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キャリア・短編小説・NIKKO・Fukushima

クリーニング屋のお姉さん【転職もゲッツも開き直るまでが勝負】

いつもの通勤途中にクリーニング屋があります。

今回は冬物のスラックスなどを3点お願いしています。本来は昨日回収できたのですが今日以降になることでしょう。

その理由は
「毎週月曜日はゲッツ!って言いながらポーズをしてもらうと、今回のクリーニング代が50円引きになります!どうしますか?」
という悪夢のようなイベントがあるためです。

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栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。

自分ではどちらかというと、どんなことにもチャレンジしようと考えるタイプだと思っています。そうあるために日々意識しているつもりです。しかし、昨年初めてこのイベントに遭遇したときにはさすがにフリーズしましたね。 

良くも悪くも、他のお客さんがいなかったので、私のスラックスを持ったお姉さんと2人きり。
私はそろそろ哀愁漂う40代男性。

こういうときに、ウチの長男(小1)が隣にいてくれたら、たぶん私の代わりに両手の人差し指を向けて「ゲッツ!」とやって最高の親孝行をして株を上げたことでしょう。
 

長女(中1)はもう無理そうです。お金で釣らないと無理そうなので、割引になる50円以上の出費になります。それでも家族が隣にいてくれたら、私だって心の広いマイホームパパを演じて「ゲッツ!」笑いながらやったでしょう。コミュニケーションのネタになって、ありがたい経験になったかもしれません。

しかし、ここは1対1、お互い誰の助けも期待できない緊迫した状態。

ここでダラダラして次のお客さんが来たらさらに複雑な状況になります。

私が両手の人差し指をお姉さんに向けて「ゲッツ!」なんてやっている姿を、いきなり目の当たりにしたら、人はどう感じるのでしょう。

「は?何やってんの?」

くらいならいいですが、私がふざけてるおじさんだと思われても不本意です。場合によっては強盗している状況に見えなくもありません。

それにしても

「どうしますか?」
この二択はキツイですね。

せめて全員強制だったら悩むことはありません。お客さんが次から次へと、飛んで火に入る夏の虫になるだけです。
 

50円の値引きなんてどうでもいいから、早くスラックスを回収して脱出を考えたいところです。

しかし、ここで「あ、別にいいです…」ってスカして断るのもどうかという状況です。

ひょっとしたら提案したお姉さんが恥ずかしくて、転職の二文字が頭をよぎるかもしれません。

さらに

「え?このおじさん、まさか恥ずかしいの?」

「ずいぶん心が狭いお客さんだな」

って思われるのは最悪です。お客さんと思ってくれないかもしれません。

ここまで5秒くらいです。結果、さらっと素直に

「わかりました。こんな感じですね」

開き直れば、私だってだいたいのことはできます。

 

それにしても丸一日闘ったかのような疲労感でした。今思い出しても、自分はどうすれば良かったのか、正解はあるのか、仕事が手につきません。
 

もう月曜日に取りに行くことはないでしょう。これが結論です。