どうやって自分にピッタリの仕事を探せばいいのか…
なかなか自信を持って「こういう選び方が正解です」とは言えないのではないでしょうか?キャリアコンサルタントとして、1000名以上の転職相談をしてきた経験ではっきり言えることは「絶対ダメな会社と絶対向いてない仕事、それ以外は正解にできる」ということです。ということで、絶対ダメな会社を変えることが相当難しいですが、自分の力でどうにかなる「絶対向いていない仕事を避ける」にフォーカスします。
2021年9月、栃木県宇都宮市にある文星芸術大学にてキャリアガイダンスを行いました。2年生が対象だったので本格的な就職活動は1年先ですが、手当たり次第に動いてもダメですし、先行き不透明で逆に動かないのもダメなので、仕事を探すためのヒントを解説しました。その内容を改めて今回の記事にまとめています。
仕事を探す第一歩は自己分析です。「入社してからこんな会社だとは思わなかった…」と後悔してしまうのは、会社に問題があるよりも自分のことをよくわかっていないケースが非常に多いです。自己分析をするために、カウンセリングの現場でも活用するモチベーショングラフというツールを使って、仕事をどのように探せばいいのか紹介します。
・初めての就職活動だけど、どんな仕事が向いているかな…
・やりたい仕事を選んだはずなのに、辞めたい…
・自己分析ってどうすればいいの…
と考えているのであれば、参考になると思います。
まずはPCや手書きで作成した、下のような横軸が時間、縦軸が%となるような表を準備します。私が行ったキャリアガイダンスは2年生向けだったので、大学入学をスタートにして1年半の時間を横軸にしていますが、すでに何年も働いているのであれば、3ヶ月ごと、半年ごとくらいの区切りで構いません。社会に出て働いている期間を網羅することが必要です。
縦軸は0%〜100%で、仕事や勉強に対するモチベーションを表します。この横軸と縦軸を書いたら自分のモチベーションがどのように変化していったのかグラフにしてみましょう。
講座でサンプルとして書いたグラフは、以下のようなものでした。大学に入学してから1年が経ち、2年生になって折り返しってタイミングなので、私なりに「自分が芸大生だったらこんな感じかな…」とイメージしながら、モチベーションの変化を書いてみました。
最初の1年間は
①入学しても緊急事態宣言により、ほとんど出席することがない
②どんどんモチベーションが落ちていく…
③徐々に学校に出席するようになって、大学生らしい生活に
④アルバイトをするようになって、新しい遊び仲間が増えた
⑤自分で稼ぐって楽しいな!と思うように
こんなストーリーです。それから2年生になり
⑥課題が難しくなり、デザインに対する自信がなくなってきた…
⑦あまり熱心に勉強しない日が続いた
⑧ちょっとずつ慣れてきて、デザインのコツがわかった気がする
⑨また少しだけ自信を取り戻した
というように、入学直後にガクンとモチベーションが落ちて、でも大学生らしい生活になってきてアルバイトが楽しくなってきて、そこへ課題が難しくなって気持ちが落ちて、でも慣れてきたので、どうにか入学した頃のモチベーションを取り戻してきた、というモチベーションの変化になっています。
モチベーショングラフは、いつが何%だったかはほとんど仕事選びには関係なく、モチベーションが上がったり下がったりするタイミングにフォーカスすることが大切です。今回のサンプルで大切な変化はどこになるでしょうか。
①→②を考えてみると「やっぱり自分は普通に大学に通って、みんなと勉強したい」という気持ちがあるのかな…と自己分析ができるかもしれません。続きを見てみましょう。
④→⑤については「デザインに興味があったけど、そもそもみんなと仕事をするって意外と楽しいな」と改めて発見があります。このように、なぜ自分のモチベーションが上がったのか、起きていた出来事と繋げて考えることがポイントです。
⑥→⑦は難しい壁にぶつかったときに、自分がどのように感じて影響を受けるか知ることができます。壁にぶつかって「やってやろう!」と真正面から戦う人もいるでしょう。反対に、壁の大きさに気持ちが切れてしまう人もいるでしょう。どういう気持ちになるとモチベーションが上がったり下がったりするのか、これを考えやすくするために、先にグラフを書いて「なんで気持ち上がったんだっけ?」とか「この頃やる気がなかったのは、何がダメだったんだっけ?」と振り返る、この順序が大切です。
⑧→⑨コツコツ頑張る自分を発見できるかもしれません。確かにモチベーションが落ちてしまっていたけど、まったくゼロになるわけではなく、コツというか突破口を発見することでモチベーションがまた上がっています。
この自己分析を仕事選びに応用します。
このサンプルで考えると、具体的な職種まではたどり着かなくても、こういうタイプの仕事が向いているのではないか、こういう仕事は向かないから避けたほうがいいな、とヒントが見つかるはずです。
・ひとりで取り組むよりは、仲間がいた方が頑張れる
・芸術とかデザインの仕事にこだわらなくてもいい
・難しい仕事でも構わないけど、乗り越えるのは時間かかるかも
向いていない仕事の種類で考えると、ある程度自分で考えて工夫して、あちこち1人で移動するような働き方でしょうか。この先いろんな経験を積んで考え方が変わる可能性は大きいです。経験を積むから自己分析の精度が上がることもありますし、途中で何か新しいモチベーションスイッチを発見するかもしれません。
決めつけで可能性を狭めてはダメですが、ある程度仕事探しの方向性は決まると思います。冒頭に紹介したように、絶対向いてない仕事は避けることを最優先にしましょう。
就職活動だけでなく、30代や40代、いくつになってもモチベーショングラフは役に立ちます。「あの頃はこんなことがあって大変だったなぁ」とか「あれは楽しかったなぁ」とふんわり振り返っても自己分析にはなりません。転職するかどうかは関係なく、これまでのキャリアを振り返ったり、これからを考えるときに自分を客観的に見ることができます。
自分に向いている仕事を探す、自己分析をする、いろんな場面でモチベーショングラフを参考にしてみてください。