現在私は、栃木県でキャリアコンサルタントとして転職支援に関わっています。
今回の記事では、ハローワークと人材紹介の違いについてポイントまとめます。民間のハローワークとも言える人材紹介会社が、なぜ認知度が上がり利用者が増え続けているのか考えます。結論としては
・横一直線の平等なサービスを提供するハローワーク
・あなたの転職理由に共感して希望に沿った求人を提案する人材紹介
のようなイメージでしょう。
「提供」と「提案」の違いは考え方として重要ですね。あなたが初めての転職を検討しているのであれば、参考にしていただきたいと思います。
北関東エリアだと、2010年くらいまでは
「キャリアカウンセリングってなんですか?」
「ハローワークと何が違うんですか?」
という状況でした。
企業に至っては
「人を採用するのに、なんでかかるんだよ!」
と怒られることもしばしば…
当時は今のような深刻な人材不足ではありませんでした。この先は危ないなってどの雑誌や専門書でも警告を鳴らしていたのですが、北関東の中小企業ではあまり実感がありませんでした。景気に関しても実感がなかったですね。「この実感がない右肩上がりの景気はホントかな?いつまで続くのかな?」と思っていた方も多いと思います。
別に今が景気が良いとは思わないですが、人材の集まり方に偏りが出てくるようになりましたね。
早い段階から人材紹介を利用していた企業は
「紹介会社って意外といい方を紹介してくれるじゃないか」
「ハローワークで応募してくるような方じゃないよね」
「この方は紹介料を払ってでも採用したい」
と中途採用の流れが変わってきたと思います。
大手各社が全国的にプロモーションをかけてくれたおかげで、北関東だけでなく全国的に認知度が上がったと思います。ハローワークは今でもたくさんの転職情報を得られるので、求職者にとって選択肢が増えたことはとてもいいことだと思います。
①ハローワークと②紹介会社のメリットとデメリットを比べてみましょう。
①ハローワーク
★メリット
ネット検索もできるようになり、常に新しい求人を探すことができます。リクルートが運営するインディードとの接続もあるので、昔のように何回もハローワークに足を運ばなくてもいいので助かります。自分が応募したい求人があったら、実際にハローワークに足を運べばOKです。
ハローワーク内のパソコンで求人を検索して、求人票をそのまま印刷、窓口に持っていき紹介状を受け取ります。その紹介状を履歴書や職務経歴書と一緒に企業に郵送して応募は完了です。
ハローワークの求人は性別・年齢の制限や資格・経験の必須項目に関してハードルを低くしてあるので、よほど条件とギャップがない限り誰でも応募できるのが良いところです。まれに「長期的なキャリア形成を目的とした人材育成、どうのこうの」で35歳未満のような縛りがありますが、それでもチャンスが広く与えられているのはハローワークを利用するメリットです。
全部の求人を誰でも検索ができて、条件にギャップがなければ基本的には応募できるので、情報をチャンスを平等に提供しているのがハローワークです。
★デメリット
応募するときに見込みがわからないのが一番のデメリットではないでしょうか。
応募してから1週間、2週間経ってやっと返事が届くのも、転職活動を長引かせる要因になっています。これは問題ですね。履歴書の紙代は安いもんですが、写真代郵送費はバカになりません。何より時間がかかるので「ダメならダメで早く返事してよ」というのが本音になるでしょう。
企業の事情は複雑なので、求人票ペラ1枚では「なぜこのポジションを募集しているのか」「本当に欲しい人材はこういう方なんだけど」という事情までは伝わりません。求職者も企業も、費用と時間、さらに手間をかけて日本全体の生産性をほんの少し下げている原因になっていることでしょう。
全員に同じようなサービスを提供していることが裏目に出てしまうわけです。
ハローワークでもキャリアカウンセリングやテーマを設定したセミナーなどは行っています。これもまた、誰かに絞ったサービス提供ではなく、希望者全員に同じような内容を提供するサービスです。
②人材紹介
★メリット
あなたのキャリアをしっかり把握して、転職先として探す際の希望や条件を尊重してもらえます。登録面談を通じてあなたの情報をヒアリングして、その結果をもとに求人を提案します。提案する仕組みは人材紹介会社によってバラバラです。AIを駆使して機械的に行う会社もありますし、担当者の経験とカンでマッチングを図る会社もあります。ここまで極端でなくとも、ある程度求職者であるあなたの希望に沿った提案をしよう、という目的は一緒です。
当然、現実的ではないキャリアアップを狙ったり、難しいキャリアチェンジを考えていたら、求人の提案はありません。人材紹介は企業に採用してもらうことで紹介手数料を請求する仕組みです。転職支援が難しいと判断されたら、提案してくる求人自体が少ないのでわかるはずです。
また登録面談を担当するキャリアカウンセラーから、様々なアドバイスがもらえるのも大きなメリットです。書類の書き方、面接の準備だけではありません。「これまでのキャリアでこの希望年収は難しいですね」「あなたの強みはこの経験なので、書類の書き方をブラッシュアップしましょう」などの本音を言ってくれると思います。
このように、感覚的には1対1に近い転職支援を受けられるのが人材紹介のメリットですね。実際に企業に応募するときにも、キャリアカウンセラーからの推薦のようなスタイルになるので話が進みやすいです。推薦結果の回収も早ければ当日翌日にはわかります。面接結果も同様です。
内定時の就業条件等について、人材紹介会社が間に入って調整してくれるのも大きいと思います。私が見る限り「年収がもう少し上がれば即決で入社したいのですが」「退職手続きに少し時間がかかりそうなので、入社日を2カ月後に相談できないでしょうか」が多い印象です。多少の歩み寄りを提案するのも人材紹介のメリットです。
人材紹介のメリットは、提案をしてくれることですね。
★デメリット
人材紹介を利用するデメリットは、担当者によってサービスに差が出てしまうこと、必ずしもあなたが優先的にサービスを受けられるわけではないということでしょう。どちらも結局同じことなのですが、キャリアカウンセラーは同時に何人もの求職者を担当します。ビジネスとして転職支援を行うので、成果に繋がりやすい求職者の優先順位が高くなります。
・ある程度時間の融通が利いて、レスポンスが早い
・無理のない条件でキャリアアップを目指している
・人材紹介会社が今抱えている求人に応募したい
このような求職者は、優先的に転職支援を受けることになります。
つまり「新しいことにチャレンジしたい!」「誰でもできるような事務の仕事がいいな」みたいな転職理由であれば、自分でハローワークを利用した方が確実に早いはずです。良心的な人材紹介会社は、こういうケースでも正直にアドバイスをしてくれるので参考にしてみるといいでしょう。
ハローワークにしても人材紹介にしても、新しく登録したり動きはじめるのは多少の勇気が必要かもしれません。どちらも良い転職支援がしたいというゴールは一緒ですので、安心して相談していただきたいと思います。