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正社員・契約社員・派遣社員の違い【新卒からのキャリア形成】(文星芸大キャリアガイダンス2020年)

2020年度、栃木県の文星芸術大学2年生を対象に行うキャリアガイダンスの内容をまとめます。全4回のシリーズですが、今回の第3回は雇用形態にスポットを当てます。雇用形態って意識したことありますか?「正社員」とか「アルバイト」は身近に感じるのではないでしょうか。以前のアンケートでは、アルバイトで働いている学生は半分以上でしたね。「派遣社員」って聞いたことがあったりなかったり、そんなところじゃないでしょうか。

 

キャリアコンサルタントとして2,000名以上の方と面談してきた経験から、10年20年先を見越したキャリア形成のヒントを紹介します。今回の記事では新卒の「これから就職活動を考えたいけど、正社員って目指さなきゃダメなの?」という疑問を持っている学生を、特に対象にしています。

正社員になって何十年もその会社で勤めて、やがて結婚して家も建て、ローンや子育てに追われながら、辛うじて趣味の時間を確保して、そんなイメージを持っている方も多いと思います。あなたはどうでしょうか?ちなみに、父親や母親がどんな仕事をしていたのか、どんな働き方をしていたのか、これが結構影響しますね。

 

ここはちょっと脱線ですが「あなたの親は何の仕事をしていましたか?」という質問は、面接ではちょっと御法度なところはありますが(本人の能力や適正によってのみ採用するのが、厚生労働省の建前上好ましいから…)よく聞かれます。実際の影響力は大きいと思います。経営者の後継はやっぱりその姿を見てきた息子が自然、とはよく言われます。

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さて、正社員・契約社員・派遣社員という雇用形態の違い、中身の違いを説明するために、話があちこちにならないように3つの切り口で考えてみましょう。以下の3つです。

①どうやって働いてお金を稼ぐのか

【雇用関係で、自分と企業の関係がどう変わるのか】

②仕事時間以外は何をするのか

【時間をどう確保して、何に使うのか】

③職能主義、職務主義とは

【人として評価されるのか、技術を評価されるのか】

この①〜③をざっくりでもいいから理解して、社会に飛び込んでもらえれば、より良いキャリア形成に繋がるはずです。こういった話題は海外の学校では義務教育でも実戦形式で叩き込むわけですが、日本はまだまだ追いついていません。特に「どうやって稼ぐのか」「稼ぐことで何を目指すのか」ここを今一度考えてみましょう。大切なことです。

 

①どうやって働いてお金を稼ぐのか

【雇用関係で、自分と企業の関係がどう変わるのか】

正社員と契約社員は会社との直接雇用です。直接雇用ということは、勤める会社と直接雇用契約を結びます。仕事内容は会社から割り当てられて、雇用契約書(就業条件明示書)に書かれた通りの給料が、会社からあなたの口座に直接振り込まれます。正社員という働き方は、実は日本独特の言い方です。

 

正社員とはざっくり説明すると

・直接雇用

・終身雇用

・フルタイム

が基本的な条件です。最近になって正社員の定義も企業によって様々になってきましたが、この3つが揃っているパターンが多いですね。働くあなたにとっても、雇う会社にとっても「終身雇用」が重要です。あなた自身から退職しない限り、または会社都合で退職しない限り何十年も雇用関係が続きます。

就職にしろ転職にしろ「正社員を希望します」と言う求職者が多いですが、安定を求めたら正社員雇用の選択になるでしょう。その会社の一員となるわけですから「どのように会社に貢献したのか」が評価に繋がりますし、企業だってずっとあなたが自社で活躍してくれることを前提にして、研修をしたり様々な経験をさせるわけです。

「この会社のために頑張ろうかな」

というマインドがないとお互いに苦しい展開になりますね。「入社したはいいけど、なんか社長の言っていることに共感できないことばかり…」「自社の商品に自信が持てない…」だと当然成果は出ませんし、雇っている会社や上司は頭を抱えることになります。安定した環境を選ぶことは悪いことではありませんが、その先何十年も働くことをイメージできるかどうか、よく考えてみることがとても大切です。

 

