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キャリア・短編小説・NIKKO・Fukushima

ファミレスの仕事に向いている人とは【新卒で就職活動する場合】

現在私はキャリアコンサルタントとして勤めています。

その前は飲食業界で13年以上勤めていましたが、そこで得た経験をもとに飲食業界でのキャリアアップを提案しています。飲食業界にもいろいろな業態がありますが、もしあなたが新卒で、チェーンレストランやファミレスでの仕事に興味があるのであればピッタリの記事だと思います。

 

栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。

私の飲食業界での体験を中心にまとめます。なるべく私自身が感じたことだけではなく、たくさんの新卒採用の後輩も見てきて感じた「ファミレスを選んで就職成功しそうな人」も紹介します。あなたが描いている飲食業界の参考になればうれしいです。

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私は大学中退でそのままアルバイト先のファミレスに入社しました。全国規模の学習塾でアルバイトはそこそこ頑張っていましたが、大学に真面目に行っていたわけではなく将来のことを考えなきゃなー・・・なんて漠然と考えていたときにファミレスでアルバイトをはじめたことは大きな転機になりました。

 

冒頭から私の話が続きますが、何年か学習塾でアルバイトをしていたことで変に慣れてきて、時給もかなり上がっていたのでカン違いしそうな自分がいました。今振り返ると危なかったです。何年も留年して学習塾でダラダラ居残る学生講師もいたのですが、その気持ちもわかるし「仕事なんて何やっても一緒かな」と冷めていた気がします。

 

なんとなく「このままではこのままだ」という不安があり新聞チラシで求人広告を見て新しいアルバイト先を探しました。

・新しいことに挑戦しよう

・大人ともコミュニケーションがある仕事を探そう

・時給は安くて、あえて大変そうな仕事を探そう

その結果がファミレスでした。

20年以上前の話ですが、その頃には北関東にもさすがにファミレスが相当数出店していて毎週のように使っていました。いかにも大学生風にワイワイ使ったりダラダラ使ったりしていたのですが、働いている人達を見て「結構忙しそうだな」とか感じている程度の予備知識でした。

 

当時はコールベルもドリンクバーもなかったので、結構サービス担当者はバタバタしていたと思います。しかも検索して調べるという習慣もなく、周りにも飲食業界でアルバイトしている人はいなかったので飛び込んだに近いですね。この出会いが大きかったです。

 

キッチン希望で応募して、店長の一発面接です。

「このお店には来たことがないんです」

「どうしてもファミレスで働きたいと思ったわけではないです」

とか本音を話せる時代でしたし、あまり気にしない店長でした。

 

結局「声が大きくていいね。元気もありそうだし」という理由だけでホール担当として採用されました。私も「ホールって別に男子でもいいんだ・・・」くらいで就業が決定です。その後私は飲食業界にハマったのですが、店長としては「何でもいいから採用しちゃえばハマるんじゃないかな」と見抜いていたような気がします。ちょっと褒めすぎかもしれませんが。

 

面接のような直接会えるタイミングで、応募者の適性を見抜いて違う職種も提案する考え方はこの経験があったから自然に飲み込めたと思います。

入社1年の間に、副店長はバックレ気味に退職し、店長も2回変わっていろいろな店長から教われたことも良かったですね。

 

採用してくれた最初の店長はアルバイトで1年、入社して2カ月程度しか接点がなかったのですが、とにかく若くて朝まで遊んでいるちょっとカッコいい店長でしたね。今じゃありえませんが、午後の休憩は20時以降のために昼寝で充電しておくようなイメージです。

しかし、仕事に熱心ではなかっただけにパート・アルバイトに仕事をお願いするのが上手でした。「オマエにお願いしたいんだよ」とか普通に言うのですが、お店全体はとても安定していた気がします。ただしユルイところはユルイので会社からの評価は低かったかもしれないですね。

次の店長はとにかく厳しかったです。自分にも厳しかったですが、相手に厳しい感じでしたね。「これはオマエの仕事だ」みたいなお願いの仕方です。売上や客数もメチャクチャ伸びましたね。私もメチャクチャ働きました。パート・アルバイトには必ずしも好感を得ていたわけではなかったと思いますが、お店全体を組織的にまとめることをかなり意識していました。新人アルバイトなんかは良くも悪くも「ミスしないように、ミスしないように」働いていましたね。

さらに次の店長は、仕事ができなかったですね。その後退職したのですが、能力的に無理なわけではなく、年齢的にチェーンレストランのオペレーションは厳しい方でした。新入社員の私が「なんとかしなきゃ」と思ったくらいです。熱心に働いており、みんなの話にきちんと耳を傾ける店長ではあったので、バカにされるようなことはありませんでした。やっぱりみんなも「私がなんとかしなきゃ」と思ってそれはそれでお店全体がまとまっていた気がします。

 

その後営業部長の目に留まり売上1位のお店に異動となりました。アルバイト出身ということもありますが、結構頑張ったと思います。パート・アルバイトが女性ばっかりなので、自然と「ちゃんとやらないとカッコ悪い」と意識していたと思います。仕事ができるかどうかもありますが、手を抜いたりふざけた仕事をしていると女性の目は厳しかったですね。これは20年経っても生かされている経験です。

 

