職務経歴書って何を書いたらいいのかわからない…という求職者も多いですね。いつもは企画書を当たり前のように書いている営業マンでも、自分のことになると難しい…そんな声も聞きます。今回の記事では営業に転職する場合の職務経歴書にフォーカスします。あなたが営業に転職したいのであれば、参考にしてもらえるとうれしいです。
栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。
今回の記事では国内企業への転職を前提にします。
いくつかのパターンに分けられるのですが、代表的な4つで考えてみましょう。
①個人営業に転職する場合
②法人営業に転職する場合
③中小企業に転職する場合
④営業以外から営業に転職する場合
もちろん、この4つに当てはまらないパターンも多いですが、それぞれで紹介する鉄則とポイントは応用できるものばかりです。職務経歴書を何回も書いてきた方でも見直すきっかけになるのではないでしょうか。ちなみに履歴書は日付だけ更新して使い回すことも可能ですが、職務経歴書は求人によって内容をアレンジするのが一般的です。あなたのキャリアのどの部分が強みになるのか、どの部分で貢献できるのか、それぞれ違いますよね。ベースの部分は作っておいてちょっとアレンジするイメージです。以下の内容を参考にしてください。
①個人営業に転職する場合
個人営業は、B to C(Business to Customer)と呼ぶこともありますね。あなたが個人営業をこれまでもやってきたのではあれば問題ありませんが、製造や事務から転職する場合はどうでしょうか。個人営業は結局のところ接客の要素が強いので
「何も知らないお客様の前に出しても大丈夫だろう」
ここが最低限のハードルですね。初めて会ったお客様と自然に会話ができるのか、単価が高い住宅営業では、次のアポイントをいかに獲得するかが重要です。専門的なスペックを説明するよりも
「お客様は何に困っているんだろう」
「どのように伝えたら気持ちよく理解してくれるだろう」
と個別に対応できる能力や経験の方が大切です。
★鉄則
【チーム内の連携を大切にして、会社の方針に沿った営業ができる】
どんなに感じの良い接客ができても、自分勝手な売り方をする営業はNGです。会社の方針がその時々で決まっているはずです。何を売るのか、どう売るのか、その目的をきちんと理解して自分の言葉でお客様に伝えることが大切です。お客様のことだけを考えては、どうしても自分勝手な売り方になります。自分のことだけを考えては、もっと自分勝手な売り方になります。会社のことだけを考えても、型にハマったつまらない営業になります。このバランスが上手な営業は結果的に長く活躍することができますね。どのように工夫してきたのか職務経歴書に書きましょう。
【クレーム対応、トラブル対応などを責任持って対応できる】
どういう業界であってもクレームは発生します。クレームから逃げることなく責任持って対応できることは、大きなアピールポイントでしょう。あなたが最前線でクレームを受ける立場だったら、しっかりクレームを受け止めて必要なお詫びを行えることが重要です。必ず上司に報告してチーム内で共有する習慣も盛り込みましょう。責任者だったら会社の看板を背負っての対応となります。お客様の気持ちに寄り添いながら、しっかりと原因と対策を伝えてきた経験をアピールします。
会社としてできる対応とできない対応がありますから、何でもかんでもお客様の言い分を聞くのではなく、誠意を持ってクロージングしてきた経験があれば好印象です。
クレーム対応は「社長今日で限界」が基本です。
謝罪〜共有〜原因〜改善、をあなたの立場でどのように対応してきたのか職務経歴書に書けばOKです。
★ポイント
これまでのキャリアに関係なく、以下の内容を盛り込むと良いでしょう。
・コミュニケーションを大切にしており、自分から挨拶や行動を起こせる
・相手に応じたヒアリングを行い、ニーズ(必要)とウォンツ(欲求)を掴める
・相手の状況に応じたプレゼン(企画提案)を行うことができる
・数百円のラーメンでも数百万円の自動車でも、他と差別化して説明できる
これらの能力があれば、採用してからも活躍が期待できて安心ですね。例えば、その前のキャリアが製造や事務であっても日々の業務をこなしながら、ちょっとした心掛けをアピールするようにしましょう。ふんわりとした気持ちや気合ではなく、具体的な行動や習慣で書くことが最大のポイントです。
②法人営業に転職する場合
法人営業は、B to B(Business to Business)です。相手もプロなので個人営業と比べると、活躍するためのポイントがちょっと変わります。相手も会社の看板を背負って対応しますから、いい加減な対応をされることはあまりないでしょう。その代わり、つまらない世間話に付き合ってはくれないでしょうから、いかに価値のある時間を提供できるか考えなければなりません。