契約社員は正社員として働かない場合に当てはまります。

特に雇用契約期間が限られている場合(つまり終身雇用ではない)に当てはまります。海外の雇用形態は雇用契約3年とか5年のように期限が決まっているのが大多数です。3年で成果を出さないと次の契約は保証されません。働く社員にとっても、3年でスキルを習得して新しい環境にチャレンジしよう!とモチベーションを上げて入社することができます。日本では契約社員の役割が全然違っていて「正社員で働けないから契約社員」という働き方が主流です。子どもが小さくフルタイムが難しい、本当は正社員で働きたいけど仕事が見つからないからしょうがなく…というパターンが多いのではないでしょうか。

 

契約社員、準社員、限定社員、呼び方はいくつかありますが、日本では正社員以外は全部一緒です。聞こえ方で言い方を選んでいるだけなので注意しましょう。「準社員だけど頑張れば正社員を目指せますよ」と甘い言葉で、社員を集める会社もあるくらいです。

もちろん、契約社員の働き方を選ぶ方もいます。どちらにしろ正社員と同様に会社との直接雇用ですので「この会社のために」という気持ちを持つこと、会社の成長とあなた自身の成長を一緒に考えられると「仕事を楽しんで、それでお金を稼ぐ」が実現しやすくなります。お金が稼げるから仕事が楽しい!こんな瞬間も確かにあるでしょうが、稼げるようになるのはスキルが上がってからです。稼げなくなったら気持ちが切れて、どんどん悪循環になるのは間違いありません。先に仕事を楽しむことを考えた方が幸せになります。

派遣社員は少し複雑です。派遣社員はカンタンに表現すると「お助けマン」です。「お助けマン」のイメージって「普段はここにいない人」ですよね。いつもいたら、ただのすごい社員です。派遣社員は会社と雇用関係がないことが1番のポイントです。会社から見れば外から来た「お助けマン」ですから、働き方は契約内容に従います。

・仕事内容

・勤務時間

・勤務場所

・給料(基本給、残業手当、有休手当、その他)

・雇用期間

・誰が業務指示を出して、困ったら誰に相談するのか

など仕事に関する内容は何から何まで雇用契約書に書かれていて、基本的にはみ出してはNGです。よく知らない人がどこからか来て、困っていることをスパッと解決するのが派遣社員です。元々は派遣社員ってそんなカッコいいポジションでした。

 

どこの会社だって「こんなことできる人がいたらなぁ」という悩みを抱えています。今の時代なら「この事務処理を自動化できるプログラマーがいたらなぁ」みたいな感じでしょうか。このときにプログラマーができそうな学生を新卒採用して、何年も研修して経験を積ませて、やっと何年後かに事務処理を自動化しても確実に遅すぎて終わっています。この会社が1番早く自動化を実現しようと思ったら派遣会社に相談することです。派遣会社に対して

・プログラミング経験3年以上

・1年以上働ける

・できれば30代

という要望を出せば、候補者さえいれば「お待たせしました!」ある日「お助けマン」がやって来ます。なんと面接することは禁止されていますので、派遣社員は「次の職場はここかぁ…」みたいなノリでしょうか。採用する企業としては、どんな人が来るのかドキドキですが、リクエストしたスキルの人が来るわけですから安心です。事務処理で毎日てんてこまいの現場の社員からは歓迎されるでしょう。だから派遣社員は、特別なスキルを持った職種に限られていました。通訳、プログラマー、インテリアコーディネーターのような26業種です。この派遣社員は雇用期間が決まっているので、一見不安定な働き方ですが、特別なスキルがあるので仕事探しに困らないことが一番の強みでした。派遣社員は己のスキル一本で戦っていく一匹狼のようなイメージです。

それで良かったのですが、この20年で一気に派遣社員の意味、存在感が変わりました。少しその移り変わりを説明します。

 

1986年 労働者派遣法施行され13業種(基本的に派遣期間最大1年)が対象

1996年 対象を専門性の高い26業種に拡大

1999年 派遣可能な業種が原則自由化・26業種は派遣期間最大3年・その他は最大1年

2004年 26業種は派遣期間無制限・その他は派遣期間最大3年

 

