いつもはキャリアコンサルタントとして転職活動やキャリア形成のポイントを紹介しているブログですが、今回はビジネス上の提案力向上についてアドバイスしたいと思います。提案力向上っていうことであなたが「社内で何か新しいことを提案したい!」「営業先に自社の商品を理解してもらいたい!」と考えているようでしたら、参考にしてもらえると幸いです。
キャリアコンサルタントの吉田です。
今回の記事ではエピソードは「体験に基づくストーリー」、エビデンスは「数学的根拠」と訳して解説したいと思います。エピソードはわかりやすいと思いますが、エビデンスは聞き慣れないかもしれませんね。きちんと「★%の客単価向上が見込めます」「▲割の方が▽▽に不満を感じているデータがあります」のように数字を使って説明するようなイメージです。
あなた自身が社内で新しいことを提案書として提出するとき、何か依頼されたことを企画書としてまとめるときに、中身も大切ですが「どのように伝えるのか?」の方が重要です。エピソードトークをするのか、エビデンストークをするのか、ここで伝わり方が変わります。私もここの見極めがうまくいかなくて、正しく伝わらない悔しさは数え切れないくらい味わってきました。
また、人材紹介を行っていると様々な企業のトップとコミュニケーションが発生します。社長や役員を話をしていると、エピソードとエビデンスの使い分けを痛感します。ここでも相手に「何を伝えるのか」と同じくらい「どのように伝えるか」が重要です。
社内での提案を「社内プレゼン」
社外への提案を「社外プレゼン」として、私なりにそれぞれのポイントをまとめます。
★社内プレゼン
社内で何かのアイディアを理解してもらおう、採用してもらおうというときにはエビデンスが非常に重要です。基本的に企業で何かをスタートする場合は、失敗のリスクを最小化することを考えます。そのため「こういう商品があったら喜ばれると思います」「こういうことに不満を感じているのではないでしょうか」といった漠然とした主観はあまり意味がないですね。
これだけで「いいね、やってみよう」という上司の方が圧倒的に少ないと思います。
これだけで走りはじめるとしたら
・あなたがよほどの信頼を得ている
・上司も同じようなことを考えていた
・失敗も覚悟であなたに挑戦させたいと思っている
のどれかに当てはまるでしょう。
基本的には数学的根拠が必要です。
統計や確率の考え方ですね。あまりネット経由の情報はオススメできませんが、短時間である程度のデータを揃えようと思ったら頼ることになると思います。そのときには、はっきりとしたデータの出所を添えることを忘れないようにしましょう。
方向性が見えたり、より具体的な根拠の話になったら自分なりの調査が必要です。ここからエピソードの出番です。エピソード、つまり体験に基づくストーリーがあると、エビデンスを後押しします。
「実際に使ってみた社員の感想はとても良いです」
「自社のシステムでシュミレーションしてみたら、大きな生産性向上が期待できます」
と具体的な反応や手応えを添えればより説得力が増します。
★社外プレゼン
こちらは対企業の営業活動をしている方、対個人の営業や接客をしている方、幅広く当てはまるのではないでしょうか。私自身も「営業には答えがない」と思っています。時代は変わりますし、相手の事情も刻一刻と変化します。そういう意味では「相手の役に立つ」という原則を忘れることなく、提案力向上の学びが必要ですね。
提案力向上ですが、社外プレゼンの場面でもエピソードとエビデンスの使い分けが大切です。
自分の立場と相手の立場を考えて、客観的に今がどのような状況なのか考えなければならないところです。具体的な例でまとめてみます。
例1:あなたが外回りの営業マンで新規開拓をしているのであれば、営業相手が何の話題にフックするのか見極めが必要です。ざっくり分けると、新製品を提案するのであればエピソードトークでしょう。「こういうのがあったら便利だと思いませんか」「他社で採用してもらったところ、◇◇の機能が大好評で私達も驚いています」のような感じでしょうか。
シェア拡大を狙うのであれば、他社製品とエビデンスによる差別化が必要です。「1時間当たりの生産量を10%上げることができます」「◎%の光熱費を削減することができます」のように数字を使って説明すると、目の前にいる営業相手は上司に提案するときにラクです。上司も判断しやすいですね。
例2:対個人で営業をするときには、テレビショッピングのようにストーリー仕立ての演出が必要ですね。数字や値段で訴えるのも大切ですが「この製品を買うことによって、あなたの毎日の生活がこんなにラクになります」というエピソードが必要です。もちろん購入前なので、想定されるエピソードなのですが、ここをイメージさせられるかどうかが決定打です。「これがあれば、かわいい孫の写真を毎日見ることができます」のように、いつも困っているわけではなくても毎日が変化する予感ができたら、実感してみたい!と一歩踏み出すことでしょう。
例3:お買い得セールを展開しているのであれば「どれくらいお得なのか」が直感的にわかるくらいシンプルな具体的数字で伝える必要があります。「直感的」と「具体的数字」を両立させるのは難しいかもしれませんが、基本的には「どう見せるか」という広告会社の得意とするところですね。
ビジネス提案力を上げるためのノウハウは様々な記事や書籍で紹介されていますが、今回は私なりにエピソードとエビデンスの切り口でまとめました。もしあなたが営業や接客でひと工夫プラスしたいときに参考にしてみてください。