現在は栃木県で転職支援を行っています。
その前は飲食業界で13年以上働いていました。楽しく働いていたから長く勤めることもできたわけですが、そこで得た経験をもとに、キツイと言われることの多い飲食業界でのキャリアアップを提案するブログです。
栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。
飲食業界がキツイ理由はいろいろありますが、その根本的な原因は低価格でのサービス提供です。低価格でライバルに勝つために人件費を極限まで下げますが、その結果が「パートアルバイト比率の高さ」となって現れます。
新入社員を除くと正社員は店長と副店長の2名だけなんてよくある光景です。店長が1人だけ、またはシステムがしっかりできているチェーンレストランなんかは何店舗か兼任することもあります。積極的にパート店長を配置する例も増えましたね。
つまり、店舗を運営しているのは大部分は曜日や時間の制限のあるパートアルバイトです。パートアルバイトをいかに戦力化して組織化できるかで、店舗のレベルも店長の労働環境も決まります。
私はファミレスで働いていましたが、10代から60代まで本当に幅広い年代の方と仕事をしてきました。まさに老若男女です。その経験だけでも貴重です。さらにファミレスはどうしてもフリーターや学生の入れ替わりが多いので、採用と教育の機会がたくさんあります。今になると、この採用と教育の経験がキャリアコンサルタントとして働くうえで基礎になった気がします。
グランドオープンに何回も携わってきました。同時に何人も採用して、どうにかグランドオープンに間に合わせるように計画してトレーニングします。初めてのグランドオープンを任されたときは、どんどんリーダー候補だけを採用して、ガンガン教えることに集中していましたが、結果的にはうまくいかなったですね。
中途半端なリーダー候補がたくさんいても、派閥争いが起きたり最終的な組織がイメージされていないので、組織づくりがまったく進まなかったですね。ファミレスで楽しく接客したり料理したり…を期待して採用した方にたくさん迷惑をかけたと思います。これは私の大失敗です。
2回目以降は、面接する応募者の素晴らしいところだけに注目して採用活動を行いました。採用する段階から
・この方は働ける時間帯が短いけれど一軍候補
・この方は全曜日可能な学生なので二軍候補
・この方は笑顔とキャラクターがステキだから一軍に混ぜる
のように組織をイメージして採用するようになりました。
一軍二軍という表現は相応しくないかもしれませんが、いち早く
「最大ピークはこの方を配置する」
と人員配置の戦略を決めることが大切です。
結果的にトレーニングの優先順位も変わります。
全員を底上げすることも大切ですが
「できる人から、できるようにする」が鉄則です。
安心できるパートアルバイトが1人でもいいからいてくれたら、目が離せて精神的負担が減ります。
これが2人になったら自分がいつもピリピリしなくていい状態です。協力してくれる味方を早いうちに増やせると、グランドオープンが成功するイメージしかありません。
店長として私が気を遣っていたのは
・部下は全員同じように尊重する
・部下の活用法は個別に決定する
です。うまくいくことばかりではありませんが、自分の中に軸ができると店舗運営はしっかり安定します。軸がないと、最初は良くても徐々に
・声の大きいパートさんの意見が通りやすい
・店長のコミュニケーションが偏る
という傾向になります。新人店長あるあるです。
大雑把に言ってしまえば、仕事の仕方全般にも当てはまります。
・早く終わる仕事を早く終わらせてしまう
・早く完成する新人から育成する
もちろん、そのときの状況に応じて優先順位を考えたり、マルチタスクが必要になることもあるでしょう。しかし、20年以上働いてきて、さらにキャリアコンサルタントとして様々な業界で活躍してきた方の話を伺うと「活躍できる人は、ひとつひとつの処理が早い」を実感します。戦略的な表現では「最速で個別撃破する」でしょうか。
飲食業界は、とにかく採用と教育が続きます。
しんどい!と感じることもあります。
ただでさえ忙しくてやることがいっぱいあるのに、新人が絡んでくると自分の仕事がパンクします。パートアルバイトが不足して困っているから採用活動をしているのに、新人を採用してさらに忙しくなる…というジレンマばかりです。
しかしながら、飲食業界はヒューマンビジネスとも呼ばれるように、人間関係を学ぶステージ、部下育成を学ぶステージは本当に貴重で魅力です。
もし、あなたが就職先を探していたり転職を検討しているのであれば、飲食業界も検討してみてはいかがでしょうか。将来的にはかなりの単純作業が自動化、ロボット化される見込みですが、お客様が人である限り、サービスの主役は人です。キャリアアップを目指す方にこそ挑戦してほしい業界ですね。