一言で表すと、派遣社員は「お助けマン」から「便利なハケン」になりました。人材ビジネスに関わっている感覚としては、製造職と事務職で派遣OKになった変化は大きいですね。1990年前後のバブル崩壊を機に「労働力が余る」という現象が起きました。正社員を解雇することには大変なハードルがあります。日本中の企業にとって正社員をたくさん抱えることがリスクになりました。忙しいときには社員を増やす、ヒマになったら社員を減らす、こういった調整を都合よくできることが理想です。そこで派遣社員の登場です。派遣社員は期限を切って働いてもらうことが前提ですし、募集手続き、採用手続きも不要です。派遣会社に「こんなスキルの人、お願い」と言えば、そんな人が来ます。

当初は現場の困った仕事をさばいてくれる存在でしたが、誰でもできる仕事も派遣社員が行うようになりました。「お助けマン」とは意味合いが違いますが、企業にとってありがたいシステムです。ちょっとくらい派遣社員にかかる人件費が高くても、それくらい終身雇用の正社員を雇うリスクを避けたいということです。

 

風向きが変わったのは2008年〜2009年のリーマンショックです。

アメリカが震源地の不景気ですが、大企業の倒産や失業が大きな問題になりました。派遣社員にとって不幸だったのは「派遣切り」という言葉が一般化するほど契約を切られて路頭に迷ったことです。もちろん派遣社員を減らさなければ、各企業が倒れるわけですから当然の対応かもしれませんが、はっきりしたことは「派遣社員の再就職は難しい」という問題です。

派遣社員は、勤める会社の正社員ではありませんから

・30代や40代になってマネジメント経験がない

・キャリアアップ研修を受けていない

・毎日同じような業務を繰り返しているので、スキルが限られる

という現象になります。当然、年齢相応で期待されるスキルが習得されていませんから再就職は難しくなります。

 

その後、派遣法は民主党政権で実状に合わない改悪があり、自民党政権に戻ってからは建前のようなキャリアアップ制度、正社員登用制度みたいなものがあります。何にしても、派遣社員は働く時間の大部分を過ごす職場において、自社の社員ではありません。ひょっとしたら、こういう関係を居心地が良いと感じる人もいるでしょう。こんな風に割り切って働きたいという人もいるでしょう。ただし、一見の自由はその先に大きな自己責任が発生します。派遣社員として働くということは、あなた自身がキャリアを真剣に考えてスキルを習得する必要があります。

 

政策として、雇用の流動化を進めて「注力するべき産業に人材を投入する」という考え方があります。その一方で、雇用の安定化を進めて「安心して働ける環境をつくる」という考え方もあります。

どちらが正しいとか極端な話ではありませんが、その2つの考え方に挟まれていつも法律が変わったり、社会の流れが変わったり、影響を大きく受けてしまうのは派遣社員です。戦力の調整役として活躍するべき派遣社員が、今のところ「増やしたり減らしたり、お金はかかるけど都合のいい社員」となってしまっているのは様々な矛盾の結果です。

②仕事時間以外は何をするのか

【時間をどう確保して、何に使うのか】

正社員、契約社員、派遣社員、いろいろな働き方があります。①でも触れましたが、契約社員は何かしら制約があって契約社員として働くケースが多いので、極端な残業や公休出勤などが発生することは皆無なはずです。派遣社員も契約書に書かれた内容の通りに働くので、基本的に残業は発生しません。現場がいくら忙しくても、派遣社員に向かって「この仕事ヤバいから今日中に終わらせてくれない?」みたいな指示をすることはありません。

 

正社員は状況に応じて残業したり、休みの日に振替休日などで働くことはあるかもしれません。かもしれません、というのは業界や会社によってルールが大きく変わるからです。繁忙期があったり、イベントが多いサービス業では来客数次第で忙しさが決まるので、あらかじめ考えた予定時間以上に働くことは多いでしょう。社員数が極端に少ない職場でも、誰かの代わりを埋めるために時間外労働が増えます。働き方改革が進んで無駄な時間外労働が減っている流れは非常に良いのですが、仕事を通じて学ぶ機会も大切なのでバランスが大切かな、と思います。

 

