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バブル崩壊後に大躍進【おおるりグループ】の現在と売却先(2025年現在)

鬼怒川温泉をホームタウンとする、貴重なホテルチェーン、おおるりグループをご存じでしょうか。今から約50年前に開業して、バブル崩壊後にさらに拡大していきました。

社員旅行のような団体客が激減して、撤退や倒産するホテルが激増していた時代において、価格破壊というわかりやすい武器で、鬼怒川温泉だけでなく、塩原温泉、草津温泉、熱川温泉など日本各地の有名温泉地に展開していきました。

 

 

拡大と撤退、売却先まで含めて2025年現在の情報をまとめてみました。

ぜひ最後までお付き合いください。

 

鬼怒川温泉

鬼怒川温泉にあった、ホテルニューおおるり、おおるり沢風、旅荘おおるりの3軒を紹介します。

 

ホテルニューおおるり

まずは本丸である、鬼怒川温泉のホテルニューおおるりです。鬼怒川の中心地よりやや南側、バイパスと鬼怒川に架かる橋に接続しており、アクセスは抜群です。

源泉かけ流し、日帰り入浴も可能な良質な温泉、この時代においてもリーズナブルな価格設定はかなりありがたい存在です。

新型コロナの感染拡大によって、2021年に多くのおおるりグループのホテルが閉館となりました。ホテルニューおおるりも同様です。

多くのファンがこの先を心配しましたが、2022年に再開して、現在に至っています。

 

ホテル沢風

そこから北に3km程度、鬼怒川公園駅の目の前に、おおるりグループのホテル沢風がありました。

もともとは鬼怒川一柳閣として開業したようですが、その後おおるりグループが引き継いでいます。こちらも駅から徒歩2分くらいのアクセス、かなり特徴ある外観で注目されていたと察します。

その後に撤退して、2014年から2020年頃まで別な会社によって運営されました。東日本大震災からの復興を応援する目的で拡大していた、復興御宿 富双江葉大馬 秘極の湯 風です。

このインパクトがありすぎるホテルに移り変わり、現在は廃墟のような姿になってしまいましたが、こちらはまた別な機会に紹介したいと思います。

 

旅荘おおるり

さらに2km程度を北に進むと、旅荘おおるりがありました。20部屋もないコンパクトな大きさ、温泉街からは少し離れて住宅街のような立地ですが、新藤原駅から歩いて行けるロケーションは大きなポイントです。

こちらも2021年に閉館。その後は、Tabistブランドによって、清水の宿というホテルに生まれ変わりました。

 

塩原温泉

鬼怒川温泉では3軒のホテルを紹介しましたが、同じ栃木県内の塩原温泉には、1km圏内に、まるでコンビニくらいの距離感で4軒のホテルがありました。

 

ホテルおおるり

鬼怒川温泉のホテルニューおおるりが、感染拡大によって一時閉館した際にも、継続営業して現在に至っています。こちらも豊富な源泉かけ流し、庭園のようなスペースが併設されており、存在感はたっぷりです。

最上階の看板を見る限り、もともと違うホテルだったものを買収したのだと思います。

 

おおるり岩獄

この近さであれば、先ほどのホテルおおるりでいいんじゃない?と思ってしまいそうですが、岩獄(いわたけ?)は小さめの落ち着いた雰囲気を求める方にとっては、ちょうどいいサイズ感だったのかもしれません。

こちらは早い時期に閉館して、震災直後の2012年から復興御宿 富双江葉大馬 秘極の湯 葵として営業していました。2017年に閉館して、現在は放置されている状態です。

 

塩原温泉ホテル

現在は日本最大級の足湯である、湯っぽの里がありますが、その近くの橋を渡った場所に、塩原温泉ホテルがありました。2021年に閉館して、現在はBBHグループによって一萬亭に生まれ変わりました。

2021年は感染拡大の影響で、数多くのホテルが閉館することになります。

 

ホテルニュー八汐

同じく、こちらも2021年に閉館しました。ホテルおおるりから歩いて行ける距離なので、食材の配送、スタッフの採用、マネジメントをするうえでは効率的だったでしょうが、さすがに200mしか離れていないのは、予約する方も「何が違うんですか?」と聞きたくなったと思います。

2022年にマイステイズホテルグループによって、八汐荘となりました。さらに2025年からブランドを変えて「ほったらかしの宿 ゆうふり那須塩原」という、何とも正直なネーミングになりました。全国展開しているマイステイズホテルにおいて、おそらく初の試みのようですが、ほとんどセルフサービスで自由に過ごしてもらうスタイルの反響は気になるところです。

 

那須高雄温泉

同じように、マイステイズホテルに変わったホテルを続けて紹介します。

 

おおるり山荘

地元で古くから定着していた温泉だった場所に、おおるり山荘がありました。那須温泉でも、福島との県境付近のかなり奥まった先に建っています。

2021年に閉館して、その後にマイステイズホテルが買収、リニューアルオープンする情報もあったのですが、しばらく放置になっています。

昨年までは建物の近くまで寄ることができたのですが、2025年の2月段階では工事をしている雰囲気がありますので、何かしらの動きがあるかもしれません。

 

奥日光湯元温泉

こちらは群馬との県境付近、奥日光の湯元温泉にもおおるりグループがありました。こちらでも由緒あるホテルを引き継いで、おおるり山荘として営業していました。

 