いっぱい失敗したり、パート・アルバイトの方を怒らせてしまったりしました。それ以上に忙しかったので、落ち込むより先に「次はちゃんとやろう」となります。カウンセリングの場でもよく提案する内容ですが、具体的な行動によって気持ちを切り替える技術です。振り返ったり、反省してもいても何も変わりません。これも大きい経験でした。

売上1位のお店ですが、アルバイトから入社したお店の2倍の客数でした。2倍というのはわかりやすいです。お客様の数が2倍だと朝の仕込み量も2倍、食材の発注量も2倍です。忙しさも2倍でしたが、新人が育つ速度も2倍でした。忙しいほど人が育つので「忙しいことは良いことだ」という意識は重要です。

 

忙しくないお店の場合は、1週間に1回しか注文されない料理があったりします。一度に4人前を同時調理する機会はあまりないです。ホールで接客していてもサービスが単発なので、あまり作業組み立てを考えなくてもどうにかなります。

忙しいお店だと、基本的にいつも複数調理を行います。いろんな料理を何回も作るので手際が良くなり、早く美味しい料理を提供できるようになります。ホール担当者も「料理を提供した帰りの動線で、別なテーブルのオーダーを伺って、さらに別なテーブルを片付けてから戻る」という作業組み立てを自然と行うようになります。

 

つまり、忙しい環境にいると「どうすれば自分もラクに仕事を回せるようになるか」自然と考えるようになります。失敗したり、うっかりがあっても再チャレンジするチャンスはまたすぐにあります。これも大きいですね。次はうまくいけば全部OKです。

そんなこんなで売上1位のお店でかなり鍛えられましたが、このときの店長と営業部長には大きく影響を受けました。何年もいると「1社目の経験は一生もの」という言葉が実感できます。

このときの店長はとにかく、採用とトレーニング、そしてオペレーションをうまく回すための思考回路と行動力がハンパではなかったです。全店メニュー改定があっても毎回テストランを任され、新メニュー対応のオペレーションを構築するのは店長でした。パート・アルバイトとのコミュニケーションも大切にしており、大変は大変でしたが「店長のために頑張ろう」という意識はあったんじゃないかなと思います。

 

営業部長は仕事に対する姿勢に関して相当影響を受けました。

・自分がするべき役割をしっかり全うして

・自分が正しいと思ったことを貫いて

・過去も未来も語れる

 そんな営業部長でした。

私はどんな雑用や意味がなさそうな仕事でも、故意に手を抜くことはないと自信を持って言えます。仕事は自分から動くから楽しい、と教われたことは財産です。

 

その後別な新店で店長となり、採用とトレーニングの責任を持つ立場となりました。店長となってしばらく経ってからかなり悩みました。当初は店長になったうれしさと「店長になったらこうしよう、あれがしたい」というストックがあったので、やることがいっぱいでした。しかし、次のステップとなり立ち止まります。いかに競合店と差別化するか、お客様に満足してもらうか考えるようになり何をするべきなのか悩みましたね。

・ルールやマニュアルは厳守しなさい

・店長の個性が発揮されたお店にしなさい

この二律背反のような要求が続きます。ここも鍛えられました。

 

何も経ってから学んだことですが、凡事を非凡に行うことで個性が発揮されます。ここに至るまでには相当時間がかかりました。ルールを守らないエンゼルス大谷を誰もスゴイ!とは思わないですね。決められたルールの中でこそ個性は輝きます。

 

店長になってからの経験は、新卒のあなた向けの記事には合わないのでここでは割愛します。ひとつ言えるのは、マネジメントに関わるようになるまでの期間が短いことも飲食業界の大きなメリットです。

・ひと月ごと、四半期ごと、年間の売上客数管理

・仕入れ率、原価率、人件費率の経費管理

・採用とトレーニング、組織づくり 他の業界では何年もかかって任されるマネジメント業務を早い段階から経験できるのは本当に魅力です。ここで得る経験はどのような業界に転職することになっても確実に活かすことができます。

 

私が思うファミレスの仕事に向いている人ですが

・返事ができる

・素直にお詫びができる

・体を動かすことに抵抗がない

・人の世話をすることに抵抗がない

このくらいの最低条件をクリアしていれば充分です。

さらにいろいろな新入社員を見てきた限り、以下のポイントのどれかにハマれば就職成功して活躍できる可能性が高いと思いますね。

①食べることに興味がある

②オペレーション(業務を分担して連携する仕組み)に興味がある

③アタマと体を同時に動かすことが好き

④年上の人達にうまく使われることができる

⑤年下の人達にエラぶることなくコミュニケーションができる

こんな感じです。⑤にいくほど優先順位は高いです。

あくまで私の経験と見方ではありますが、①~⑤のどれかに抵抗があると、飲食業界での仕事自体を難しく感じてしまうと思います。

 

店長が採用したい新人は

「そこにゴミが落ちていたときに、普通に拾える人」です。

ここで「見なかったことにする」「なんでオレが?と思いながら拾う」「ルールだからしょうがなく拾う」そんな新人だとしたら教えるのは大変ですよね。

または自分のサービスマインドを高めて、普通に拾えるように人になりたいという理由で飲食業界に飛び込んでもいいでしょう。

 

繰り返しますが、飲食業界で得る知識経験はどの業界に進むことになっても活かされます。あなたが就職活動をする際に飲食業界に興味があるようなら、ぜひ前向きに検討してみてはどうでしょうか。