正社員として働く場合は、会社もあなたのことを見ています。適性や職場の状況を踏まえて、必要なスキルを習得したり、役割を与えられることも多くなります。あなたがやりたい仕事と与えられた役割が完全にイコールになるはずありませんが、長く勤めることで何かしらのスキルが身につく可能性は高くなります。私がキャリア不安に関して相談を受ける際には「頑張れる環境だったら、まずは10,000時間頑張ってみることをオススメします」と伝えます。

これが答えではありませんが、10,000時間働けばある程度のスキルが身につきます。誰でもできる仕事だけではなく、少し専門的な仕事をしている可能性が高いでしょう。10,000時間働かないと、その仕事の本当のやりがいや意味がわからないでしょう。10,000時間働けば、次の仕事に就いたときに何かしら活かせる経験があるでしょう。ちなみに義務教育の授業時間、家庭学習時間を全部合わせると10,000時間くらいです。

つまり正社員として働くのであれば、ある程度の期間を働かないと意味がありません。ある程度の期間を、やることギュッと詰め込んで仕事をやり切って、それ以外の時間にリフレッシュする、あなた自身の成長と会社の成長が相乗効果を起こすことが理想的です。

 

契約社員、派遣社員として働く場合には、労働時間が限られている分、自己投資に時間を使いたいところです。残業に追われることもなければ、あまり積極的ではない公休出勤もないと思います。もちろんプライベートを大切にして過ごしてほしいですが、キャリアコンサルタントの立場から考えてほしいことは自己投資です。自分から「定時で帰りたい」「残業はしないでプライベートを大切にしたい」と話す求職者もたくさんいますが、その分で空いた時間をぜひ自己投資にも使ってほしいと願います。

「将来この仕事はあるのかな?」「今の会社って10年後も大丈夫かな?」

と心配するよりも

「どこに行っても大丈夫なあなた自身」にする方が近道で確実です。

 

これまた個人的な受け止め方ですが「ワークライフバランスを大切にしたいです」と言う方ほど、そんなに早く帰って何がしたいのか定まっていない気がしています。どちらかというと、現場が酷い環境の反動で早く帰りたいのが本音かもしれません。そういう方ほど、いったん考えてみて「時間があったら何がしたいのか」思いを巡らせてほしいです。

 

ちなみに私は、ワークライフバランスだけでは不安です。ワークが多いの?ライフはどうなの?バランスは?とか考えてもキリがありません。2本脚のイスのようなものです。バランスが悪いとすぐに転びます。転ばないようにいつもユラユラしなければなりません。

もしも自己投資という3本目の脚があればかなり安定します。自己投資でやりたいことが増えて、4本脚のイスになったら安心です。ワークがぐらついても、ちょっとやそっとじゃ転びません。ライフがうまくいかなくても大丈夫。こうなったらワークライフバランスはどうかな?と考えるヒマすらありません。

 

経営者のようにワークの脚がぶっとく1本あれば平気、という人もいるでしょう。出産したばかりの母親のようにライフがぶっとい人もいるでしょう。このような何かに極端な場合を除くと、4本脚のイスのイメージを意識しながら、仕事以外にも頑張りたいことを増やしてほしいですね。結果的に現在が正社員でも派遣社員でも、できることが増えるので将来も安心です。

会社がどうなるのか、誰も約束できません。

派遣社員だけが不安定なわけではありません。

どこに行っても大丈夫なあなた自身、これを目指すことが、あなたのキャリア形成となります。

 

③職能主義、職務主義とは

【人として評価されるのか、技術を評価されるのか】

日本において、正社員で働いて、さらに長く働いた方がいいですよ、という説はある意味では正しいです。社員を評価するには、大きく分けて2通りの方法があります。それは職能主義、そして職務主義です。あまり聞かない言葉、初めて聞いた言葉かもしれませんがキャリアを考えるときに非常に大切な考え方です。

 

職能主義とは?