おおるり山荘

湯元温泉にあったおおるり山荘、その前身は知る人ぞ知る南間ホテルでした。

1882年に開業した、栃木を代表するホテルのひとつだった南間ホテルは、太平洋戦争で上皇天皇が疎開した先として知られています。この地で昭和天皇による玉音放送を聞いたと思うと、感慨深いものがあります。

そんな南間ホテルでしたが、2003年に閉館となり、2004年からおおるり山荘となりました。こちらも2021年の一斉閉館の対象となりましたが、2022年よりマイステイズホテル「亀の井ホテル 奥日光湯元」としてリニューアルオープンしました。

 

湯西川温泉

高雄温泉と湯元温泉の中間付近にある、こちらも山奥の静かな温泉街、湯西川温泉にもおおるりグループはありました。

 

平家本陣

こちらはもともと高級ホテルだった平家本陣を引き継いで、2021年まで営業していました。他のおおるりグループよりも1000円程度料金が高かったようですが、その代わりバイキング方式を採用せずに満足度も高かったようです。

閉館後は、2022年にマイステイズホテルによって「日光湯西川 平家本陣」となりましたが、2023年に他とブランド名と統一して「亀の井ホテル 日光湯西川」と変更しています。

 

草津温泉

亀の井ホテルの流れで、次は群馬県の草津温泉に移ります。全国的な人気温泉地、草津温泉にも、おおるりグループが1km圏内という近所のような距離感で3軒が建っていました。

 

ホテルおおるり

草津温泉のホテルおおるりも、2021年の一斉閉館の対象となりました。

現在はマイステイズホテルの「亀の井ホテル 草津湯畑」となっています。

 

ホテルニュー七星

ホテルニュー七星(しちせい)は、現在の裏草津と呼ばれているエリアにあり、こちらは少し早い2019年に閉館しました。その後はガラッと雰囲気が変わって、2022年から裏草津 蕩(とう)として営業しています。

 

ホテルニュー紅葉

ホテルニュー紅葉は、一斉閉館の対象になりませんでした。塩原温泉のホテルおおるりと合わせて、この2軒だけが休館することなく現在に続いています。

 

熱川温泉

続いては、少し離れて伊豆まで飛んでいきます。東伊豆の熱川温泉にも3軒のおおるりグループがありましたが、この地に商機を感じたのか、何かしらの縁があったのか、どちらにしても鬼怒川からはかなり離れたエリアです。

3軒とも500m圏内にあり、もうお互いに見えるくらいの近さです。

 

熱川シーサイドホテル

最初に紹介する熱川シーサイドホテルは、私が調べた限りでは、熱川温泉で最初に開業したホテル、つちやホテルを起源としていると思います。

つちやホテルは、1904年から2001年に倒産するまで営業していました。

2007年からおおるりグループ、熱川シーサイドホテルとして2021年の閉館まで営業しています。

その後は2022年に、マイステイズホテルの熱川オーシャンリゾートに生まれ変わりました。

 

熱川グランドホテル

すぐ近くに建つ、熱川グランドホテルは感染拡大より前の2018年には閉館しています。情報を見る限り、そのまま建物は放置されてしまっているようです。

 

ホテルおおるり

熱川温泉でも、ホテルおおるりという名前で営業していましたが、そこに至るまでに波乱万丈の経緯がありました。

1954年に熱川温泉ホテルが開業しましたが、2004年に岡本ホテルグループに加わり、熱川岡本ホテルとしてリニューアルオープンします。

「預託金を5年間預ければ、元本を保証したうえでホテルの宿泊権が得られる」といった売り文句で急拡大しましたが、被害総額200億円以上の詐欺事件に発展して、2011年にオーナー逮捕で幕を閉じました。

2014年からホテルおおるりとなりましたが、2020年に閉館。

2023年より、清水の宿と同様に「Tabist 伊豆熱川温泉ホテル 玉龍」となりました。

 

中禅寺温泉

最後はまた日光に戻ります。中禅寺湖の周辺に広がる中禅寺温泉にも、おおるりグループがありました。

 

ホテル湖畔亭

このエリアではかなり早い時期、1868年に蔦舎旅館が開業しました。歴史ある旅館でしたが拡大戦略で大型化していき、メモリアルホテル蔦舎と変わりました。

その後に閉館して、2009年におおるりグループ、ホテル湖畔亭としてリニューアルオープンしました。

こちらも2019年に閉館となります。

2020年からリロホテルズ&リゾーツによって、シンプレスト日光となりました。2022年よりブランド名を「ゆとりろ日光」と変えて、現在に至っています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

一時は各地の有名観光地に展開した、おおるりグループについて紹介しました。個人的な印象ですが、ホテルチェーンとしての戦略や強みがはっきりしていると思います。

・撤退したホテルを活用して宿泊代を安く抑える価格戦略

・シニアグループや若年層など極端なターゲット戦略

・無料送迎によるホテル直行直帰で、食事やおみやげ購入まですべてホテル内で完結させる動線戦略

・バイキングをはじめとした人員削減による、徹底したコスト戦略

こういった成功要因がありましたが、バス送迎やバイキングが新型コロナの感染対策をするうえで、完全に逆風になったことは残念でなりません。また実際には、お互いが近すぎて、おおるりファンの奪い合いになってしまった現象もあったのではないでしょうか。

 

現在も3軒が残っていますので、貴重なホテルチェーンとして活躍してもらいたいと、心から応援しています。