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派遣法改正【労働組合がない企業で労使協定方式を採用するための書式例】

キャリアに関する内容が中心のブログですが、今回は少し脇道ネタです。私は転職エージェントとして日々、求職者と登録面談を行ったり、企業に訪問したりするわけですが、その一方で派遣事業も一部行っています。

2020年の派遣法改正によって、同一労働同一賃金が強制になり「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」どちらかを採用しなければならなくなりました。派遣先が請求単価の交渉にも応じてくれて「派遣先均等・均衡方式」を採用できるのであれば、派遣先から主な就業条件を共有してもらうことで比較的シンプルに手続きが完了します。

 

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記事によってどっちが煩雑とか分かれますが、どちらも派遣元責任者として担当している私の実感としては、圧倒的に「労使協定方式」の方が大変です。いろいろ大変ですがその理由は次の2点に集約されます。

①厚生労働省が作成しているマニュアル、書式例が労働組合があることを前提にしているので、中小企業の場合はどうするの?となってしまう

②パート社員や派遣社員に対して賞与、退職金制度が適用されないので、就業規則を眺めてみても基本給をどのように算出したら良いのかわからない

これで労使協定を締結したプロセスをエビデンスで提出する必要があったら、気を失う派遣元責任者が続出したことでしょう。

 

①に関しては、労働局(栃木県)に受理された労使協定をサンプルとして以下に掲載しますので、参考にするなり自由に活用していただきたいです。このサンプルが検索しても見当たらず無駄な時間を相当使ってしまいました。労働局には期限前に確認で伺って、本番で軽微な修正をして3回目で受理されました。

この仕事は心が折れます。誰のためにやっているのか、しかもほとんどのプロセスが気持ちの入らない作業、作業、作業です。なぜフォーマットをプラットフォーム上に公開して、そこに入力する仕組みにしないのか、まったく謎です。

 

②に関しては「労使協定を結んだとしても、今まで賞与とか払ったことないし、退職金なんて考えたこともない…」と思ったとしても機械的に計算するしかありません。退職金前払い制度にして、賞与も退職金も基本時給に上乗せして組み込みます。私が担当している派遣先は、入札で発生する派遣先なので派遣契約が1年、当然雇用契約も1年、退職金なんてどうやったって適用されないのですが、それでも組み込むわけです。ちょっとこの算出方法にはヤケクソを感じますね。

 

こんなことが同一労働同一賃金の解決になるのか、不思議な話ですが以下「労使協定方式を採用して労使協定を取り交わす際の書式例」です。ワードなどにコピペできるように、テキストのままです。書式例では、栃木県・総合事務員・1年目の条件です。第3条(一)はその都度アップデートが必要だと思います。

責任は一切取れませんが、参考にしていただけると幸いです。

 

【労使協定取り交わしの書式例】

 

                                 令和 年 月 日

 

        労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定

 

【あなたが勤める会社名】(以下「甲」という)と社員代表【選出した社員代表】(以下「乙」という)は、労働者派遣法第30条の4第1項の規定に関し次の通り協定する。

 

(対象となる派遣労働者の範囲)

第1条 本協定は、派遣先で「総合事務員」の業務に従事する従業員(以下「対象従業員」と

いう)に適用する。

2 対象従業員については、派遣先が変更される頻度が高いことから、中長期的なキャリア形成を行い所得の不安定化を防ぐ等のため、本労使協定の対象とする。

3 甲は対象従業員について、一の労働契約の契約期間中に、特段の事情がない限り、本協定の適用を除外しないものとする。

 

(賃金の構成)

第2条 対象従業員の賃金は、基本給(退職金を含む)、時間外労働手当、深夜・休日労働手当、通勤手当とする。

 

(賃金の決定方法)

第3条 対象従業員の基本給及び賞与の比較対象となる「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」は、次の各号に掲げる条件を満たした別表1のとおりとする。

(一)比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、令和元年7月8日職発0708第2号「令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」等について」(以下「通達」という)に定める「平成30年度職業安定業務統計」(厚生労働省)の「総合事務員」とする。

(二)通勤手当については、基本給及び賞与とは分離し実費支給とし、第6条のとおりとする。

(三)地域調整については、就業地が栃木県内に限られることから、通達に定める「地域指数」の「栃木」を用いるものとする。

 

第4条 対象従業員の基本給及び賞与は、次の各号に掲げる条件を満たした別表2のとおりとする。

(一)別表1の同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上であること

(二)別表2の各等級の職務と別表1の同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額との対応関係は次のとおりとすること

    Aランク:10年

    Bランク:3年

    Cランク:0年

2 甲は、第9条の規定による対象従業員の勤務評価の結果、同じ職務の内容であったとしても、その経験の蓄積・能力の向上があると認められた場合には、基本給額の1~3%の範囲で基本給に上乗せをして支払うこととする。また、より高い等級の職務を遂行する能力があると認められた場合には、その能力に応じた派遣就業の機会を提示するものとする。

 

第5条 対象従業員の時間外労働手当、深夜・休日労働手当は、就業規則(契約社員)第49条に準じて法律の定めに従って支給する。

 

第6条 対象従業員の通勤手当は、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

 

第7条 対象従業員の退職手当は、別表1の3に定める額の6%の額を前払い退職金として支給する。

 

(賃金の決定に当たっての評価)

第8条 基本給の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価の方法は社員就業規則に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、第4条第2項の昇給の範囲を決定する。

 

(賃金以外の待遇)

第9条 教育訓練(次条に定めるものを除く。)、福利厚生その他の賃金以外の待遇について正社員と同一とし、社員就業規則第28条から第55条までの規定を準用する。

 

(教育訓練)

第10条 労働者派遣法第30条の2に規定する教育訓練については、労働者派遣法に基づき別途定める教育訓練実施計画に従って、着実に実施する。

 

(有効期限)

第11条 本協定の有効期間は、令和◆年◆月◆日より令和◆年◆月◆日までの期間とする。

 

(その他)

第12条 本協定に定めのない事項については、別途労使で誠実に協議する。

 

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令和◆年◆月◆日

使用者名 【あなたが勤める会社名】

職名氏名 【代表取締役 代表氏名】印    社員代表 【選出した社員代表】印

 

以上です。この作業を派遣契約を結ぶごとに行うなんて、労働市場の自滅に繋がりそうですが徐々にシステム化、自動化が進むことを祈るばかりです。

そうしないといつまで経っても、誰かがネットにアップした書式例を参考に自社で作成して、労働局はマニュアルと照らし合わせてチェックするという地獄の光景が続きます。