 

「職能」とは「仕事をこなす能力」です。つまり仕事の中身が何であれ、あなたがどれくらいの活躍をするのかが決まっている、という考え方です。例えば、あなたが営業の仕事をしているとしましょう。何年か勤めてから、会社があなたをポジティブな戦略上(またはネガティブな都合上)総務のポジションに異動させたとします。営業として活躍して年収400万円を稼いでいたとすると、総務に異動して年収はいくらになるでしょう。もちろん会社の状況にもよるでしょうが、多くの場合は400万円です。これは、給与を下げたらヘソを曲げちゃうかな?と心配しているからではなく、総務の仕事をすることになっても同じくらい活躍するだろうと評価しているからです。

 

つまり、あなたを営業マンとしての評価よりもあなた自身の能力を評価している、ということです。これはありがたい考え方です。長く会社に従順で働き続ければ、給料が下がることはなさそうです。実際にそうでした。政治が経済をリードして、人口がどんどん増え続けているときは、あなたは理想的な会社に就職すれば良かったわけです。業績が右肩上がり、会社規模も右肩上がり、給料も右肩上がり、昭和の時代はこれで企業も社員もOKでした。正社員の終身雇用のメリットが活かされます。

 

ここ数年で、この職能主義は見直される空気が出てきました。低成長、不景気が続くと企業はこう考えます。

「なるべく少ない優秀な人材で、なるべく利益を上げなければならない」

「あのベテランには高い給料を払っているが、本当にその価値があるのか?」

こうなると職能主義のデメリットが気になります。諸外国はどうなっているのか?日本よりも生産性の高い評価システムがあるのではないか?と調べて行き着く先は職務主義です。

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職務主義とは?

 

職務主義とは、あなたのスキルに対して評価する仕組みです。あなたが営業としてどれだけ売っていても、総務に異動したらどれだけ活躍するかわからないからヒラ社員みたいな評価、給料からスタートです。あなたの営業力、営業スキルだけを評価するとこのような現象が起きます。何かのスキルで光るものがあれば、職務主義の方がいいですね。先輩社員、ベテラン社員をゴボウ抜きすることも夢ではありません。

 

職務主義はあなたが若ければ、または仕事が順調なら最高の仕組みでしょう。どんどん稼げばいいです。ただし40代、50代、60代となって思うように仕事で成果が出せなくなったら困りものです。子どもが大きくなり、場合によっては介護の必要が発生して、お金も労力も必要な年代になって給料が上がっていないと家計は苦しいです。そうなることがわかっていたら、結婚しない若者が増えるかもしれないですね。

職務主義は派遣社員の働き方と相性がいいです。派遣社員は企業にスキルを提供するような働き方です。どのような仕事をお願いするかで給料も決まります。ここ最近は「同一労働同一賃金」の施策が進行しています。同じ仕事をしているなら正社員も派遣社員も同じ給料を払うべきだろう、という考え方が広がっていることも追い風です。派遣社員は給料の面で冷遇されることも多かったのですが是正されつつあります。

 

派遣社員として働くということは、長く働くというよりは、スキルをどんどん上げる、できる仕事を増やしていく、スペシャリストを目指すことを目指す必要があります。しかも直接的に会社に雇われていないということは、会社は積極的にあなたを育成してくれるわけではありません。

こんな書き方をすると、職務主義や派遣社員のデメリットばかり感じるかもしれませんが、現在の日本は職務主義に徐々に移行しています。ひとつの会社で定年まで働くサラリーマンモデルは現実的ではありません。極端な我慢をするくらいなら、または本当にやりたいことがあるのなら転職することが当たり前の時代になってきました。会社だって本音では、毎年定期昇給があってベテランが高い給料を受け取るくらいなら、活躍して利益を生み出してくれる若手社員に高い給料を払いたいはずです。まさに成果と待遇が比例する雇用関係です。

 

この時代にあなたが活躍し続けるには、キャリア形成を自分で行うことです。あなた自身が自分から学び、自分に投資してスキルを上げて「あなたの市場価値」を上げるしかありません。これは正社員でも派遣社員でも変わりません。正社員として働くとしても、ベルトコンベアに乗ってるが如く、会社の指示だけ聞いて流されてもダメです。派遣社員も「決められた仕事だけやって、残業もないしラクだな、遊びに行こ…」と働いているとやがて痛い目に遭います。

 

将来も安定している会社を探すよりも、将来も安定して活躍できるあなたを育成した方が確実で簡単です。雇用関係は正社員、契約社員、派遣社員といろいろありますが、自分に合った働き方を見つけて、仕事にやりがいを感じて楽しめて、望むキャリア形成ができればいいですね。私はキャリアコンサルタントとしてできる限りの行動をしていきます。参考にしていただけると幸いです。