタイルに直結しますので、仮に教室長になって売上や粗利を追わなければならないときに打ち手が変わります。

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教育業界、学習塾業界を解説する他の記事も参考になるものは多いですが、私が見る限り、週末に模試をやるわ、帰る時間も遅いわ、手を焼く生徒がいるわ、ワケわからん保護者もいるわ、そんなこんなで大変なこの業界で活躍するには、①と②の式を意識して成果を出せば、心が折れることはないでしょう。

あまりキラキラした

「生徒の成長する姿がモチベーションです」

「受験という大きな節目に役に立ちたいんです」

みたいな志望動機だけで飛び込むと危険です。失敗するはずです。結局のところ、生徒の成長も受験の結果も数字となって見えてしまうので、少しずつでもいいから数字を変えることに力を注げるのであれば、確実に教育業界、学習塾業界に向いています。

 

各企業の戦略、戦術はバラバラなのでざっくりした内容しか書けませんが、少子高齢化が進むこの環境で、子どもの心に火を灯せる存在になれるのが学習塾業界です。それは大きなやりがいになるでしょうし、子どもの成長を通して自分自身が成長していることを実感できるので、他の業界では得難い体験です。少しでも学習塾での仕事に興味を持っているのであれば、応援したいと考えて書いた記事です。参考にしていただけると幸いです。