現在、キャリアコンサルタントとしての知識と転職エージェントとしての経験をもとに就職支援講座を行っています。求職者の方に求人を提案して無事に入社したとしても、その後に活躍できるかどうかが一番大切です。
そのための考え方として「ジャメヴ」という言葉を紹介しますので参考にしてもらえるとうれしいです。
栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。
同じ業界からの転職であれば即戦力でのロケットスタートはあるかもしれませんが、実際は半年から1年程度は助走期間になるのではないでしょうか。仕事自体も習得しなければならないですが、徐々に環境や人間関係に慣れてきて、いろんなケースバイケースを体験して、それからやっと新しい転職先でも活躍できるイメージです。
新卒でもない限り、平均すると中途入社してから半年程度でしょう。このタイミングで次の一歩があるかどうかが大切です。
「教えたことをやるのは当たり前」
「決められた範囲のことをやるのは当たり前」
なので、その先を自分で考えて仕事の範囲や責任を増やす必要があります。
ここから先は企画書の作成を中心に話を続けます。
自分の行動に関しては、誰かモデル社員をそのままコピーするつもりで「パクる」「盗む」つもりで学びましょう。あくまで行動に関してですが。モノに関しては「パクる」「盗む」ではNGなので、工夫が必要です。
せっかく何かを作成したり企画しても「デジャヴ」な提案が一番評価が低いかもしれません。これはもったいないですね。
「デジャヴ」は既視感です。つまり本当は初めて見たり聞いたりしたはずだけど
「なんか聞いたことある提案だな」
「これって誰かの参考にしたの?」
という評価です。
これだと新しいステップのために提案しているはずなのに、どっかからアイディアを引っ張ってきただけと思われるので損ですね。
もっとヒドイと手を抜いていると勘違いされるかもしれません。これだと残念な結果になりますが、内容よりもプレゼンの問題として捉えられることがもったいないです。
・誰かのアイディアであるかのように書いてある
・テーマを主体的に決めていない気がする
これに当てはまると急に説得力が下がってしまいます。
「デジャヴ」の反対が「ジャメヴ」です。
「ジャメヴ」は未視感です。つまり今までに何回も見たり聞かされたりしているはずだけど
「こんなの初めて!」
「新鮮なアイディアだ!」
と感じさせるものです。同じものを作成したり企画するにしても、この「ジャメヴ」を意識しているかどうかで大きく変わります。
おそらく身近な社内にも
「こんな考え方があったのか!」
「こんな切り口があったのか!」
という企画を考える社員がいるのではないでしょうか。スペシャル新しい企画でなくても「これは新しい!」と感じさせることが大切です。
大きいところでは、アベノミクスなんかも当てはまります。評価に関してはバラバラですが、ひとつひとつの政策は
「やりたいけどできなかったこと」
「やったら効果があるだろうと言われていたこと」
ばかりです。
それを、まるで新たに登場した最終兵器のように演出したのは上手かったと思います。結局「もしかしたら景気が良くなるかもしれない」くらいの期待感でも、今の今まで続いている事実があります。
小泉首相も同じような戦略でした。ブレーンである竹中平蔵氏が、現実的なエビデンスに基づいた政策を展開していたので、専門家に言わせると若干意味合いが変わる点はありますが。
少し話は逸れますが、受験や資格試験の問題作成者はこの「ジャメヴ」を狙って作成していると言ってもよいでしょう。問題作成だって基本は過去問です。受験生も過去問で対策をします。
よって、過去問をアレンジすることで、いかに初めて見た問題のように見せるかが問題作成者の手腕と言えるでしょう。ビジネスや趣味から芸術まで幅広く当てはまる考え方です。
上手な企画書を作成するために必要なことは
・上手な企画書にたくさん目を通す
・「ジャメヴ」を意識する
この2つのミックスが確実な近道になります。
「ジャメヴ」のポイントは、いくつかの企画書を集めて、それらの良いところを自然に拾ってつなげるだけです。アイディア自体をミックスさせることもあるでしょうし、別な企画書のフォーマットや言い回しだけを流用して、中身を入れ替えることもできるでしょう。
何回か練習が必要です。それでも中途入社1年のタイミングで、ゼロから考えてパソコンをバチバチ入力するよりは圧倒的に良い企画書が完成します。
私自身、学習塾部門に在籍したいた3年間で、受験生用の参考書を2冊出版しています。ちょっとした経験で商業出版するに至ったのは「ジャメヴ」を意識していたことが大きいと思います。原稿を作成する際は、良い参考書にたくさん目を通して「初めてに見えるような構成で」書き上げます。
転職を検討している方や転職して心機一転頑張っている方が、次の一歩に挑戦する際に、参考にしていただけると幸いです。