現在は転職エージェントの立場で、様々な転職希望者とコミュニケーションしています。その前は、飲食業の最前線で13年以上働いていたのですが、今となっては飲食業を通じて得たコミュニケーションスキルにとても感謝しています。
その内容について紹介します。もしあなたが就職や転職を検討しているなら、数ある業界のなかで飲食業も視野に入れてもらえるとうれしいですね。
栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。
以前、私はファミレスで働いていました。ファミレスは、今ほどではないですがキツイ業界のイメージがありました。そして、パートアルバイト比率が極端に高いので、いつも採用と教育を繰り返している業界です。
ビルのテナントとして入る店舗や売上規模が小さい店舗だと、正社員は店長ひとり、さらに数店舗を兼任なんて普通です。新人を育成して一本化する、時間帯責任者を育成して店長の分身をつくるスキルが死活問題です。パートアルバイト達を見渡して、この人なら時間帯責任者をお願いできるかな?と期待するところまでは「なんちゃって店長」でもできます。
問題となるのは、時間帯責任者が
・店長の視点で店舗全体を見られるか
・高いモチベーションを維持できるか
です。この方向に持っていけるコミュニケーションスキルがないと店長は相当苦労します。
時間帯責任者に育成する人は、店づくりにおいてキーパーソンになります。メニュー改訂や新人教育など店舗のレベルを決める最前線を任せることも多いでしょう。
中途半端な時間帯責任者は、どうしても周りのパートアルバイトに同調する立場になりやすいです。しかし、会社全体の方針、店長の方針を優先して厳しい要求をしなければならない場面が多々あります。
また、新人教育がうまくいかなかったり、誰かとゴタゴタがあったりすると、どうしても行動に迷いが見えたり、モチベーションが下がります。
そのときにきちんと本来の働きができるように対応するのが店長の役目です。サポートとなるようなコミュニケーションが必要ですね。
店長が時間帯責任者を育成するときも、時間帯責任者が新人教育をするときも、基本的なスタンスは一緒です。それは
「相手が変わらないのは、伝え方が悪いから」
というスタンスです。細かい指導方法やコミュニケーションスキルはもちろん大切ですが、それ以上にこのスタンスが共有されてないと
「どうやって相手を変えようか」
という効果のない労力と時間を使ってしまいます。
飲食業界専門のコンサルティングで、巡回に来ていた先生が私にビシッと話してくれた内容です。怒られたんだっけな。そこの記憶はあやふやですが、アルバイトスタッフの何かについて作業の問題点を指摘されて「何回言ってもダメなんですよ」と自爆同然のことを口走っていた気がします。(これは自分のコミュニケーション能力が低いことを一生懸命説明している状態…)
・お客様に笑顔がないのは、店舗の問題
・部下に笑顔がないのは、自分の問題
・客単価が下がったら、満足度の問題
・客数が下がったら、存在価値の問題
すべての結果には理由があり、その原因分析をするときは、まず最初に
「自分達に対して矢印を向ける」ということです。
自分を攻めてしまうキャラクターの方だと、攻めすぎるリスクはあります。自信をなくしてしまっては元も子もありませんが、誰かのせい、何かのせいにしないことが重要ですね。飲食業では誰かのせいにしても虚しくなるだけなので、つい誰かのせいにしてしまいたくなる考え方を改めることができます。
相手を変えよう!変えよう!と思っちゃいますが、まずは自分から!ですね。
時間帯責任者の働きやお客様の数を見れば、店長としての自分の評価が否応なしに実感できます。飲食業はコミュニケーションスキルを磨くことができます。
参考にしていただけると幸いです。