法人営業の募集条件は、個人営業と比べてハードルが高いことが一般的です。それは
「より専門的な知識が問われる」
「自分で仕事や売上を取りに行く」
姿勢が求められるからです。法人営業は相手企業としっかり関係性を築ければ、長い付き合いになり自然と成果も出しやすくなります。自分の力で関係性を築けることがアピールできると、とても良い職務経歴書になりますね。
「自分でチャンスを見つけ出して、自分で成長して成果を出す」
これができれば理想的な法人営業でしょう。最終的には会社の存在価値を上げるようになります。
★鉄則
【一発勝負ではなく、長期的なメリットを考える】
法人営業は多くの場合、相手企業と継続的な長い付き合いになります。一発勝負で大きな仕事決めることも大切ですが、それ以上に長期的に考えて戦略を考えられるかどうか問われますね。
法人営業の新規開拓は本当に大変です。どんな会社でも必要なことは、大きなことから小さなことまで「決まった会社にお願いしている」が普通です。そこに割り込むのは至難の技ですし、他から割り込まれないようにすることも大変です。つまり職務経歴書では、割り込むことができた経験、割り込ませない戦略、ここをアピールします。
「自社商品のランニングコストの魅力、アップデートが容易にできることをプレゼンして導入していただいた」
「価格交渉を行う際は、背景をきちんと説明してより良いサービスが提供できることを理解していただいた」
このような具体的な行動が職務経歴書に書いてあると安心ですね。どれだけ売ったのか、それによって会社に貢献したのか、数字で表現することもはもちろん重要ですが、どのようにして行動していたのか読み取れるのが理想です。
【専門性を自分で高めることができる】
法人営業の場合は相手もプロです。常に最新情報を得て、アップデートすることが必要です。何かあれば「この人に聞いてみようかな」そんな存在になっていることをアピールしたいですね。世界経済や日本経済のような大局的な見方、このエリアや業界ならではの局所的な見方、どちらもできると頼りになります。
特に法人営業ではいつも対応している担当者だけでなく、その上司や役員と応対することも多いはずです。そのときにキラリと光る相槌が打てるとあなたの印象はグッと上がります。
こういった専門性を高める努力は、あなた自身のマインドの問題なので職務経歴書に盛り込むのは難しいことです。実績の数字を並べるだけの方が圧倒的に書きやすいと思いますが、自己PRの欄では「新しいことを貪欲に学ぶ姿勢」をぜひ追加しましょう。言い方は悪いですが、こういう社員は勝手に成長するのでラクです。
③中小企業に転職する場合
中小企業で営業をする場合は、いくつかのハードルがあります。
代表的なものは次の3つです。
・会社のブランド力が大手には負けるので、新たに参入しにくい
・1人にかかる業務内容が広範囲に広がり、自分自身が与える影響力が大きい
・福利厚生や労働環境が未整備であることも多い
こういった、一見するとデメリットや不利な材料に見えるハードルを、職務経歴書ではあなたの価値として表現できると印象の良い内容になります。
「このようにして取引先と太いパイプをつくってきた」
「いろいろな業務を行ってきたが、その都度目的を理解して成果を出した」
このような具体的な成果に対して、あなた自身がやりがいを感じてきたことがそのままアピールポイントになりますね。
④営業以外から営業に転職する場合
営業から営業以外の職種に転職するときには、高い専門知識や技術が必要でない限り良い転職ができることが多い印象です。営業で習得した対人スキルは職種に関係なく活かせるからです。
その反対に、もしあなたが営業以外から営業に転職するのであれば職務経歴書にも工夫が必要です。
「そもそも、なんで営業に挑戦するの?」
は面接担当者の素直な疑問でしょう。
営業以外の仕事を通じて、どのような出来事に対してやりがいを感じたのか、ここが明確になっていると営業に転職する目的を説明しやすいですね。
「直接感謝の言葉を言われた方がうれしいな」
「アルバイト時代に接客していた経験が忘れられない」
「自分の頑張りで会社の存在価値を高めることができたと感じる」
このようなイメージです。
実際のところは「お金を稼ぎたい」でも悪くないでしょう。しかしそれだけでは
「もっと稼げる仕事があったら移っちゃうの?」
「稼げなかったらあっさり辞めちゃうの?」
が聞く方の本音です。
具体的な経験やきっかけに基づく志望動機を固めることを意識してください。
今回の記事でも記入例などを紹介するのではなく、差をつけるためのポイントにフォーカスしました。営業として活躍するためには、職務経歴書も重要です。あなたの価値を高める職務経歴書、他の応募者と差別化するための職務経歴書をぜひ作ってみてください。